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マーケティングの医療ミスをなくすことで「こんなはずじゃなかった!」の撲滅を目指す書籍『マーケティング「つながる」思考術』を出版します‼(→前書き全文公開)

毎日仕事をしていて、様々な「なぜなんだ!」に遭遇します。

たとえば、

  • なぜ多くの人は、この世のどこかにリスティング広告よりも効率的な(CPAが低い)顧客獲得手法があると思ってしまうのだろう(そんな魔法はこの世に無いよ!)

  • なぜ多く人は、動画マーケティングのCPAがリスティング広告よりも低くなると期待してしまうのだろう(動画マーケティングの真の強みはそこじゃないよ!)

  • なぜ多くの人は、コンテンツマーケティングが「すぐに効く」「広告よりも ”効率が良い” 手法」だと誤解してしまうのだろう(アンコントローラブルな要素が多いし、すぐには効かないよ!)

  • なぜ多くの人は、バズれば商品がバカ売れすると思ってしまうのだろう(バズで売れる商品カテゴリーは一部だよ!)

  • なぜ多くの人は、SNS公式アカウントで「すぐに商品が売れる」「すぐに来店客が増える」と思ってしまうのだろう(SNSを見ている人は ”あなたに用の無い人” だよ!)

  • なぜ多くの人は、インフルエンサーが投稿すれば「拡散が起こる」と思ってしまうのだろう(拡散と共有は違うよ!)

  • なぜ多くの人は、戦略PRで自社商品のメディア露出が増えると思ってしまうのだろう(戦略PRは商品パブリシティじゃないよ!)

  • なぜ多くの人は、目先のCPAに目を奪われるあまり、中期的なCPAを上昇させてしまうのだろう(指名検索数を増やさないとどんどん辛くなるよ!)

  • なぜ多くの人は、ファンマーケティングでLTVの向上と新規顧客獲得が進むことに過度な期待をしてしまうのだろう(ファンがかわいそうだよ!)

  • なぜ多くの人は広告を打って商品が売れないとき、「売れないのは広告のせいだ!」と思ってしまうのだろう(広告効果とマーケティング効果は別物(広告効果はマーケティング効果のごく一部)だよ!)

などです(まだまだありますが、この辺にしておきます)

偉そうに言ってますが、僕もまだまだ修行中の身ですから、俺is正解とは思っていません。それでも常々「これらの行き違いによる不幸を減らすことはできないものか……」と強い問題意識を持ち続けてきました。

そんな思いもあり、2022年6月に『売上の地図』(日経BP)を出版しましたが、本書は売上全体の因果構造を示すものであり、現場(個別施策や手法)レベルの誤解や行き違いを減らす効果は限定的でした。

一方で、2022年11月に書いた以下のnoteは、いまだに多くの人に読まれ続けています(公開から1年が経ったいまも月間1,000PV以上あります)

そうか、「現場」のみんなが欲している情報は「ここ」なんだな? と思い、このたび、上記noteをベースとして、長年課題を感じてきた「現場レベルの誤解や行き違い」をなくす本の執筆に挑戦することにしました。

そんな思いを本書の「はじめに」でも書きました。全文公開しますので、よろしければ読んでください!

はじめに

マーケティングの「医療ミス」をなくしたい。

これが本書執筆の目的です。マーケティングの現場では、今日もどこかで以下のような不幸や落胆が生まれています。

  • テレビCMを打ったのに売上はたいしてあがらなかった。テレビCMはオワコンだ!

  • 顧客層を広げるためにリスティング広告の予算を増やしたのにCPAが上がってきている。運用を任せている代理店は何をやっているんだ!

  • 動画マーケティングに取り組んだがCPAが高くてガッカリした。話題だから取り組んだのに期待ハズレもいいところだ

  • コンテンツマーケティングに取り組んでいるが客はまったく増えていない。「こちらから売り込まずに顧客から見つけてもらう」なんて嘘八百じゃないか!

  • バズったけど売上はピクリともしていない。それじゃ意味がない!

  • SNS 公式アカウントを運営しているが「売り」につながっているとは思えない。こんなのやっている意味あるの?

  • インフルエンサーマーケティングに取り組んだが、投稿が拡散せずガッカリした。売上はたいしてあがらなかったし、やらなきゃよかったな

  • 戦略PRに取り組んだのに自社商品の露出がされず期待外れだった。何が戦略PRだよ

  • ファンマーケティングに取り組んだのに売上があがっているようには思えない。こんなことならいつも通り新規顧客獲得の広告を打っておけばよかった

これらの大半は、施策そのものが悪かったのではなく、医療ミスによって引き起こされたものです。つまり、診断と処方のいずれか、または両方を間違うことによって「取り組む前から失敗する(期待する成果が得られない)ことが確定していた取り組み」なのです。

マーケティングの目的は「お客様に買っていただくこと」ですから、マーケターの仕事とは自社商品がお客様に買っていただけない理由(=病気)を正しく診察・診断し、その病気を最も効果的に治療する薬を処方することと言えます。

それにもかかわらず、多くの現場で、頭痛の人に胃腸薬が処方され、胃痛の人に頭痛薬が処方されてしまう。そして「なんだこの薬は! ぜんぜん効かないじゃないか!」とトラブルになる。また、患者側が「先生、最近なんだか体調が悪いんです。話題の “あの薬” をもらえませんか?」と「流行りの薬」を欲しがり、自身の病気とは関係のない新薬を飲み、「まったく効かないじゃん!」と落胆する。

これらは、飲んだ薬(施策)に問題があるのではなく、自身の病気に合った薬を飲んでいないことに原因があります。

この世に「どんな病気も治せる万能薬」が無いように、「あらゆるマーケティング課題を一発で解決してくれる万能施策」もありません。また、「健康になるための “健康薬” 」がないように、「売上をあげるための “売上向上施策” 」もありません。あるのは、売上をあげるための「認知向上施策」「興味喚起施策」「理解促進施策」「信頼獲得施策」などであり、「売上をあげるための施策」が存在するわけではないのです。

頭痛薬が頭痛にしか効かないように、特定の手法や施策は特定の課題にしか効きません。「健康な体(=売上)」は、「各症状に応じて飲む複数の薬(=施策)」が構造的に効いた結果として得られるのです。そのためには、自身の病気を正しく診断し、正しい処方を行う以外に方法はありません。

ではなぜ、マーケティングの現場ではこれほど多くの医療ミスが頻発してしまうのでしょうか。それは、多くのマーケターが持っている様々な知識(点)が、マーケティングの流れ(線)や、戦略の全体像(面)とつながっていないからです。マーケティングを「お客様に買っていただくこと、および買い続けていただくことを頂上とした登山」と見立てた場合、頂上に至るルートは必ずしも1本とは限りません。主要なルート(線)がマーケティングの流れであり、それぞれのルート上に存在する様々な障害物を乗り越えるための具体策が施策(点)であり、頂上までの複数ルートの設計がマーケティング戦略の全体像(面)を表します。

全体像やルートを見失ってしまう最も大きな要因が、各ルートに潜む障害物です。目の前の障害物を乗り越えること(点)に集中しすぎるあまり、障害物を乗り越えることそのものが目的化し、「あれ、これって何のためにやってるんだっけ?」と自分がいる位置を見失ってしまう。その障害物は頂上に至るルート(線)に存在している「乗り越えなければならないひとつの通過点」であり、常に「その先がある(ゴールは常に登頂である)」ことを忘れてはなりません。

頂上に達するための戦略の全貌が見え、それぞれのルートの位置付けや代表的な障害物、それらを乗り越える戦術の背景と意味がわかったとき、 マーケティングは格段に正確に、そしておもしろくなります。マーケティングの<点⇄線⇄面>がつながっていないことは、医療ミスを引き起こすだけでなく、現場で働くマーケターの「仕事のつまらなさ」や「飽き」にもつながっています。マーケティングのデジタル化によって仕事や組織が超高度に分業化された結果、特に若手のマーケターは「CPA◯◯円以下で顧客獲得目標数◯◯人」といった局所的な(点の)仕事しか取り組む機会がなくなってしまいました。

その結果、あらゆるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が分断され、現場は「KPI 達成のためのKPI達成」で溢れ返ってしまいました。たとえば、自動車や住宅メーカーにおけるWebサイトのKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)のひとつに「来場予約」があります。Web 担当は自身のKPI達成を目指し、数字が足りなければプレゼントキャンペーンや広告出稿などで来場予約数を増やそうとします。しかし、プレゼント目当ての予約客を増やしても、ドタキャンが多かったり、来場してもホットな見込み客にならず営業の手間を奪うだけで、むしろ全体の営業効率を悪化させることになりかねません。

マーケティングの最終ゴールは成約数を増やすことであり、来場予約数や来場客数はそのための手段でしかありません。それなのに、行き過ぎた分業と個別KPI達成への圧力が、必ずしも目的の達成につながらない部分最適業務を大量に生み出してしまっているのです。

現場のマーケターは、上記のような不毛地帯から抜け出すため、一生懸命勉強をしています(本書を手に取っているあなたです!)。しかし、幅が広く、一つひとつの奥が深いマーケティングの学習は一筋縄ではいきません。皆、以下のような問題意識を抱えています。

  • 何を、どの順番で学んだらいいのかわからない

  • 自身の学び方が正しいのかどうかわからず不安だ

  • マーケティングの全体像がわからない(自身がいま、どこの何を学んでいるのか位置関係がわからない)

  • 学んだことを実践で活かせない

  • マーケティングの師匠的な存在がおらず、フィードバックが得られない

  • 社内で共通言語がつくれず孤立している

マーケティングのデジタル化は、大量の「点の仕事」を生み出しました。そして、すべての若手マーケターは、必ずいずれかの「点の仕事」からキャリアが始まります。しかし、先にも述べた通り、点(個別施策)は線(頂上に至るルート)上にある個別障害物を乗り越えるひとつの解決策であり、目的はあくまでルートを進み、頂上に達することです。頂上が見えず、自身が進んでいるルートの全貌もわからず、目の前の障害物とだけ対峙していても、質の高い問題解決にはつながりづらいでしょう。何よりも、その仕事はあまりおもしろくないですよね。

もちろん、点は重要です。点があるから線がつくれるし、線を進むから面が成立します。しかし、点だけを見て点に取り組むのと、面の中で線を見て、その線上にある点の種類と順番を知った上で、目の前にある点と対峙するのでは仕事の精度や創意工夫、やりがいに雲泥の差が生まれます。

日曜日の朝に友だちと待ち合わせをし、「さ、行こうか」と言われ、1時間くらい歩かされたら誰だって不安になりますよね? 「どこに向かっているの?」「目的地まではどのくらいの距離があるの?(何時間歩くの?)」「どんな道順なの?」「途中で休憩はするの?」、そして何より「なぜそこに行くの?(苦労して目的地に着いたらどんないいことがあるの?)」――聞きたいことが山ほどあるはずです。

面と線がわからない中で点の仕事に取り組むのは、戦略面からも現場で働くマーケターの精神面からも健全ではありません。これら背景情報がわからないまま取り組む「やらされ仕事」の膨張が、「自分の頭で考え、現場で創意工夫を繰り返す力」を弱体化させ、医療ミスを誘発する一因になっています。

これらの課題を解決するためには、「いま取り組んでいる仕事は、どんな戦略の全体像(面)の、どのルート(線)に置かれた障害物を乗り越えるためのもの(点)なのか」、強く意識をしながら仕事に取り組む以外にありません。それは決して簡単なことではありませんが、本書がその手助けになるはずです。

本書が想定する読者層

本書は、主にB to C商材を扱う大企業(メーカーや小売チェーン、サービス業や外食業)の事業部、広告宣伝、PR、マーケティング部などに所属する方、またそれらの方々を支援する広告会社やPR会社、コンサルティングファームやその他様々な支援ベンダーに従事する方を主要読者としています。いずれも、まだ知識や経験の多くが「点」として散在していて、「線」 や「面」としてつながっていない20代〜30代の若手から中堅スタッフに照準を合わせています。そのため、上記業界への転職を考えている業界未経験のビジネスパーソンや、当該業界への就職を考えている学生にもフィットするはずです。

遅くなりましたが、僕の自己紹介をさせてください。

僕の専門領域はマーケティングです。過去25年にわたって、大手企業300社以上の宣伝、PR、マーケティングの支援に携わってきました。キャリアの前半は、マーケティングリサーチ、コンセプト開発、ネーミングやパッケージデザインなどの商品開発、メーカーの広域流通対策や棚割りの売場生産性分析などを経験し、キャリアの後半は、2007年に現在のトライバルメディアハウスを創業し、ソーシャルメディアやデジタル活用の側面から企業のマーケティング支援に従事してきました。

キャリアの前半で伝統的なマーケティングを学び、後半でソーシャルメディアやデジタルの領域で実践を積んできた(ひとつの領域だけを深く追求してきた人間ではない)からこそ、売上に影響を与える様々な変数を客観的・中立的に俯瞰して捉えることができると考え、2022年6月に『売上の地図』(日経BP)を上梓しました。

世には良質な専門書がたくさんあります。しかしそれらの多くは特定の理論や手法を深く解説するものであり、「全体感」や「それぞれの手法の位置関係」を理解し、日々の業務で実践する上での「選択」や「組み合わせ」を助ける「面における点や線の相対的理解」、そして点と点、線と線をつなげる「抽象概念同士の接続」はそれぞれの読者の経験や努力に依存してしまう問題がありました。

本書は「売上をあげるため(お客様に買っていただくため)」のマーケティングコミュニケーションを設計するにあたり、「個別施策⇄主要ルート⇄戦略」を「点⇄線⇄面」としてつなげ、それぞれの主要施策で「できること」と「できないこと」を相対比較することで、あなたが現在担当している仕事の位置関係や意味の解像度を高めることを目指しています。多くのマーケターの「点⇄線⇄面」がつながれば、マーケティングの現場で大量に発生している医療ミスは必ず減るはずです。

本書読了後、あなたはきっと早く実践で試してみたいとウズウズ、ワクワクしているはずです。本書が、読者のマーケティング実務におけるガイドブックとなり、マーケティングの現場から医療ミスがなくなることを願っています。

2024年1月吉日
池田 紀行

目次

序章 マーケティングとは何なのか?
第1部 なぜいまマーケティングの現場で “医療ミス” が頻発しているのか
  第1章 あらゆるマーケティング課題を一発で治す万能薬はない
  第2章 頻発する医療ミスとその要因
第2部 マーケティングの〈点と線と面〉をつなげる
  第3章 マーケティングの〈点と線と面〉を理解すべきこれだけの理由
  第4章 マーケティング戦略の全体像=〈面〉を描く
  第5章 マーケティング戦略の9つの原理原則
  第6章 購入に至る4つの主要ルートで〈面と線〉をつなげる
第3部 〈点〉を理解する
  第7章 主要施策の「できること」と「できないこと」
  第8章 施策の効果を正しく測定する

出版は2024年1月17日(水)です‼

ということで、Amazonご予約キャンペーンを行います!

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  • 『マーケティング「つながる」思考術』をAmazonでご購入いただき、購入履歴や注文確認メールに記載されている「注文番号」を控えてください

  • 下記のお申し込みフォームに必要事項をご入力のうえ、お申し込みください

  • フォームへのご入力締め切りは2023年12月31日(日)23:59です

(追記)
Amazonご予約キャンペーンは終了致しました。多数のお申し込み、ありがとうございました!
(追記ここまで)

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