頭胸腹

自分の想いを伝えたいのなら、コミュニケーションは相手の頭と胸と腹の3箇所を狙い打て

どんなに話や説明やプレゼンがうまい人でも、自分の頭の中にあることの100%を相手の頭の中に置いてくることはできない。

それは「人は聞きたいように聞く」ことや、「自分の知識や経験の中で解釈しようとする」こととは別に、もうほんと単純に、そこに感情が入るからです。

てことをずーっと感じていたので、昨日こんな投稿をしたらプチバズが。

みんな同じこと思ってたんですね。そしたら株式会社スリーピースの堤社長がこんな引用RTをしてくれまして。

頭(理解)と腹(納得)の話はいつもしてたけど、胸メタファーは使ったことなかったなああああ!!

てことで、改めてまとめておく。

そもそもコミュニケーションの目的って

たんなるおしゃべりなら楽しきゃいいわけですが、仕事上のコミュニケーションには必ず目的がある。

仕事の指示だったり、アドバイスだったり、叱咤だったり。顧客に対してなら、営業(提案)だったり、交渉だったり、打ち合わせだったり。

すべてに共通するのは、ビジネス上のコミュニケーションのゴールは、自分の思い描いていることや考えていることを、いかに正確に、そして高い解像度で相手に伝え、その上で相手が自律的に行動を起こしてくれることです。

コミュニケーションのゴールは、よく「伝えることではなく、伝わることだ」といわれますが、伝えることも手段であって目的ではありません。ゴールは「伝わることで、相手が自律的行動に移ってくれること」です。

ちなみに、当たり前ですが、「伝えた」のに「伝わっていない」のは、ほとんどの場合、伝え手側に責任があります。

「相手に聞く気がない」「相手の頭が悪い」と相手を馬鹿にするのは勝手ですが、いずれにせよ「伝わってない」「動いてくれない」んだから、どんなに自己正当化をしたところで何も変わりません。伝え手側の負けです。

わかるの5段階

僕は昔からこれを「わかるの5段階」(©俺氏)と呼んでいます。

わかるの5段階

たとえば、事業が絶好調で、100人の会社に毎月10人の新入社員が入ってくるとしましょう。

次から次へと新しい社員が入ってくるため、昔からいた社員はただでさえ忙しい自分の仕事をこなしながら、新人の受け入れや教育でてんてこ舞いの状況です。

社長:「わが社の事業が絶好調だ!業容を拡大するため来月から新入社員を毎月10人ずつ増やす。受け入れ頼むぞ!」
社員:
・社長が話しているのは日本語だから言葉はわかる
・話の意味もわかる
・仕事が忙しいから人を増やすということも理解はできる
・でも現場はそんな簡単には回らねえんだよクソが!(納得できない)
・勝手にやってろボケ(自律的に動かない)

これは、理解までできたけど、納得できないから自律的行動までつながらない典型的な例です。

相手が自律的に動かないのは「納得していない」から

「理解」と「納得」は違う。いくら話を「頭で理解」してもらえたとしても、「腹の底から納得」していなければ相手は絶対に動かない。

じゃあ、理解から納得に移すためにはどうしたらいいの?

それは、伝えたい話の前後、つまり、「(前)その話の背景」と、「(後)それが達成されたときの状態」でしっかりサンドイッチしてあげること。

先ほどの例で社長は「わが社の事業が絶好調だ!業容を拡大するため来月から新入社員を毎月10人ずつ増やす。受け入れ頼むぞ!」と社員に言いましたが、前後の話を付けるとはこういうことです。

(前)「昨年行われた政府の規制緩和によって市場が前年対比3倍に膨れ上がっている。これは創業時に予想していた通りでいまが千載一遇のチャンスのときだ!」
(中)「わが社の事業が絶好調だ!業容を拡大するため来月から新入社員を毎月10人ずつ増やす。受け入れ頼むぞ!」
(後)「わが社の顧客満足度は90%を超えている。われわれのビジネスが拡大することが顧客や社会の幸福につながるんだ。みんな力を貸してくれ!」

どうでしょう。だいぶ印象が違うんじゃないだろうか。

このように、僕は話の前後に背景とその結果を付け加えることで、理解と納得の溝を越えていけると思っていました。

しかし、コトはそんなに簡単にいきません。なぜなら、僕たち人間は、感情を持った社会的動物だからです。

「良いか悪いか」と「好きか嫌いか」

人は、「良いか悪いか」の認知的態度と、「好きか嫌いか」の感情的態度で物事を決めます。

ビジネスのコミュニケーションだからといって、すべてが合理的に判断されるかと言ったら……そんなことありませんよね。

むしろ、ビジネスの方が個人に大きな権力や予算がつくので、最終的には意思決定権者の「好きか嫌いか」(感情的態度)で決まることが少なくない気がします。

なのに、先ほど紹介した「わかるの5段階」には肝心の感情的態度が要素として入っていない。

となると、こうなります。

社長
「昨年行われた政府の規制緩和によって市場が前年対比3倍に膨れ上がっている。これは創業時に予想していた通りでいまが千載一遇のチャンスのときだ!」
「わが社の事業が絶好調だ!業容を拡大するため来月から新入社員を毎月10人ずつ増やす。受け入れ頼むぞ!」
「わが社の顧客満足度は90%を超えている。われわれのビジネスが拡大することが顧客や社会の幸福につながるんだ。みんな力を貸してくれ!」

社員
「ケッ!綺麗事ばかり並べやがって。都合がいいときだけ力を貸してくれだと? 俺あいつ大ッ嫌い!」

うん。成立してない。

てことで、数年ぶりに加筆しました。

胸(心)の感情フィルター

わかるの5段階_New

頭で理解してもらった話を、腹に落として納得してもらうためには、頭と腹の間にある胸(心)の感情フィルターを通過する必要があります。

その胸(心)のフィルターこそ、感情的態度、つまり好きか嫌いか(好意を持つか敵意を持つか、好感が持てるか反感をかうか)なのです。

画像3

人体図だと頭→胸→腹と、上から下なのに、わかるの5段階が下から上だからわかりづらいですね。

上下を逆転してみましょう。

わかるの5段階_逆転

こっちの方がわかりやすいですね。

ビジネス上のコミュニケーションとは、相手の頭からアプローチして、胸(心)のフィルター(好きか嫌いか)を通過してキッチリ腹に落として納得してもらうことがゴールとなります。

上から下へ。論理とハート。深く深く。

そして、やっぱり「人たらし」は有利なんだと思う

ここまで書いてみて思ったのは、やっぱり昨日投稿したこれは真理なんだってこと。

だって、「あなたの言ってることよくわからないけど、あなたのこと好きだし、なんかおもしろそうだから一緒にやるわ」って、最高のほめ言葉じゃないですか。

これ、図にするとこうなります。

わかるの5段階_ショートカット

もうね、フレームとか関係ない。理解の5段階も崩壊。

理解がなくても、つまり頭をすっ飛ばして、胸(心)でキュンキュン、ビンビンに感じてるから、一気に腹に落ちて納得→GO!!(行動)という。

実際、世の中にはそういう人が大勢いて、今日もどこかで誰かをたらしてる。

コミュニケーションは頭→胸→腹の順で

でもま、僕ら凡人はいきなり相手の胸を打ち抜くなんて難しいので、丁寧に頭から攻めて、胸の感情フィルターに引っかかることなく、腹に落とすコミュニケーションを心がけたいもの。

論理だけじゃだめ。好かれるだけでもだめ。当たり前だけど、強いやつは両方持ってるってこと。

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