決算から考えるWOWOWとスカパーの利益率はどうして全然違うのか

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回は前回取り上げたWOWOWとスカパーでは結構大きな違いがありますので、その違いについて見ていこうかと思います。

WOWOWについて詳しく興味のある方はこちらをご覧ください。

まずは各社について大まかな業績の違いを見ていきましょう。

売上高でみるとスカパーが1395億円、WOWOWは795億円と大きな開きがあり営業利益面で見てもスカパーが191.5億円、WOWOWが67.9億円と差があります。

さらに営業利益率でみてもスカパーが13.7%、WOWOWが8.5%と乖離が大きい事が分かります。

ちなみに契約数はWOWOWが285.5万件、スカパーは310.2万件となっていて、そこまで大きな差はついていません。

ではどうして売上面、利益率にも差がついているのでしょうか?

その要因は事業内容を見てみると分かります。

WOWOWの事業セグメントは放送事業とテレマーケティング事業の2つがありますが、放送事業が売上の95%ほど、利益面でも97%を占めていてほぼ放送事業の単一の会社となっています。

一方でスカパーにはメディア事業と宇宙事業の2つの事業があります。
宇宙事業は売上面では37%ほどですが、利益面では70%ほどとなっています。
売上でもメディア以外の規模の大きな事業を持っていますし、利益面で見てみると宇宙事業が主力事業となっています。

実はスカパーは宇宙事業がメインの企業となっていたからこれだけ差がついていたんですね。

さらにスカパーでは放送関連のメディア事業では営業利益率が6.8%、宇宙事業が27%となっています。
WOWOWとスカパーの利益率の違いは宇宙事業にあったわけです。

続いて放送事業について比較していきましょう。

WOWOWの売上は795億円、スカパーの放送(メディア)事業の売上は884億円となっています。
利益面ではWOWOWのほうが大きく、営業利益率は8.5%、スカパーの放送事業の営業利益率は6.8%とWOWOWの方が売上は少ないながらも利益率は高く高収益だという事が分かります。

また、ここ4年間の業績の推移を見てみるとWOWOWは売上で平均成長率が0.9%減、スカパーの放送事業は4.9%減と売上の減少幅が大きい事が分かります。

一方で利益面で見てみると4年間の平均成長率はWOWOWが11.7%減となっていますが、スカパーは23%増と伸びている事が分かります。

WOWOWの方が高収益ながらも、最近では利益率では伸びてきていたのはスカパーのほうなんですね。

ではどうしてそういった違いが出ているのかと言うと今後の注力事業に違いがあるからです。

というのもWOWOWでは放送事業をまだまだ拡大させていく方針を立てていますが、スカパーは宇宙事業を今後のメインに掲げています。


とくに今期からは決算説明会資料を見てみると分かりますが、宇宙事業をメインとしている事が分かりますよね。

業績の説明に関しても、これまではメディア→宇宙の順で説明されていましたが、今期からは宇宙→メディアの順になっています。

説明会資料からも、完全に宇宙メインにシフトしている方針が表れているんですね。

なのでスカパーではメディア事業を大きく伸ばそうという意図が無い訳です。
売上の規模拡大よりもむしろ収益性を向上させて、そしてその利益を宇宙事業の方へ再投資していくような事業構成になっているわけです。

なので規模の拡大を進め投資を拡大しつつ、利益面で伸び悩んでいるWOWOWと、売上面では伸び悩みつつも収益性を向上させ利益が伸びているスカパーという事で分かれています。

やはりどこまで行っても日本というのは人口減少ですし、国内の可処分時間は増えていかない一方でネットフリックスやYoutubeなど有料、無料問わずオンライン配信の映像サービスが伸びている中で、当然取れる時間は減っていきますから放送事業というのは伸ばしていくのはもちろん難しいです。

そんな中で宇宙事業をメインとしたスカパーの方が業績は伸びやすいだろうとは考えられますが、一方で競争が激化する中で放送事業で顧客を獲得し続けるハードルも高まっています。

となると放送事業で収益性を安定させるという意味でも投資を増やしていく必要があるでしょう、なのでスカパーの方が早期に収益性が悪化して利益率の悪化や不採算事業となる可能性には注意が必要です。

実際にスカパーの放送事業では現状でも収益性は上がっている一方でWOWOWに比べて放送事業の利益率は低水準にありましたよね。
今後はこれ以上の改善は難しくなって行くかもしれません。

という事でWOWOWとスカパーを比較してみると、売上規模でも利益でもスカパーの方が大きく、かなり差が開いていました。

とくに利益率ではスカパーの方が高かった訳ですが、その要因はスカパーのメインが宇宙事業になっている事にありました。

その結果宇宙事業をメインとするスカパーはメディア事業では売上は減少傾向にありつつも、投資の抑制など収益性の向上の方へシフトしており、利益面では増加傾向にあります。

一方でWOWOWOでは今後も放送事業へ注力していく事を決めており、投資を拡大していますから利益面では伸び悩みを見せています。

しかし現状放送事業に絞ってみてみると、WOWOWの方が利益率でも高いですし、今後という事を考えると、競争が激化する中でスカパーの放送事業が想定以上に収益性を悪化させてしまい不採算事業となってしまう事には注意が必要だと考えられます。

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