日本駐車場開発の決算から考える今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは日本駐車場開発株式会社です。
その名の通りで駐車場の管理や運営をメインとして、複数のスキー場の運営や那須ハイランドパークなどのテーマパークの運営もしている企業です。

さてこんなニュースがありました。

日本駐車場57%減益 20年7月期、レジャー施設減収
2020/9/4 23:36
日本駐車場開発が4日発表した2020年7月期の連結決算は、純利益が前の期比57%減の12億円だった。コロナ禍の影響で主力の駐車場事業が伸び悩んだほか、スキー場やテーマパークなどレジャー施設の来場者数が落ち込んだ。

売上高は同6%減の229億円、営業利益は36%減の26億円だった。

どうやら新型コロナの影響もあり主力の駐車場事業からスキー場、テーマパークまで悪影響があり57%もの減益となってしまったようです。

事業内容的に新型コロナのダメージが大きいのは想像が着きますね、今回はそんな日本駐車場の今後について考えていきましょう。

それではまずはこちらの資料をご覧ください。

先ほどのニュースの通りで売上高は5.7%減の229億円、営業利益は35.7%減の26.7億円、純利益は57.4%減の12億円となっており減収減益の決算となってしまっている事が分かります。

それではもう少し詳しく内訳をみてみましょう。

日本駐車場開発のセグメントは①駐車場事業②スキー事業③テーマパーク事業の3つある事が分かります。
それぞれの事業の業績の推移は
①駐車場事業:売上138.7億円→139.2億円 利益33.3億円→29.4億円
②スキー事業:売上65.9億円→60.6億円 利益6.29億円→3.17億円
③テーマパーク事業:売上33.3億円→24.9億円 利益6.03億円→2.17億円の赤字
となっており①駐車場事業は増収減益、それ以外の2事業は減収減益となっておりテーマパーク事業は赤字転落してしまっている事が分かります。

新型コロナによって経済が停滞しましたから、駐車場需要もかなり減っているのではないかと思いましたが、増収ですし利益も微減ですから意外と健闘しているようです。

スキー場やテーマパークに関しては、新型コロナの影響をもろに受けたでしょうから業績の悪化も仕方のないところですね。
とはいえ通期(2019.8-2020.7)で見るとスキー事業に関しては利益が出ているようですから新型コロナ前までの業績によってギリギリ保てているようです。

では続いてはどうして各事業がこのように推移したのかについてみていきましょう。

まず駐車場事業に関しては、第2四半期(2019.8-2020.1)までは不稼働駐車場の収益化需要などもあり堅調に推移し新規物件の獲得にも努めたとのことです、新型コロナ前までは好調だったことが増収となった要因と考えられますね。

一方で4月以降は新型コロナによって商業施設などが営業停止となった影響でそれに伴い一部駐車場が営業自粛となるなどの影響をうけたようです。

特に時間貸しの駐車場は外出自粛の影響を受けて相当ダメージを受けたことが想定できます。
しかし自動車の台数が減ったという訳ではないので定期契約の駐車場は契約を維持できるはずですから、そちら側が支えた事で売上の大きな減少がみられなかったと考えられます。

また海外においては駐車場問題(需要不足や安全性やサービスの問題)が増加しており、それに対するソリューションのニーズが高まっている事で新規物件の受注や既存物件の改善が進んだようです。

しかしこちらの新型コロナの影響を受けていこう経済の停滞による影響を受けたとしています。

自動運転になれば駐車場の需要は減少するでしょうし、特に少子高齢化で人口減少が進む日本では成長が難しいので今後は海外展開を進めていく必要があるはずで、それが止まってしまったのは影響が大きそうです。

続いてはこちらの資料をご覧下さい。

スキー事業に関してはグリーンシーズン(8~11月・4月~7月)は10月には大型台風の影響を受け4月以降は新型コロナの影響を受けた事で来場者数が大幅に減少したとしています。

最近では大型の自然災害がかなり増えてきますから不確定要素に大きく左右されてしまいますので、こういったレジャー施設の運営というのは難易度が上がっているのかもしれません。

テーマパーク事業に関してはグランピング施設をオープンさせるなどして、長期滞在の需要を取り込んでいったようです。
今後は国としても、余暇と労働を合わせるいわゆるワーケーションを進めていきたいようですから、そういった需要が増えてくれば面白そうですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

グリーンシーズンでは来場者数が前期比で83.6%まで減少してしまっている事が分かります。

また、ウィンターシーズンではスキー場の来場者数は86.5%まで落ち込んでおりテーマパークは66.2%まで減少している事が分かります。

全体的に減少してしまっていますが、スキー場の一番の需要があった時期は新型コロナがまだそこまで騒がれていませんでしたので、業績悪化の要因には暖冬による雪不足の影響も大きそうです。
スキー事業も気象条件に左右されてしまうようですね。

続いてこちらの資料をご覧ください

売上総利益率を計算してみると、39.46%→35.28%へと大きく悪化している事が分かります。
これはメインの駐車場事業を考えてみると分かりますが、駐車場の管理コストは車の台数にかかわらずほぼ一定ですから、駐車場の契約台数や利用率が下がると利益率も下がると考えられます。

つまり稼働率が下がると、売上が減ってもコストが減らないのでダメージが大きくなってしまうのですね。

ビジネス面だと、オンラインでの商談などはもう元に戻らない可能性が高いですから、そうなると駐車場の需要が完璧に戻る事は無いかもしれませんので利益率の低下が続く可能性がありそうです。

また2021年7月期の見通しとしては増収増益となっています。
もちろん2020年7月期が新型コロナの影響によって大きく業績が落ち込んでしまいましたからそれ以前と比べると低い水準ではあるのですが、それでも回復を見込んでいるようです。

ではどうやって増収増益を達成していくのかといえば、駐車場事業では海外事業で経済回復の兆しが見える国では積極的に新規物件の営業を進めていくようです。
とはいえ日本との連携を取っていくのが難しい状況にありますから、本当にいい物件が売りに出された際には国内の事業者に持っていかれてしまう可能性がありそうです。

スキー事業に関してはインバウンドに関しては回復を見込めず来客数は減少の見通しで、本社機能の統合など効率化とコストカットを図る事で対応するようです。
さらに暖冬など気候問題へは、人工降雪機の導入によって安定化をするとしています。

またテーマパーク事業に関してはワーケーション需要の取り込みを積極的に行うようで別荘の管理の受託を進めていくとしています。
ワーケーションに関しては公平意識の強い日本で本当に進むことになるのかは、不透明ですので注意しておく必要がありそうですね。

という事で、駐車場事業に関しては日本では人口減少が進み、さらにオンラインでの商談などが増える事によって需要は完璧に戻らない可能性が高く、そうなると稼働率の減少が利益率の低下につながる構造なためダメージが大きい。

海外展開を進めていく事が必要そうだが、新型コロナでストップしてしまったのも痛く、国内の事業者にいい物件は持っていかれてしまう可能性がある。

またスキー場やテーマパークは新型コロナによってインバウンド減少の影響が長続きする可能性が高く、そもそも大型の自然災害の増加による影響も受けやすくなっており、スキー場などでは暖冬に対して人工降雪機を導入するなどコストも高まっているという事で、今後も業績の低迷が続くことを予測します。

とはいえ2020年7月期は緊急事態宣言中には経済がかなりストップしましたので、レジャー需要の回復なども考えるとそれ以上への業績回復は十分に期待できそうです!!

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