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ヴィーガンという、料理の選択肢

お気に入りのチャンネル

Youtubeは、私にとって息抜きの時間。
一人での食事中や仕事の合間、何も考えたくない時に、
脳をリラックスさせてくれる、私服の瞬間となっている。

昨春のロックダウン最中、
一人のイタリア人女性のチャンネルにたどり着いた。
彼女の名前は、カルロッタ。現在27歳。

お肉や魚、動物性のもの一切使わずに
植物性食品だけを使った料理を紹介している。
チャンネルの名前は、「Cucina Botanica」(ボタニカル 料理の意)

学生時代にデザインを学び、ファッション業界で就職。
しかし、不幸せな状態でストレスも抱えていた。
ある日、人生を変えるべく、勇気を振り絞って、ロサンゼルスへと旅立つ。
そこで、菜食主義の料理を学び目覚める。
アシスタントや講師としての活動を経て、イタリアへ帰国。

Instagramで、ヴィーガン料理をアップしたことから手応えを掴む。
2012年にYoutubeを解説し、300作を越える動画を投稿。
37.5万人のフォローがいる。(2021/03/16現在)

つい見てしまう理由

週に1回のペースで新しいレシピを紹介している。
それは、想像を越える世界で、
身近な素材を使い、工夫次第で実現できる料理ばかり。
発想の転換が優れている。

かく言う私は、「完全菜食主義者」ではない。
肉も魚もなんでも食べる。

だけど、彼女のチャンネルを何度となく訪れるのは、
「ただ、見ていて落ち着く」からだ。

撮影の仕方や音楽、色、声、料理の一つ一つが心地いい。
多くを語らず、見せて教えてくれて、難しさも感じない。

日本の多彩な食文化

世界的に見ても、日本という国の食文化は
バラエティに富み、食いしん坊が多い地域と言える。

「今日のお昼、何食べようかな?」なんて考えるとき、
うどん、ラーメン、そば、お好み焼き、定食、
カレー、サンドウィッチ、天津飯、コンビニ弁当…など、
和洋折衷のメニューから、選出する方が大変なほどある。

一方でイタリアではそうはいかない。

パスタ、ピザ、ラザニア、パニーニ、フリット、
ハンバーガー、中華、寿司、カレー、ケバブ。
このようなところが王道だろう。
もちろん、パスタの中にはスパゲッティもペンネもあるが、
ペンネだけを専門に作っているレストランはなく、
今日の主食メニューに入っているだけで、ここにリゾットも含まれる。

ここまで、異国の食文化が入らない理由は、
イタリア料理を愛している人の方が多いからと言えよう。
しかし、若者は外国の味に興味を持っている人が多く、
近年は、寿司以外に、ラーメンやお好み焼きなども
人気度が高まっていることが分かる。

新たな料理のタイプ

イタリアの料理だけど、本物とは少し違っている。
だが、カテゴリーはイタリアン。
という様に、彼女が生み出す料理は、
イタリア人に親しみやすい味を提供している。

・ひよこ豆のミラノ風カツ
・豆腐とカシューナッツでできたクリームチーズ風
・豆類の肉団子風トマト煮込み
・レンズ豆のラグーのラザニア

このほか、
豆腐・味噌・醤油を使った料理も出てくるし、
寿司、中国餃子、フムス、など外国のレシピも多用している。

彼女は、完全に植物菜食主義を提唱するのではなく、
「今日の料理」という位置付けで、料理を紹介している。

ヴィーガンの垣根

アメリカで、菜食主義の料理を学んだ後、
イタリアに戻ってきた彼女は、違和感を感じていた。
ベジタリアンのための料理や、ヴィーガン料理を教えたくても、
人々の反応は、ポジティブなものではなかったと語っている。
多くは、可哀想、不運な人という目で見ていたようだ。

しかし、地道に紹介し続ける活動に、支持者は次第に増えていった。
また、時代の流れと共に、セレブだけの流行から、市民にまで届き、
今では、冷たい視線を浴びる数は、グッと減っていると言える。

彼女が長年描いていた、ヴィーガンだからといって、
特別な扱いをされるのではなく、一つタイプとして確立してきている。

近年、イタリアのレストランメニューは変化している。
食品アレルギーの対象となる、卵・小麦粉・牛乳・ナッツ類、エビなど、
これらの食材を含むものは、表記しなければならない。
使われる食材も、肉や魚から、調味料まで全て見られるように、
客側も把握した上で注文するシステムになった。

だから、ヴィーガン用のメニューを開発するお店も多く、
かつての視線はなくなってきている。
いや、それどころか、余裕あるオシャレな人という印象さえ感じられる。

念願の処女作

近年、インフルエンサーが本を出版する話題をよく見る。
カルロッタも、その一人となった。

2020年の11月、チャンネル名と同じタイトルの処女作を刊行。
こだわって作り上げた、念願の一冊。

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季節の食材と料理、ドルチェやピザなど網羅するほどのレシピの数々。
そして、美しい写真を見るだけでも癒しになること間違いなし。

実際に、書店に並んでいると、一人のファンとして高揚した。
非現実的なYoutubeの世界が、自分とつながっている不思議な感覚。
見えないファンがあちこちにいて、実は隣の人がそうかもしれないと、
妄想まで働かせるほど。
現に、Amazonのランキングでも上位に達する人気ぶりだから、
妄想だけで済まないのかもしれない。

彼女の功績を、見守っている大人たちがいた…


未来のリーダーへ

2021年3月上旬、Forbes誌が
30歳未満の「未来のリーダー」100人を選出。

カルロッタもインフルエンサーとして選ばれ、ニュースにまでなった。
本人もInstagramで、胸の内を綴り、驚きの嬉しい出来事だったとか。

ここまで彼女のことを紹介しておきながら、申し訳ないが
このチャンネルは、イタリア語のみ。
英語字幕さえないから、理解できないかもしれない。
しかし、ココから何らかのヒントは受けられるはず。

今後、彼女に「日本語字幕を付けたい」と申し出たいほど、
日本の人たちにも見てほしいレシピばかり。
味噌の意外な使い方や、醤油のアクセントなど、
マネしたい点がいくつもある。
そして、一人のイタリア人として、
日本食への扱い方も見逃せない。

さいごに

世界中のインフルエンサーは、
テレビ・映画・音楽とは違う舞台で、活躍し有名になっている。
メディアのカタチは進展しても、引きつける人の魅力は、
いつの時代であっても変わることはない。

彼らの5年後、10年後、またその先も興味深い。
きっと、柔軟に対応し、ステージに登壇し続けるだろう。

もしかしたら、あっという間の歳月かもしれない。

そこにいる自分も、さらに前進していることだろう。
ヴィーガンによって、健康になっていることも合わせて願う。

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