【無料回】好調なマネックスを支えるコインチェックから仮想通貨取引所より販売所の方が強いのではという事を考えてみる

涼しくなった後に暑くなるのはどう考えてもキツイので、あえて暖房をかけて生活するという解決策を考え付いたのですが、実行に移すほどはアホになれませんでした。
悔しいです。

さて、今回はいつもとはちょっと違ってマネックスの好調を支えていたコインチェックの拡大戦略について考えていこうと思います。

画像1

ちなみに事業セグメントを見ると分かる通りでコインチェックは、マネックスグループの子会社となっています。
というのもネムの流出事件があった後にコインチェックに買収されています。

それでは少しマネックス全体の業績を見ていきましょう。

直近の2022年3月期の1Qの業績を見ていきます。

画像2

画像3

売上高は89.7%増の270.6億円、税引き前利益は457.8%増の111億円と大幅な増収増益と非常に好調になっていて、特にトレーディング損益が651%増の133.8億円と大きく伸びています。

画像4

そしてこのトレーディング損益の好調を支えているのが、コインチェックでコインチェックのトレーディング損益は1533.4%増の121.7億円となっています。
物凄い大きな成長です。

ブロックチェーン業界が大きく盛り上がりましたから、取引金額が大幅に増加して大幅増収となったんですね。

今回はこの大幅増益を支えているコインチェックがどうしてこれだけ業績が拡大してこれたのか、その戦略について考えていこうと思います。

まず初めに注目したいのはそもそも、好調だったトレーディング損益とは何ぞやという点です。

画像5

こちらは証券会社であるマネックス証券事業のセグメント業績です。

こちらを見てみると、トレーディング損益ではなく受入手数料が収益の中心となっています。

マネックス証券とコインチェックであれば、印象としては扱っている商品が株式か仮想通貨かといった違いしかないような気がします。

ですが収益源を見てみると、マネックス証券は手数料ビジネスでコインチェックは仮想通貨のトレーディングによって収益を上げるモデルとなっているわけです。

ではどうしてこういった違いが出てくるのでしょうか?

それは、取引所方式と販売所方式という違いです。
マネックス証券は取引所が中心でコインチェックは販売所が中心です。

では何が違うのかというと株や仮想通貨を購入する際の取引相手です。
取引所では、その売買は顧客同士で行われます、売りたい人と買いたい人が直接取引をするわけでその仕組みを提供しているのがマネックスという形になります。

オンライン上での取引の仕組みを提供するのが取引所で、そこを使う手数料を少し頂戴ねというビジネスモデルになっています。

一方で販売所では、取引相手はコインチェックになります。
仮想通貨を買いたい人と売りたい人が集まって、コインチェックから買ったりコインチェックに売ったりするわけです。
つまりコインチェック側からすると、顧客との取引によるトレーディングによって収益を得るというモデルになります。

基本的には取引所で売買したほうが得で、販売所の方が買うときは高くて売るときは安いです。
販売所側が売買する商品を持っておく必要があるのでそのリスク分高くなります。

ちなみにどのくらい売値と買値で差があるのかというと、ビットコインで見てみると

画像6

画像7


コインチェックから1ビットコイン買うと593万9000円かかるのに対して、コインチェックに売ると558万1800円しかもらえません、その開きは35万7200円にもなります。

画像8

ちなみに、その時の取引所の相場価格では574万1885円です。
取引所の手数料はどんなに高くても数百円程度ですから、十分な流動性がある仮想通貨であれば明らかに取引所で売買したほうがお得ですよね。

そしてコインチェックがこの価格差でどうやって利益を出すのかめちゃくちゃざっくりいうと、販売所で買い注文が入った瞬間(コインチェック側からすると売れた瞬間)にコインチェックは取引所から安く買えばその差分がコインチェックの利益になるという事です。

顧客が1ビットコインを593万円で買った瞬間に574万円近辺で取引所から仕入れれば、同じく1ビットコイン保有した状態で19万円ほど儲かっているという話です。

この幅が大きいのでコインチェックは大きなトレーディング損益を出せたんですね。

これだけの価格差がある事からも分かる通りで基本的には販売所で買うと大きく損をするケースは多いです。
では顧客にとって不利な気がしますが、どうしてコインチェックはこれだけ普及したのでしょうか?

個人的にはそれは「販売所メインだから」だと考えています。

「え、こいつ何言ってんの?・・・・」

そう思わた方が大半でしょう。

私自身も自分で言っておいてそう感じています。

ではどうして販売所だと拡大しやすいのか、これについて考えていくために顧客層に目を向けていきましょう。

まずコインチェックのユーザーは基本的には国内ユーザーです。
日本では投資をした経験がある方がまず少ないですから、取引所、販売所といった違いに注目する層はそもそも少ないでしょう。

さらにブロックチェーン業界で今何が起きているかを追えている人はほとんどいないですし、基本的な部分も分かっていない方が多いですよね。

仮想通貨を売買した経験のある人でも「そもそもブロックチェーンって何?」という方は多いです。

今日はソラナの時価総額が7位になったとブルームバーグでも取り上げられていて話題になっていましたが、例えば「イーサとソラナ」というくくりと「ビットコインとリップル」というくくりを作ってみると大きな違いがありますが、仮想通貨の売買経験のある人でも95%くらいの人が違いを分からないのではないでしょうか。

めちゃくちゃざっくりいうとブロックチェーンにスマートコントラクトがあるか無いかの違いで、仮想通貨としての価値を支えるためのブロックチェーンかブロックチェーンを支えるために仮想通貨があるというような、そもそもの所に大きな違いがあります。

つまり、仕組みやそれが何なのかというところは興味がないけれど、持っていたら儲かりそうだという人が大半で、市場としても十分な大きさがあるでしょう。

さらに仮想通貨といえば億り人なんかが話題となったように、何倍、何十倍にもなったり何百倍にもなったりというのを夢見ている方が多いです。

これで何が起きるのかというと、1万円のものを買うときには1000円の違いをめちゃくちゃ気にするのに、100万円ものを買うときは1000円どころか1万円の差すら気にならなくなっちゃう、あれです。

つまり顧客の見ている夢が大きければ大きいほど、多少の価格差や手数料の違いなんてどうでもよくなるわけです。

なので多くの顧客は手数料の違いや多少の価格差には目を向けていない訳で、販売所か取引所かはサービスの普及にとって大きな差ではないと考えられます。

では顧客が求めているものは何でしょうか?

「なんか仮想通貨っていう怪しいものを買うのは不安!!」

仕組みが分かっていないわけですからこれが多数の人が持っている勘定で、サービス普及のために最も大切なのは不安を取り除くという事でしょう。

そのためにコインチェックに優位性がある事といえば、使いやすいUI、UXの提供と広告宣伝です。

コインチェックといえば使いやすいが売りの1つです、投資した事ないけど「ちゃんと買えるかな?」の不安を取り除くという事です。

画像9

さらに広告宣伝による安心感の確保というのもあります、今期はテレビCMを活用したとしている事からも分かる通りで認知は安心感につながります。
「なんか知ってるし詐欺ではないでしょ」的なやつです。

さらにコインチェックが明らかに抑えていて強いなと感じているのはアフィリエイトです。

仮想通貨関連のウェブサイトを見るとコインチェックをお勧めするサイトが多いです。
というのもコインチェックのアフィリエイト単価が高いんです。

やはり仮想通貨を買おうと思えば少なからずググるはずで、ウェブサイトからの動線というのは重要です。
なので高単価のアフィリエイト報酬でそういったウェブサイトを抑えているというのが非常に強いですよね。

ではどうして、そもそも広告宣伝にお金を使ったりUI、UXの改善というところにお金を回せるのかといえば、それは販売所方式で収益性が高いからでしょう。

つまり顧客が手数料の違いに興味がないという事で、販売所方式で高い収益性を保つことで、その資金をUI,UXや広告費へ投下することで顧客獲得をしていると考えられます。

なのでこの収益性の高い販売所方式であるというのが実は、仮想通貨業界では優位性になっていて、コインチェックは成長しているのではないかと考えています。

という事でライトユーザーがあまりに多すぎる市場なので重要なのは、どれだけ新規の顧客獲得に投資できるかであって、手数料の削減などではないという事でコインチェックは今後も好調を維持できるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?