なんか、なんかなんかなんか壊したい。壊してみたい。【詩】

退屈な体育祭。スクールバッグの底の誰にも見せない小説。蒸れたローファー。顔を上げればそこには、青春を有限なものであると先回りに俯瞰して、青春に勤しむひとたちがいる。なんだ、終わりばかり見つめてるのはきみじゃん。終わりに怯えているのは、わたしよりもきみじゃん。  きみが好きだ。きみが好きだ。間違えて舌を噛んだ時の、あの雲ひとつない痛みのように、きみがすきだ。新鮮な血の味がするあの痛みが、どうしょうもなくたまらない。  そしてわたしは鋭い棘の茨に吸い寄せられる。自身の美しさを守るべくして尖るその棘を、なんだかこの右手でグシャっと潰してみたくなった。赤い茨を躊躇なくこの手で摑み、手のひらを真っ赤に染めたい衝動に駆られた。血液の匂いと野生の草の匂いが混じったその匂いは、わたしの表沙汰になることのなかった本能の領域を駆り立て、恋のかたちが変形するように狂わせるのだろう。 恋とは、反社会性から起因する加害衝動だ。この世のあらゆる表現はあいも変わらず「衝動に素直になれ」と言い続けるが、現実で必要なのはいつだって、衝動を抑えるための強靭な理性なのである。


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