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【SIGMAfp】梅雨晴れ

2024年の梅雨。
連日の雨、そして湿気と雲が僕の心を閉じ込める。

僕は空を見上げることなく、退屈な足元をただ眺める。

齢26にして、何一つ成していない。
そんな焦りと無力感の渦巻きを現すかのようだ。

7月も半ば、大山阿夫利神社を訪れた。
この日は珍しく晴れ間が覗いた。

梅雨の最中の晴れ間、梅雨晴れである。

久しく地面に刺し続けていた視線を、空の方へやった。じめっと湿気った空気の中を、陽の光がスッと抜けてきた。ジリジリと皮膚を焼いてくる。

夏の日差しのしつこさも、なんだか心地良かった。

残念ながら明日は雨。
熱海の温泉にでも行こうか。

そして、翌日。
晴れ間はまたやってきた。

まもなく空は雲に覆われた。

そして、晴れ間は姿を消した。
もう現れることはなかった。

そして、鬱陶しい雨の日々が始まった。
しかも、雨が前よりも強い。

背中を丸め、俯く。

あの日の晴れ間の記憶を、消えないように何度も何度も頭で辿る。

晴れの日だって、晴れ間だって、今まで何度も見てきたはずだった。それなのに、忘れることのできない、忘れたくない晴れ間だった。

やがて、関東地方は梅雨明けが発表された。

地面に向けていた視線を、空へ向けるとき。

📷  SIGMAfp
🔍 AIAFNikkor50mmF/1.4D

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