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リニューアル「福岡市美術館」が新国立美術館より凄い理由。#空っぽ状態の美術館とは?でわかった事

2016年9月よりリニューアル工事のため休館しています。改修のため2年以上休館しています。リニューアル工事が平成30年9月末に終わり、これから館外に保管していた美術品の移送など開館に向けた準備を行い、2019年3月21日(木・祝)にリニューアルオープンです。

(※2018年11月6日13:08:誤字脱字・一部表現などを修正しました)

【プレオープン企画・開館前の美術館に入ってみませんか?】こちらの企画をWEBで発見したのは先月。522名の応募から「午前の部・30名」「午後の・30名」合計60名だけが参加できる。8倍以上の倍率に当選したので、リニューアル「福岡市美術館」の #空っぽ状態の美術館とは に見学に参加してきました。


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福岡に来て5年の移住民ですが、興味のある現代アート展などは、東京で見ていました。正直それほど福岡美術館に関わりがあったわけではありません。「福岡市美術館中の人」さんの、noteを読んだことがきっかけです。


「美術館は必要か?」←いやいや美術館は大事ですよ。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』コーンフェリーヘイパートナー山口周 氏 の本にも書かれています。

◎論理的思考・MBAでは戦えない
◎「直感」と「感性」の時代

【本文より・引用抜粋】
グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込む、
あるいはニューヨークやロンドンの知的専門職が、早朝のギャラリートークに参加するのは、こけおどしの教養を身につけるためではありません。彼らは極めて功利的な目的で「美意識」を鍛えているのです。なぜなら、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない、ということをよくわかっているからです....


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というわけで、#空っぽの状態の美術館 とは?をレポートする役割があると思ったので、時系列的なMEMOをアップしまーす。

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新しい玄関を入ると受付で当選メールを見せて、資料を頂きます。


会議室では、こちらのドローン撮影もされた動画が流れていて、資料を読んで開始を待ちます。


この一番上の資料が素晴らしい!凄く作りこまれています。今日はカメラ撮影OKで、SNSでの情報発信は可だとの事。これは画期的です。


副館長・中山喜一朗さんの説明で、美術館リニューアルの特徴などが解説されました。面白い!カーテンを開けると「大濠公園」の眺望が凄く綺麗です!


11月1日に、記者公開をしたばかりです。NHKニュース動画もどうぞ。


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1階の大濠公園側のカフェ・スペースに移動します。

大濠公園の池に面した垣根が撤去され、公園から直接、美術館に通じるアプローチが魅力的ですね。この前にはパラソルが出て、テラス・カフェも出来るそうです。福岡って何気に天神とかにオープン・カフェが少ないんですよね。楽しみです。

眺めも素晴らしいですが、新しいカフェの什器が揃っていました。営業時間も夜まで伸びるそうなので、公園の夜カフェとしても人気になると想像できます。夜も楽しんでもらえるような配慮がさすがですね。

副館長の説明を聞いて初めて知った「現代アートと古美術の両方が備わっている美術館は珍しい」という事です。知らなかった。内庭の、枯山水の風景も素敵です。


東光院仏教美術室。12体の仏像さんがぐるっと入る前の状態です。なんとも幻想的な綺麗な眺めでした。

(仏像は)「まだ無いけどね」という副館長のお茶目なガイドが面白い!

「まだ無いけどね(笑)」

バックライトが変えられるのは珍しいそうです。

「まだ無いけどね(笑)」


1階から2階へ移動します。


タイルの焼きムラを出すのは大変だそうで、色々な工夫を重ねたそうです。虹色っぽいレンガタイルは凄く綺麗です。

画面をタッチして、所蔵品を検索する事も出来ます。小さなお子さんの背丈でもOKなところ等良く考えられてますね。さすがです。

こちらのロビーには、この美術館を建築した建築家・故・前川國男氏のコーナーがあり、以前の建築模型が見る事が出来ます。前川さん時代の椅子は、
角の布の穴があいてたりしていて貴重です(笑)

故・前川國男氏は、ル・コルビュジエ、アントニン・レーモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリードした建築家で、丹下健三氏、木村俊彦氏も前川事務所の出身であったそうです。作品も受賞歴も凄い!

主な作品
1954年 昭和28年・神奈川県立音楽堂・図書館
1955年 昭和30年・岡山県庁
1959年 昭和34年・世田谷区民会館・区役所・弘前市庁舎
1960年 昭和35年・京都会館・学習院大学校舎
1961年 昭和36年・東京文化会館・国立国会図書館・岡山県総合文化センター
1964年 昭和39年・世田谷区郷土資料館・紀伊国屋ビル
1966年 昭和41年・埼玉会館
1970年 昭和45年・弘前市民病院
1971年 昭和46年・埼玉県立博物館
1973年 昭和48年・東京海上火災保険会社本社ビル
1975年 昭和50年・東京都美術館
1976年 昭和51年・熊本県立美術館・弘前市立博物館
1978年 昭和53年・山梨県立美術館
1979年 昭和54年・国立西洋美術館新館・福岡市美術館
1980年 昭和55年・埼玉県立自然史博物館
1981年 昭和56年・宮城県美術館
1982年 昭和57年・熊本県立劇場・学習院戸山図書館
1983年 昭和58年・国立音楽大学講堂・横浜市中区役所庁舎
1985年 昭和60年・新潟市美術館・石垣市民会館・国立音楽大学練習館
1986年 昭和61年・国立国会図書館新館・東京大学山上会館




特別展示室の照明は、部屋全体の色調を変える事が出来る最新照明機器が装備されているそうです。

「電子照明・LED」は、照明の均質性、均質精度が高い。1点1点を時間をかけて照明のセットアップが出来ない時でも、威力を発揮するそうです。

なんと、同じサイズの部屋を作って「照明の実験した」とのこと。国立新美術館より凄い理由はここにあるのです。

ヒトがはけてから撮影するのが大変です(笑)

美術品を飾る台などが、まだ部屋の片隅にずらっと。

裏側・美術倉庫まで覗かせてもらいました。

美術品が入る前のケースの内側から覗くとこんな感じ。搬入される前だから見れる景色ですね。

美術品が入る前のケースです。

美術品を管理するハコが空いた状態は初めて見ました。宝石屋さんみたいですね。

現代アート美術の展示室は、天井が黒く、床は白木で絞まっていてカッコいいです。

ちょっと休憩したい時のコーナーもありました。ニュースでは見れない、細かい気配りがされています。

この席に座って外を眺めると、紅葉になりかけの公園を見てほっとできます。

1℃の違いを管理する「空調」設備。美術品はナマモノ。大事です。室温20度前後。50-60パーセントを管理するそうです。異常があると「携帯電話」に呼び出しもあるそうな。「美術館中の人」大変です。

通路の向こうに見える大濠公園が綺麗に見えます。室内から見る外の景色も作品のようです。

キッズスペースには、壁にマグネットで張りついているのや、絵本など充実したコーナーになってます。

キッズスペースには、授乳室も完備されています。こちらは手前側の水回りがある部屋。

奥側に、授乳室があります。乳児と一緒でも安心ですね。

トイレも綺麗です。昔のトイレのハナシを副館長がされていましたが、知らないのですが、最新設備のトイレに改良されていました。


2階にはカフェ・レストランがあります。眺めが素晴らしい!福岡タワーも見えます。

こちらの外側のオープンテラス席も用意されるそうです。どんなカフェ・レストランになるのか楽しみですね。副館長曰く「昔なら、お見合いにぴったり。そろそろ若いヒト同志で公園を散策など・・・(笑)」

調理場も見学させてもらいました。


実は、自分が一番興味を惹かれたのがアートスタジオです。教育普及プログラムや、ワークショップに使われます。

理科の実験室みたいになりがちですが、子供用の椅子が装備されていたり。

子供でも安心に使える電源配線。足にひっかかると危険な「電源コード」まわりを天井から引っ張れるようになっています。これなら安心ですね。

部屋には「大きな鏡」も。ダンスや振付もここで確認できそうです。

こちらは小ホール。座り心地良い椅子に、互い違いレイアウトで快適です。

今迄の条例を改正して「美術関係のみ」の利用限定を、「文化芸術に関する事」ならすべて使えるようにしたそうです。さすが!色々な工夫は条例にまで及ぶんですね。この小ホールで講演も楽しみになってきました。こういう情報は、活動範囲が広がっている”ベンチャー企業”とかも知っているといいかもしれませんね。新しい元気な産業に似合います。


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みっちり2時間の #空っぽ状態の美術館  見学でしたが、美術館は「美術品」というナマモノを扱うデリケートなお仕事なんだなと感じました。そしてリニューアル工事の最中は、美術品を外に出さなければ工事が出来ません。預けたりすると「美術品専用倉庫の整備・管理費」に「6億円以上」がかかるので、九州国立博物館などに貸し出して、経費節約をしたとのことです。いろいろコストを下げるのも大変ですね。

時代の変化に応じた「新しい美術館な求められる機能」を考えて、美術館のリニューアルのための「スキル」にもアップデートが必要だと言うことが分かったのが、印象的でした。

リニューアル・オープン日である、3月21日も、「3→2→1」というカウントダウンの日付です。どれもこれも細かい所まで、配慮されている気持ちが凄いなと感じた日でした。

福岡にお住まいの方も、出張や旅行の方も、大濠公園と福岡市美術館に立ち寄ってはいかがでしょうか?2019年3月21日(木・祝)にリニューアルオープンが楽しみです。



おわりに

これが32センチ【角タイル】なのか?
「建築とタイルの密接な関係」すべてのサイズはタイルから始まる。というハナシが印象的でした。大きな建築も、小さなタイルから。何か感じ入るものがありました。



下記Linkから、新しくなった福岡市美術館の全景youtubeでどうぞ。



追伸

外に出たら、披露宴用なのか?写真撮影をしていた。海外からの方だろうか。従来の「ハコモノ視点」では無く、サービスとしての「ソフト視点」は、インバウンド需要を考えても大事だなと思いました。



福岡市美術館の方々の「ソフト視点」に改めて経緯を表すると共に、オープン日まで大変さを考えるとリスペクトしかありません。頑張ってください。そしてお体に気をつけて!!

※誤字脱字、間違い情報、など気がつかれたら、教えて頂ければ助かります。コメントもしくは、TwitterDMでも結構です。よろしくお願いします。




#福岡市美術館   #リニューアルオープン   #空っぽ状態の美術館とは

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