「構成作家×ディレクターでアニメ動画の台本作ってるよ」という話
こんにちは!動画ディレクターのいけだです。
前回書いたnoteも台本についてだったので、「いけだはどんだけ台本に熱いれてるんだ?」と思われてるかもしれません。でも何度でも言います。台本はとても重要です。熱も入るってもんです。
今回は、構成作家さんと二人三脚で台本を作っているよ、というお話です。いつもお世話になっている構成作家・放送作家のみなさまへ、感謝とリスペクトを込めて。そしていけだの普段の動画ディレクター仕事を、少しでも知っていただけたら嬉しいです。
※今回は、弊社の業務内容紹介を兼ねた内容になります。その手がイヤな人はごめんなさい。でも、動画制作に携わる人には「そんなやり方あるんだ!」と目からウロコになること間違いなしです。私が台本確認の際に力を入れている点もご紹介しているので、台本作成に興味ある方はぜひご一読ください!
ディレクターが台本を書かない制作会社がある
現在、私は動画制作会社で、説明用特化アニメ動画のディレクターをやっております。「短いアニメで、難しい商品やサービスを分かりやすく表現する」というのがサービスコンセプトです。
弊社の大きな特徴は、大事な設計図たる台本を「プロの放送作家や構成作家がつくっている」ということです。
どうですか?放送作家・構成作家。かっこよくないですか?(ドヤぁ)(自分がかっこいいわけでもないのにドヤぁ)
前回のnoteでも書いたのですが、多くの動画制作会社では、台本を書くのはディレクターです。その点、弊社はちょっとレアな体制といえます。
なんでディレクターが台本を書かないのか
動画制作業界にいる人にとって、当然出てくる疑問です。私も最初びっくりしましたから。「え?台本書かないのにディレクションって…大丈夫?」って。でも大丈夫なんです。
というのも、弊社がご提供しているのは「短い時間で誰もが理解できる分かりやすい説明アニメ動画」。プレゼンの場を想像してみてください。たとえば3分間で自社の商品やサービスを、情報の過不足なく・順序よく・分かりやすく説明するのって、なかなか難しくないですか?かなり綿密に準備し、かつ端的に話さなきゃいけません。さもなくば聞き手側は「あーなんか長いし、よく分かんないし、もういいや」ってなっちゃいます。
そうならないためにも、動画の台本って大切なんです。人間が興味ない話を集中して聞いてられる時間は、せいぜい30秒~1分程度(諸説アリ)。その間に、聞き手側の興味を惹き、必要な情報を提供し、飽きさせることなく最後まで聞いてもらわねばなりません。本当に必要なことを整理し、きちんと伝えるための流れるような「構成」を作る必要があります。
そこで弊社では、動画構成のプロである放送作家・構成作家と台本を作成している、というわけです。
「放送作家」「構成作家」ってどんな仕事?
さて、たびたび登場する「放送作家」「構成作家」という言葉。どんな仕事かご存じですか?
簡単に言うと、テレビやラジオなどの番組の「企画・構成」を考える人のことを指します。特にバラエティ番組や情報番組の中身を、プロデューサーやディレクターと一緒に考えるのが仕事です。
企画:番組枠の中で、何をどんなふうに伝えるのかという番組プランを作ること
構成:番組の進行プランを練り上げて放送台本を作ること
めっちゃくちゃかっこくないですか?いわば番組の設計者ともいえる人。
つまり、「限られた時間で、何をどのように伝えるか」を考えるプロフェッショナルなんです。
私を含む弊社のディレクターは、この構成のプロたる放送作家さんと一緒に、動画の台本を作成しています。以降、このnoteでは「作家さん」とお呼びします。
作家さん×ディレクターで台本作成する手順
ここで1つ疑問が出てくると思います。
「え、作家さんが台本作ってくれるなら、ディレクターなにしてるの?待ってるだけ?寝てるの?」
という声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。寝ておりません。
どういう手順で作っていくのか、今回こっそりご紹介します。
①クライアントのヒアリングには一緒に出席
動画制作の場合、受注したら最初にキックオフのヒアリングを実施しますよね。弊社も同じで、ディレクターと作家でヒアリングします。(あと、弊社の営業も同席します)
そこで、事前に営業担当がお伺いしていた要望や資料を元に、作家さんがクライアントにインタビューしていきいます。
台本作成に必要な情報をスルスルとヒアリングしていく様子、本当にすごいんですよ。きっとヒアリング中に、必要な情報・不要な情報も頭の中でより分けられてるんじゃなかろうか…いつみても「プロってすげえな」と思う瞬間です。
インタビュー後、ディレクターはアニメで使うキャラクターの雰囲気や色使いなど、動画のクリエイティブの方向性を詰めていきます。あとは今後の制作工程のご説明をしたり、疑問点を解消したり・・・といった、台本作成に必要な情報をそろえてヒアリングは終了です。
②ヒアリング終了後、作家さんが台本を作る
ヒアリング終了後は、作家さんの台本作成ターン。台本をアップしていただくまで、ディレクターは基本的に待ちです。
弊社の台本にはナレーション欄と文字コンテ欄がありまして、まずは作家さんに作っていただきます。クライアントの課題解決に必要な情報をこのように盛り込んで、これはナレーションで語って、これは文字テロップで、ここで商品写真を出して…という感じです。
③台本アップされたら、ディレクターがチェック
だいたい3~5日前後で台本アップくださるので、次からディレクターの出番。アップされた台本のチェックです。
などなど、いろんな点を確認しながら精度を上げていきます。すんなりOKなこともあれば、しっかり赤を入れて直していただくことも。(作家さんの意図をお伺いして、必要であればそのままにすることもあります。)
以前の記事で「ディレクターの使命は炎上案件にしないこと」と書きましたが、炎上させないためには、台本の精度をどれだけ高められるかも非常に重要なんですね。台本は動画の設計図なわけですから、ここで手を抜くとあとで「台本通りになってない」「そんなこと聞いていない」などのクレーム発生にもつながるのです。
最後に、出来上がった台本を客観的な視点でチェックします。ポイントは次の2点。
この点において、台本作成を2人の担当が行うのはとても有意義です。自分で作った台本って、どうしても客観視するのが難しいんですよね…最低30分、納期に余裕があるなら半日ほど置いてから最終チェックします。
④出来上がった台本は作家さんからクライアントへ提出
これでディレクターがOKを出せば、作家さんからクライアントに提出いただきます。クライアントからフィードバックがきたら、作家さんが修正→再度ディレクターがチェック→再提出‥‥という作業を、台本校了まで繰り返していきます。
台本に関するやり取りは、基本的に作家さんにお任せしています。(ディレクターが間に入って伝書鳩になっても全然意味ないし。)ただ、費用面や動画の演出面など、ディレクターが必要であるときはもちろん入ります。
何度かやりとりして、台本校了になったら、いよいよ制作に入ります!作家さんとの二人三脚はここで終了となります。
(そして次の案件へ)
いけだは台本書かないの?
結論から言いますと、今でもたまに書いてます。
私が本業で働いている制作会社のディレクターとしては、基本的には台本を書くというよりは、作家さんの台本をチェックする、という役割のほうが大きいです。
ただ、クライアントによっては「ディレクターが書いたほうが良い場合」もあります。例えばこんなときです。
1つ目と2つ目は、もう本当に困ったクライアントさんなんですが…作家さんを巻き込むのは負担が大きすぎます。初稿だけ書いていただいて、それ以降は自分で巻き取ります。最初の初稿で構成のイメージはつかめているので、自分でイチから書くよりはスムーズです。
3つ目は、作家さんは「構成のプロ」であって「アニメーションのプロ」ではありません。予算的にできるできないの判断をするのはディレクターの仕事ですし、アニメーション自体にすごくこだわりある場合は自分で書きます。(私が書いてみて、どうしても難しいときは作家さんに「これどう思います?」って形でお力添えいただくことはあります))
4つ目は、作家さんに頼むまでもないかなーってレベルのものであれば自分で書くほうが早いときってあります。
何かあったときに責任取るのがディレクターなので。ディレクター自身で巻き取ったほうがいいな、というのは自分で判断します。
この日は台本書いてました。とあるクライアントさんから「社内で意見が変わって…」という申し訳なさいっぱいの電話を受けたので、ヒアリングしてみたら「確かに全然違う!!」という方向性に。でもヒアリングの過程で完成形もある程度みえたので、自分で書くことにしました。
あと、たまに副業でシナリオのライティングもやらせていただいてます。自分でヒアリングして、構成から書きます。日々作家さんのプロのヒアリングと構成を目の当たりにしてるので、台本書く能力はすごくブラッシュアップされたと感じてます…!やっぱプロの仕事を目の当たりにするのはすごく刺激になりますね。
まとめ
作家さんとディレクター、二人三脚で台本を作成するプロセスをご紹介しました。
構成は、プロの構成作家さんに。クリエイティブは、プロの動画編集者さんに。ディレクターは全工程の責任者としてディレクションにあたっています。各工程のプロが集って、クライアントの課題解決のためになる動画をご提供できるよう毎日頑張ってます!
私はツイッターもやってるので、ぜひ遊びにきてください!質問やnoteのリクエストも大歓迎です◎