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子どもと大人、そのバランス。【6月24日〜25日 北海道旭川市〜東川町】

子連れ旅、早くも4週目。何かと強弱を付けたりバランスを取る必要があるなぁ、と感じている。そのひとつは、子どもと大人のバランス。子ども向けのところばかり行っても大人が疲れてしまうし、大人が行きたいところばかりでも子どもが飽きてしまう。でも、どう考えても子ども向きではないけれど、どうしても行きたい場所だってある。どちらも「付き合わされている」と感じることなく過ごすには、やはりお互いの意向を重ねながら、バランスよくスケジュールを組んでいくことが欠かせない。

今日からは、そんなことを考えて組んだ2日間。まず1日目は、子どもデイ。娘が日本一周で楽しみなところの筆頭に挙げていた旭山動物園。ノートに見たい動物も列記して、ガイドブックで作戦も練って、準備万端!真夏みたいな日差しが照りつける中、SAの駐車場で急いで朝食をとり、開門時間目指して出発した。あ、今日は朝日がとてもとても、美しかった。

到着するなり、マップを頼りに見る順番を見定める娘。それはそれは、大張り切り。ペンギン館、キリン舎、もうじゅう館…どれも魅力的すぎて目が泳ぎつつも、なんとか廻る順番を決定。私たちは娘の言うとおり、着いていくことに。あ、お決まりのこれもね。

カバ館、あざらし館、ペンギン館と、最初は水族館みたいな水槽の中を眺めるゾーンが続く。下から、横から、いきいきと動物たちが泳いだりじゃれ合ったりする様子は、大迫力。これまでの動物園とは違った視点で動物たちと出会える。なるほど、これが旭山動物園の魅力なのね。ただ、この日は最高気温が30度近くまで上がったので、ペンギンさんは少し暑そうだったかな。娘は大興奮で、パパから借りたスマホで写真撮影に夢中。最近はもっぱら、撮られるよりも撮る派な彼女。

続いてキリン舎、もうじゅう館、オオカミの森、エゾシカの森。動物園に訪れるたびに思うけど、私はキリンが好き。凛とした美しさに、いつも見惚れてしまう。旭山動物園のキリンは、顔が間近に見られてよかったなぁ。エゾシカの角もとてもご立派。なんだかここの動物たち、神々しい。

そんな中でも、今日のクライマックスは、なんと言ってもこのチンパンジーくん。

娘大ウケの理由は…自分のウン○を食べていたこと。次から次へと口に入れ、ガラスにこすりつけ…。うわぁ、ドン引き。(写真の掲載は控えます…)でも子どもはこういうの、たまらなく楽しいよね。家族みんなで大笑いしながら、丸一日楽しみ尽くした旭山動物園をあとにしたのでした。

汗と疲れを温泉で洗い流して、この日も道の駅で就寝…のつもりが、うっかりコンビニの駐車場で寝落ちしてしまった私たち。わぁ、大変!と思って目覚めたら、あれ?道の駅。主人が子どもたちと私が寝たあとに移動してくれ、コインランドリーにも寄って洗濯も済ませておいてくれたよう。3〜4日に一度はコインランドリーを探す生活。家族の協力無くしては成り立たない。疲れてたのに、ありがとうね。

そして翌朝。道の駅で朝ごはん…と思ったら食材がうどんしかない。あぁ、素うどんでガマンかぁ、と思って道の駅のお手洗いに行くと、なんとお隣にお豆腐屋さんを発見!調べると、営業は朝7時から。娘が起きるのを待って、オープンに合わせてお店へ。ふんわり大豆の香りが食欲を誘う。おぼろ豆腐は「できたてでまだ冷えてませんが…」とのこと。おぉ、そのほうがいいです!香ばしそうな厚揚げも購入することに。芳醇な味とふんわり食感がが幸せを誘う、旅ならではの朝ごはんに、大満足。

娘は昨日動物園で購入したレターセットを取り出し、朝から幼稚園のお友達にお手紙を書いていた。みんなに届くといいね。

さて、今日は大人デイ。鶴岡の遠藤綾さんご夫妻から聞いて、ぜひ訪れたいと思っていた東山町の「北の住まい設計社」に向けて車を走らせる。田園風景の中、クラフト通りを抜けて行くと、突然現れた整えられたガーデンとおしゃれなショップ、趣ある建屋。ひと目でここだとわかり、ワクワクとともに、まずは「GOOD NEWS」と名付けられたショールーム兼ショップへ。

落ち着いた雰囲気の店内には、北の住まい設計社の家具はもちろん、セレクトされた雑貨類も並べられていた。北海道の大自然に囲まれた小さな田舎町にポツリと、こんな洗練された空間が広がっていたなんて。

「今日を幸せにするモノ」「100年後も幸せにするモノ」。少なくとも木が土に根を下ろしていた年月を家具として生きられるように。40年間に渡り、この東川町でひとつひとつ、職人による家具作りを続けてきたという。現在はその土地に根付くものづくりを目指し、北海道産の広葉樹を100%使っているのだとか。

その想いに心惹かれ、ショップの方に声をかけてみた。「工房を見学させていただくことはできませんか?」「あ、大丈夫ですよ」「え、いいんですか!?」 ありがたいことに、担当の方が案内してくださると言う。お言葉に甘えて、カフェでランチをとってからお時間をいただくことに。カフェのランチ、ピザもパスタも丁寧につくられていて、本当に美味しかった。

ランチ後、ショップで待っていてくださったスタッフの方にご案内いただく。カフェから森の中を抜けると、趣のある工房が現れた。築90年にもなる小学校の廃校をそのまま活かしていて、校舎、体育館、教員宿舎など、いくつかの建物が並ぶ森全体でものづくりをしている様子。まずは、木材を乾燥させている倉庫へ。

北の住まい設計社のものづくりは、木の乾燥からはじまる。無垢材は空気中の水分量によって伸び縮みするため、乾燥がとても大事。丸太を挽いた状態では含水率90%のところ、最終的に10〜9%になるよう乾燥させるとのこと。その手法は、なんと自然乾燥。防腐剤を使わず、定期的に積み替えを行いながら、ゆっくりゆっくり、樹種によっては2年ほどの時間をかけることもあるのだとか。自然乾燥の限度である20%ほどに至ると、今度は人口乾燥機へ。ここでも薬品などを使わず、東川の地下水を使うというこだわりぶり。

続いて、家具作りの工房へ。流れ作業ではなく、ひとりの職人さんがひとつの家具の最初から最後まですべての工程を担い、完成させるという。例えばテーブルなどは一度に5つほどつくるのだが、完成まで1ヶ月半ほどの時間を要するのだとか。つくる量は限られてしまうが、しっかりと木の個性を見極めるためには、ひとりの職人さんによる丁寧な手仕事が欠かせないという。

そのほかにも、ものづくりの工程やこだわりについて、場所を変え言葉を変え、たくさんのことを教えていただいた。まだまだ書きたいことが溢れているが、ものづくりに対する、その頑固なまでに実直な姿勢に驚くとともに、それを40年続けてきたという事実に、ただただ敬意を表したい想い。

結局、あれこれ聞かせていただき、トータルで1時間半以上もお時間をいただいてしまった。ものづくりに対する姿勢はもちろん、こんな突然現れたただの旅人に多大なる時間と労力をかけてくださることに、ただただ感涙。効率や見返りを求めることなく、自分たちの信じたことに対して妥協しない、手を抜かない、そんな人としてのあり方、企業としてのあり方に、背筋が伸びる想いだった。

本当は家具をオーダー…と言いたいところだけれど、今の私たちにはまだ身分不相応な気持ちもあって。いつか、またの機会に。小さな時計を購入し、心からのお礼をお伝えして、東川の地をあとにしました。深く心に刻まれた、あたたかな感動とともに。

こうして過ごした子どもデイと大人デイ。どちらも結果としては、大人も子どもも楽しんだけれど、やはり娘は家具作りの説明には飽きてしまったり、無理もさせた部分もあったかな。パパとママにいい時間を過ごさせてくれて、本当にありがとう。このあとは富良野のキャンプ場で、動物と自然と、思い切り遊ぼうね。


貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。