使える!?ソフトバンクGの色々なスキームを解説①

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

早速ですがこんなニュースガありました

ソフトバンクG、5000億円調達 携帯子会社株を担保に
ソフトバンクグループ(SBG)は19日、国内通信子会社ソフトバンク(SB)の株式の一部を担保に最大5000億円を借り入れると発表した。SBGは単体で1.9兆円の手元資金を持つが、2年先までには合計で1兆4000億円の社債償還が控えている。今後の株主還元や事業への備えも必要なため、ひとまず今回の調達分は手元資金の拡充に充てる。
保有するSB株のうち最大9億5300万株を担保に借り入れを行う。国内外の金融機関16社が参加し、25日に調達を実行する。調達した資金は「一般的な事業資金や手元資金の拡充に用いる」(同社)という。
SBGは2021年度までに計1兆4500億円強の社債償還を予定している。20年は6月に1000億円、11月に500億円の社債償還を控えている。
SBGを巡っては米有力アクティビスト、エリオット・マネジメントが2兆円規模の自社株買いを要求したことが明らかになった。SBG側はこれに対する明確な回答を示していないが、孫正義会長兼社長は12日の決算会見で「資金の余裕があれば(自社株買いを)していきたいというのは基本的な考え」と話していた。
このため社債償還に加え、将来の株主還元や投資拡大を見据えて、高水準の資金を確保しておきたい狙いもありそうだ。

ご存知の方が多いと思いますがソフトバンクは現在、親会社であるソフトバンクグループと子会社である通信事業を行っているソフトバンクの2社が親子上場しています。

その親子上場で子会社株式を担保に借入をするという荒業をやってのけ、5000億円の借り入れを決めたわけですね、金融機関は貸出先が無くて困っていますからどうしても貸したい、でも無担保では貸せないから一応担保とっとけって感じでしょうか。

ソフトバンクは色々なスキームを使って資金集めをしたり、節税をしたりしています。
面白いものも多いのでそれを非定期で解説していこうと思います。

今回は、通信事業のソフトバンク上場時に行った資金回収の方法について説明していこうと思います

こちらの資料をご覧ください

ソフトバンク株式会社 2019年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)

ソフトバンクは2018年12月に上場したのですが、その前年度に資本が9000億円近く減少しており上場した年度には有利子負債が1.4兆円ほど上昇していることが分かります。

凄い額の大きな変動が起きているわけですが、何が起きているのでしょうか。

続いてこちらの資料をご覧ください

ソフトバンク株式会社 2019年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)1

実は上場前年度に1兆1400億円もの配当をしていることが分かります、もちろん支払先は親会社であるソフトバンクグループです。さらにその翌年度1兆4千億ほど借り入れが増えていますがこの大半の貸し出しを行ったのは実はソフトバンクグループです。

配当で資金をもらってそれをそのまま貸し出すという事をしているわけです。なぜこのようなことをしたのでしょうか?

その答えは課税をされずに資金移動をするためです。

税法上100%の親会社に対する配当は非課税となっています、つまり上場前の段階では通信事業のソフトバンクからソフトバンクへの配当は非課税だったわけです。

もちろん配当によって通信会社のソフトバンクの企業価値は下がってしまうわけですが、株式の売却益にも当然課税されますから1兆円分高く株価が付いたとしても20%課税されてしまうのですね。

さらに言えば上場時の適正株価なんてあってないようなものですから、この配当があっても無くても株価には大差はなさそうですよね。

つまり、配当後に貸し付けをすることで通信会社のソフトバンクの手元資金は変動させないまま将来的にソフトバンクグループに機動的に資金移動を出来るような状態を作ったという事ですね。

その後ソフトバンクグループでビジョンファンドなどの投資に使うための布石だったといえるでしょう。

ソフトバンクは上場前にこれだけ大胆に企業価値を落とすような資本政策を取りつつも、目標としていた株価1500円での上場をさせて資金集めに成功しているのだから凄いですよね。


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