ジーフットの決算から考える靴屋さんは意外と残りそうという話と今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社ジーフットです。
この会社はイオンの子会社であり、靴屋さんのASBEE(アスビー)の運営をメインとしている会社です。

こんなニュースがありました。

ジーフットの21年2月期、最終赤字60億~85億円
2020/8/19 19:41
靴専門店のジーフットは19日、2021年2月期の業績予想を初めて開示し、連結最終損益が60億~85億円の赤字(前期は44億円の赤字)になりそうだと発表した。最終赤字は3期連続で、00年の上場以来では最大幅となる。新型コロナウイルスの影響で合理的な算出が困難とし、数値に幅を持たせて公表した。

どうやらジーフットは2021年2月期の業績予測を開示し、上場来最大となる60~85億円の赤字となる見通しを発表したようです。

コロナ禍でアパレル不振は話題となっていましたが、よくよく考えてみると同様に靴業界も厳しい状況いるのは間違いないですよね、外歩かなければ靴は買われません。
ジーフットは前期も44億円の赤字だったように靴業界でもEC化が進んでいますから、そういった市場環境の悪化があるのもアパレルと似ていますね。

今回は大赤字の見通しとなったジーフットの今後について考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は46.2%減の140億円、営業利益は6.2億円の黒字→41.7億円の赤字、純利益は2.6億円の黒字→42.6億円の赤字となっており減収減益で赤字転落してしまっている事が分かります。

どうして赤字になってしまったのかというと新型コロナで400もの店舗が時短営業や臨時休業を行う事になったからのようです。

イオンの子会社という事もあり、ASBEEはイオンモールでもよく見かけるように商業施設への出店が多いですから、靴屋自体は感染リスクが低かったとしても5月の商業施設休業に伴って休業を余儀なくされてしまったという事ですね。

また、ECの増加に伴ってそもそも業績自体が下降気味で2期連続の最終赤字となってしまっていた点には注意が必要です、そもそも新型コロナなくても前期の水準までは戻らないんじゃないのって話です。

業績が悪化していたとことに新型コロナのダブルパンチという形ですね。

新型コロナ明けの6月には売上が既存店で94.5%まで回復していますが、7月には87.6%まで下落している事が分かります。
さらに8月の空気感を考えても下落傾向が続いている可能性は高そうです。

今回上場来最大の赤字の見通しを発表した事からも回復の遠さが感じられますよね。

さらに売上総利益率は45%→30.3%へと利益率が大幅に下落してしまっている事が分かります。
店舗休業以外にも利益率の低下が赤字転落の要因のようです。

「ボトルネックである在庫の適正化」という表現からも分かる通りで、過剰在庫が以前からの課題だったことが分かります。

そしてそこに新型コロナによる店舗休業がありさらなる過剰在庫となった事で、在庫処分のための評価損や廃棄損が増加した事で売上総利益率が減少したとしています。

靴ですから洋服と比べるとサイクルが遅く在庫を廃棄せずある程度の期間持っていられるはずですが、ジーフットにはそうできない理由があります。

こちらの資料をご覧ください。

現預金や売掛金、売上預け金という手元資金の合計で53.8億円ほどあることが分かります、そして商品(在庫)が328.5億円と多額になっている事が分かりますね。

一方短期的な負債である流動負債は341億円となっており、さらに短期(1~2ヶ月)で支払いの必要がありそうな買掛金だけでも61.2億円ほどありますから財務的にはかなり厳しい事が分かります。
イオンの子会社ですので倒産などの心配は無いですが大分きついですね。

つまり328.5億円にもなる在庫を売って現金化していかないと資金繰りが苦しいという事です。

だからこそ値下げをして利益率を下げても売る必要がありますし、リアルな店舗では売り場面積の限界がありますので売れにくい商品は廃棄して廃棄損を計上してでも店頭には売れ筋商品を並べておかないといけないという事ですね。

まだまだ過剰在庫は解消されていない状態ですから、世間の空気感的にはこのまま売上の回復が停滞しそうですから同様に評価損や廃棄損で利益率の低下が続き業績の悪化が続きそうです。

さて、コロナ禍でECで靴を買うようになった方も多いでしょうし、リアルな店舗では靴が売れなくなっていく可能性は高そうなのでどんどん靴屋さんが減っていくだろうというのが私の考えでしたし多くの方がそう考えているでしょう。

しかし意外とそうならずリアルな靴屋さんが残る可能性を見つけましたのでそちらを紹介してみようと思います。

ジーフットの売上げ構成はスポーツ靴が40.0%で子供靴24.2%となっておりこの二つが過半数を占めている事が分かります。

普段着用のスニーカーがスポーツ靴に区分されている可能性が高いので何とも言いきれないのですが、この2つに関してはリアルな店舗が強そうですよね。

スポーツをするために靴は履き心地や重さなどを実際に履いてみて確かめたいです。
ECでも返品可能なところが多いですがリアル店舗でいろいろ履いて確かめたいところです。

子供靴に関してはリアルな靴屋の最後の砦といった感じで、足のサイズも日に日に変化しますし、買う人(親)と履く人(子供)が別ですから、履き心地もサイズも履かせないと分からないですし、試さないとECで買ってみたら本人が気に入らず履かないなんてことが起こるはずですので、実際に履かせて親子共に納得したものを買いたいはずです。

なのでこの過半数の部分が意外とECに代替されにくいので数は減るでしょうがリアルな店舗も結構残る可能性があるのではないでしょうか。

ジーフットの今後としては6月に回復した売上は7月には低迷、8月も低迷していそうだという事と過剰在庫を掃けるために値下げや廃棄によって利益率が低下した状況が続きそうだという事で業績の低迷が続くことを予測します!!

また 2期連続の赤字で今期も過去最大の赤字の見通しとかなり厳しい状況ですが、リアルな靴屋は意外と残ると考え、上手くジーフットも店舗数をコントロールしていく事が出来れば業績回復の可能性があると考えます。

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