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わざわざ悩むための命題②過去と償い

過去と償い がテーマの命題です!
普段は目を瞑ってることにわざわざ悩んでみてください。
設定を置き換えてみるとなかなか近い状況が日常にもあったり…


命題1
万引き行為や暴走運転行為を繰り返し行ってきた啓介は少年院に入った。
青春を少年院で終えた啓介は20になり、工場に就職した。勤務態度も良好で、余暇にはオフィススキルを磨くためパソコンの勉強をしていた。3年が経ち、オフィスワークの仕事へと転職した。
経歴は高校中退であったが、履歴書上は少年院の経歴を隠していた。啓介自身心苦しい面はあった。
その後、オフィスワークの企業では10年が経って啓介は部長となった。

Q.啓介の経歴を隠す行為は許せるか許せないか。

命題2
その後、啓介は婚約相手ができ、両親に挨拶をする事になった。少年院にいた事実は、彼女には伝えておいたが、彼女の提案で両親に隠していた。
彼女は納得している。

Q.両親に経歴を隠していたことは許せるか許せないか。

命題3
啓介は彼女と結婚を前にして、些細なことから大喧嘩になってしまった。その際、彼女は啓介に対して、「少年院あがりだから嘘も平気でつくのね」と言った。
その時は耐えた。しかし、その後1-2週に1度喧嘩になると少年院にいたことを引き合いに出されてしまった。そんなことが3ヶ月に渡って続いた。
ある日、啓介は仕事から疲れて帰って来るとまたそのような喧嘩になってしまい彼女がビンタをしたため、それに反応して彼女を突き飛ばした。反射的に行ったことだが足場が悪く彼女はそのまま後頭部から倒れ、死んでしまった。

Q.悪いのは啓介だろうか彼女だろうか。その理由。

命題4
彼女が亡くなったことで、啓介は殺人の容疑で逮捕された。
その後の調べでによると、彼女は妊娠していた。そのため感情が不安定になり、啓介にたびたび当たってしまうことがあった。
2つの命が亡くなった。啓介はそれを知りより、ショックを受けた。

Q.啓介と彼女のどちらに非があるか。その理由。
また、擁護できる要素があればその理由。

命題5
警察の操作活動や刑事裁判を行ったことで、啓介が少年院にいたことは明るみになった。
会社は虚偽の申告をしていたことを責めた。
彼女の両親は娘を殺した悪人だと罵った。
啓介は全て少年院のせいであり、そこに行くことになった自分の素行のせいだと思った。

しかし、裁判で、啓介の生育過程を辿ってみると次のようなことがわかった。
啓介は父親から酷い暴力を受けていて、母からは育児放棄(ネグレクト)にあっていた。
衣服はもちろん、食事もまともに与えられずにいた。
そんな幼少期に遊んでいたのが世間で言う不良少年であり、彼らが万引き行為を教え、盗品によって食事を提供していた。

Q.啓介自身が育った劣悪な環境により犯罪行為に走っていたことがわかったが、その後に少年院のことをひた隠しにしてきた啓介の行動は許せるか許せないか。その理由。

命題6
啓介は自分が全ての原因であり、死刑にして欲しいと言っている。裁判では過失と情状酌量の余地ありということで、今の啓介を死刑にはできない。
執行猶予付きで刑が確定したため外に出ることが出来る。
おそらく啓介は自殺する。

Q.あなたが啓介と直接話せる親しい間柄の者だとして、自死を止めるか止めないか。その理由。

Q.自死を肯定するなら、そう思う理由。

or

Q.自死を否定するなら、そう思う理由。




解説


今回は長めですが、主題は「過去と償い」です。
人はどうしても過去のできごとに対して問いただしたくなるし、責任追及したくなる生き物です。

いじわるな構成で、あとから事実が追加されていきます。最初に抱いていた気持ちと異なる結論を持った方、途中途中で変わった方、最初から一貫していた方など様々かと思います。

この命題では、罪がいつなくなるのか(人はいつ許されるのか)と、自殺することは悪いことなのか、という大きく2つのテーマがあり、それに沿った小テーマが繋がっています。

この命題に答えはもちろんないのですが、受刑者の出所後の人生問題、自殺にまつわる生命倫理、細かいところでは過程教育問題などについて悩むことができます。

設定を追加したりして使っていただけたら幸いです。

ぜひご参考ください

斑鳩入鹿

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