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演劇とお金、そして生活

学校巡演のシーズンが終わりました。

現地で体調不良になったり、感染したりが無かったことでほっとしています。

9月末から12月までが学校巡演のピークなのですが、感染状況から延期になった公演が1月までありました。

この学校巡演のシーズンだけ、バイトよりも出演する仕事の割合が高くなるという役者も珍しくありません。

自分が所属する劇団もですが、こうした学校公演を行う劇団では、役者の高齢化が進み若い劇団員は少なくなっています。

巡演作品のキャストを劇団員だけでなく客演の割合が高くなっています。

メインどころを東京から呼んでくることもあります。

客演の多くは別劇団、もしくはプロダクションに所属している役者です。

学校巡演は長い時になると一ヶ月くらい現地にいることになります。

その間、当然ながらバイトはできません。

劇団員であれば、公演のギャラは翌月に振り込まれるのですが、客演の場合、劇団からの出演料は一旦プロダクションに振り込まれ、そこから役者に支払われます。

劇団もプロダクション側も、末締め翌月払いとなると、ギャラの支払いはよくて2ヶ月後。これが最速です。

遅いとこになると半年後なんてこともあるそうです。

プロダクションによって割合は違いますが、役者に支払われるギャラの3割から5割(昔は8割なんてとこもあったとか)がプロダクション側の収入になります。

プロダクションだって経営があります、役者のマネージメント料として取るのは当然のことだし、それを理解して役者は所属しているはずです。

問題は巡演に1ヶ月まるまる行くと、その役者は翌月無収入ということになることです。

実家暮らしなら、なんとかなるでしょう。

しかし、一人暮らしだと、貯金が無いと生活が破綻します。

生活が厳しくなります。

貯金を崩せばいいと言う人もいますが、20代前半の演劇人で貯金が潤沢な人間なんて稀です。

結果として、実家暮らしや実家が裕福な役者以外、学校巡演には参加できないことになってしまいます。

演劇という世界では、家庭環境も才能の一つと言われる所以です。

生き延びている多くの演劇人は、親ガチャで当たりを引いている人間なのかもしれません。



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