ぐるなびの決算に見る、食材ECサイトの影響と今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは「株式会社ぐるなび」です、社名の通りグルメサイトの「ぐるなび」を運営している会社です。

こんなニュースがありました。

ぐるなび、飲食店向け食材ECサイト 生産者も支援

ぐるなびは新型コロナウイルスで打撃を受ける外食産業を支援するため、国産の食材を購入できる飲食店向け電子商取引(EC)サイトを7月上旬に始める。ウェブサイト上で食材の生産者と飲食店をマッチングする仕組み。農林水産省が補助し、飲食店は通常価格の半分で食材を購入できる。通常営業の再開が難しい飲食店や、産品の販売が滞っている生産者を支援する。

ぐるなびは新たにECサイト「ぐるなびFOODMALL(フードモール)」を始める。5月29日に飲食店の登録受け付けを始めた。販売する品目は和牛肉、マグロ類、果実など全11種類。今後、品目を追加していく見込み。

生産者や卸は食材をぐるなびフードモールのウェブサイトに掲載。飲食店はサイト上で食材を注文でき、生産者から直接食材を購入する仕組み。農林水産省が手がける支援事業の一環で、同省が補助し、飲食店は通常価格の半額で食材を購入できる。

新型コロナの影響で飲食店の利用が減っている。これに伴い、生産者も在庫の増加や商品の価格低下に直面しているという。ぐるなびは飲食店と生産者を結びつけることで、生産者の販路拡大や飲食店の支援につなげたい考えだ。(平岡大輝)

「ぐるなび」は新型コロナによって打撃を受けた外食産業を支援するために、生産者と飲食店を直接マッチングする新しいECサイトを始めるようです、農林水産省の補助もあり通常価格の半値で購入できるようです、半値とは非常にお得ですから飲食店の方は使ってみると良さそうです。

今回はこの新規事業が上手くいくのかと「ぐるなび」の今後について考えていきましょう。

それではまず、こちらの資料をご覧ください。

売上高は5.5%減の309億円、営業利益は49.8%増の18.2億円、純利益は63.2%増の9.5億円となっているようで、減収ながらも増益を達成している事が分かります。

しかし前期を見てみると業績が大幅に悪化している事からも分かる通り、大きな流れで言うと業績は下落傾向にあるようです。
確かにグルメサイトはかなり競合が増えましたし、グルメサイトではなくインスタなどでマーケティングをする飲食店も増えていますので競合がグルメサイトだけでは無くなったとも考えられますね。

それではもう少し具体的に内容を見ていきましょう。

ストック型サービス(ぐるなびへの掲載料)の売上が7.6%減、プロモーションの売上が17.2%減となる一方でスポット型サービス(ネット予約手数料や、飲食店向けの業務効率化サービス、電話やネット予約の管理などを提供)の売上が24.6%増と大きく伸びている事が分かります。

メインである掲載料売り上げが大幅に減少してしまったことが2020年3月期の売上高の大幅な減少につながっているようです。
プロモーション売上も落ちていますし「ぐるなび」のサイトとしての、集客力、広告力が減少してしまっていると考えられますね。

実際に加盟店舗は、総有料加盟店で487店舗減の59,173店舗と減少している事が分かります。

さらに月間ユニークユーザー数については、2018年12月には6100万人だったところから2019年12月には5600万人へと大幅に減少してしまっている事が分かります。
ぐるなび会員数は増加していますが、基本的に会員数は減りませんのであまり意味のある数字ではありません。
ぐるなびを使わなくなったからといってわざわざ会員登録の解除はしませんよね、ただサイトへアクセスすることが無くなるだけなので、会員数は減らずに新規会員分だけ増えていくのでアクティブなユーザー数が大切だという事です。

続いてこちらの資料をご覧ください。

スポット型の売上げは増加していたわけですがそれは、ネット予約の手数料だけにとどまらず、店舗の効率化を支援する業務代行サービス(広告の運用や電話やネットによる予約受付・管理、無断キャンセルを防ぐための電話確認等)を行い「人的なサポート体制」を強化している事が分かります。

飲食店との結びつきを強めて離脱率を減らし、付随サービスの提供をして店舗ごとの収益性を上げる方向性で動いているようですね

さてそれでは、今期は減収ながらも増益となっていたわけですがどうして増益を達成できたのでしょうか?

人件費が10億円(10.2%)の減少、業務委託費が8億円(37.5%)の減少となっている一方で広告費は8.8億円(36.9%)増となっており、人件費などを削減して広告に回しているようですね。

さらに減価償却費は3.6億円減少しており、ソフトウエアの取得による支出は前期の16.3億円→3.8億円へと大幅減少となっており、投資活動によるキャッシュフローは24.4億円のマイナス→1.8億円のプラスとなっている事からも分かる通りで、新しい投資をかなり抑制しているようです。

つまり人件費や投資を削減して事業規模の縮小を図り「ぐるなび」に集中して収益性を上げる事で増益を達成している事が分かります。

しかしサイトの集客力が落ちてしまっていますから、広告費を増やして何とか持ち直そうとしているわけですが、ユーザー数は減少傾向とあまり上手くいっていないようです。
業績回復のためには集客力を上げないといけませんから、広告費は今後も減らすことが難しい、むしろ増やしていく必要があると考えられます。
今回は人件費や投資を減らすことが出来たので、増益となりましたがもちろんそれには限界があるわけで、このままいくと業績の悪化が続きそうです。

ぐるなびの未来!!

新型コロナの影響で多くの飲食店が大打撃を受けており、多くの店舗で売上が大幅に減少、予約件数も大きく下落している事が分かります。
もちろん飲食店の売上が下がれば「ぐるなび」の業績も悪化するわけです、特にスポット型の収入は悪化していると考えられるでしょう。

続いてこちらの資料をどうぞ。

ぐるなびは、ダメージを受けている加盟店にヒアリングを行い休会や減額対応を対応を行ったようです。
ストック型の収入に関しても大幅に減少していると考えられますね。
そもそもの下落傾向に加えて、これで2021年3月期の業績悪化は不可避でしょう。

しかしこういった対応は、お店側からするとありがたいでしょうから、長い目で見ると付き合いが長くなる可能性があります。
「ぐるなび」は、人的なサポート体制の体制の拡充を計っていましたから、それを活かして加盟店とのコミュニケーションをしっかりとれていると考えられますね。

さて、当初のニュースにあった通りぐるなびは新規事業として飲食店向け食材ECサイトを始めるのですが、農林水産省が補助し、飲食店は通常価格の半額で食材を購入できるという非常にお得なサービスだと考えられます。
しかしこういった取り組みは、人員が少なく情報感度の低い店舗などには話も聞いてもらえず広まらず終わってしまう事は多いですよね。

しかしぐるなびは、店舗とコミュニケーシンを充実させてきましたので、こういったサービス広がりやすい、導入の支援もし易い環境なのではないでしょうか。

今まで使っていなかった層がECで仕入れを始めれば便利さから、利用を続ける可能性も高く、新サービスが広がっていく可能性は十分にありえるでしょう。

という事で、2021年3月期の業績悪化は避けられないでしょうが、投資を抑制していたのは新型コロナで投資の回収が出来なかったことを考えるとむしろラッキー。
業績は下落傾向にありましたが、加盟店舗としっかりコミュニケーション取っていた事で新しいECサービスは伸びる可能性ありと考え、中長期的には業績が向上することを予測します!!

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