素直_横

結局、一番成長するのは「素直な奴」である

これ、よくもらう質問。僕の回答は、いつも決まって「素直な奴」です。

現代は、かつてないほど変化のスピードが早いけど、どういう時代になっても、変わらないものがある。そのひとつが、だいたいのスキルは、守破離である、ということだ。

しゅ‐は‐り【守破離】

剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

※出典:コトバンク

仮に、あなたが中華料理店に転職して一週間ほど経ったとする。昼時の厨房は戦争だ。あなたがオーダーの入ったラーメンをつくり始めようとしたとき、マスターが「おい!先に餃子を2枚焼きはじめて、そのあとそこの長ネギを5本切っておけ!」と言われたらどうするだろう。

ほとんどの人は、「へいっ!」と言うことを聞くけれど、何人かは「え、先にラーメンつくった方がよくないですか?」と持論を持ち出す。

「入ったばかりの新鮮な眼で社内を見渡して、違和感があることは遠慮なくどんどん言ってね♡ そういう視点って、入社してしばらく経つと当たり前になって忘れちゃうから。そういうところに貴重な発見って隠されているからさ(うちは入ったばかりの子の声にも耳を傾ける柔軟かつ現代的な会社だよアピール含有率高め)

入社間もない新卒や経験の浅いスタッフの意見に、「いいから言われた通りやれ!」と返すと、伝統的、前時代的、ブラックな会社と言われる時代になった。

わかる、わかるぞ…!

新卒や入社間もないスタッフからの意見に金言が隠されていることがあるか? あることもある。

新卒や入社間もないスタッフからの業務改善提言に「なるほど!言われてみればそうだね!」という的を射た意見があるか? あることもある。

でも(ちゃんとした会社なら)ほとんどの場合、かなりの確率で、ない(プランニングとかアイデアとかは別)。

中華料理店の厨房を5年任され、1日200人のランチタイムを仕切り、数百、数千回、ラーメン麺硬め、味噌ラーメンネギ抜き、塩ラーメンたまごトッピング、チャーハン、餃子、肉野菜炒め定食、レバニラ定食を最適なタイミングで顧客に提供してきたマスターが、「いまはラーメンじゃなく餃子2枚とネギ5本が先だ」と言っているのである。99.999999999%、マスターが正しい。

無論、0.000000001%(適当)の確率で、ラーメンが先、が正解のときもある。が、その確率のために、いちいち「(優しく)なんでそう思ったの?」「そっかー、そういうふうに考えたんだね」「うん、今回は違うけど、それってとても大切な視点だよ」「思ったことはこれからもどんどん言ってね」なんてことをやっていたら、客は「おい!俺のラーメンまだか!」ってなる。

これ、会社でも同じなのですよ。

若さや創造性もいいけど、それは(守破離)の「破」でやってくれ。「破期」になったら、話を聞く。意見も尊重する。個性も出して欲しい。でも、それは「守」が終わってからだ。

空手をやったことない奴が空手教室行って、「最初はこの型からだ!」と言われたとき「えー、僕はこっちの型からやりたいです」「この型って意味あるんですか?」とか言うか?

くどいけど、仕事も同じです。

「いや、そんなことはない。クソみたいな仕事はたくさんあるし、仕事ができないバカな上司もたくさんいるから、仕事の場合、必ずしも守破離ではない場合もある」という声が聞こえます。あのね、例外出し始めたら話が進まないでしょ? ここでは最大公約数の話をしているので、あしからずご了承をば。

僕のお怒りスイッチがポチッとなされるやつに「これ曲げたら、自分が自分じゃなくなっちゃうんですよね」というものがある。

自分らしさ、哲学、主義主張、こだわり、人それぞれだ。

でもね、「これ曲げたら、自分が自分じゃなくなっちゃうんですよね」という言葉は、自らを小さな箱に閉じ込めていることにならないか。

いまの自分が最終の型なら、いまの自分が持つ主義主張が人生を賭して守るべき最も大切な尊厳なら、それでもいい。

でもあなた、新人よね? と。現時点ですでに最終型なの?磨き抜かれた完璧な姿なの? 違うはずだ。あなたはまだまだ伸びる可能性の塊である。

素直なことは、媚びへつらうことでも、従順なことでもない。

まず、言われたとおりやってみる。ちょっとおかしいな、なんでだろう、と思うことがあれば(背景や目的は聞いても良いけど)まずは言われたとおりにやってみる(ほとんどの場合、疑うスキルなんて無いんだから)

素直にやる。指示されたとおりにやる。納期よりも早く終わらせる。期待されているよりも高い精度で終わらせる。それを繰り返す。そうすると、最初に感じていた疑問や葛藤は「なるほど、そういうことか」と、ほとんどの場合、解消する。

それでも「ここはおかしい」「こうした方がもっと良い」と思うことがある。そのときが「守期」が終わったタイミングだ。ここからは、大いに個性を発揮し、意見を言い、自分の思う通りにやってみる。逆に、「守期」が終わったのに、言われたことしかやらない他律タイプや、個性が発揮できない人(破ができない人)は、そこで成長が止まる。

「守」がなくて(下積みがなくて)成功できる人もいる。一度も会社勤めの経験がなく、いきなり起業して成功し、本を書き、セミナーをやり、多くの信者を持つような人たちだ。

でも、それは100万人に一人の異常値だ。一般人の僕らに、再現性は無い。

僕はマーケティングを20年やってきた。それなりのことはできる自負がある。でももし仮に、トライバルを離れて違う会社に転職(?)したとしたら、少なくとも3ヶ月間は、新しい組織の中で「守」に徹する。

それは、空気を読むことでも、猫をかぶって様子を見ることでもない。その組織がつくってきた「正義」をまずすべて自分の中に取り入れ、その上で自分の個性を出すことが、結局(自分の思い通りの成果を出すための)最短距離であることを知っているからだ。

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もうひとつの視点。

素直な奴は、なぜ成長が早いのか。

それは、先輩や上司からかわいがられるからだ。

先輩や上司だって、人間だ。指示したことに、いちいち「なぜですか?」「本当ですか?」「そうは思いません」「僕は、私は…」と言ってくる新人は、かわいくない。

せっかく良かれと思っていろんな助言をするのに、いちいち持論を展開されたら、面倒くさくなる。自然と距離が生まれ、いずれアドバイスすることを避けるようになる。

逆に、素直なやつは、気持ちがいい。

アドバイスをすると「はい!」「なるほど!」「勉強なります!」「やってみます!」と返ってくる。かわいくなる。

かわいいから、みんなアドバイスしてあげたくなる。みんながその子に目をかけ、かわいがる。だから成長が早くなる。

かわいがる先輩や上司の心理は、その子を育ててやりたい気持ちが半分、その子から気持ちの良い反応が返ってくることで、自分が気持ちよくなりたい気持ちが半分だ。人間というのは、そういうものである。

誤解されそうだから、念のためもう一度言っておく。

「素直さ」とは、媚びへつらうことでも、従順なことでもない。

「素直」とは、考え・態度・動作がまっすぐなこと。ひがんだ所がなく、人に逆らわないこと。心が純真さを失っていないこと。

「素直さ」とは、打算でも演じることでもない。隠そうと思っても毛穴からにじみ出てしまう、その人のキャラクターそのものだ。

人からかわいがられる人、愛される「人たらし」は、年齢に関係なく、明るく、まっすぐで、素直な人だと思う。

いつの世も、人は、気持ちの良い人の周りに集まるのだ。

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