出前館の決算に見る、LINEが買収ではなく出資した理由と子会社化しなかった理由

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは株式会社出前館です。
フードデリバリーのポータルサイトを提供している会社ですね。

こんなニュースがありました。

LINE、出前館を実質子会社に 300億円出資

LINEは26日、デリバリー大手の出前館に追加出資すると発表した。出前館が実施する第三者割当増資を、LINEと親会社の韓国ネイバーが共同で設立するファンドが引き受け、それぞれ150億円ずつ出資する。追加出資後はグループで出前館の6割の株式を保有することになり、実質的に子会社化する。出前館の業績は競争激化で悪化しており、てこ入れする。
LINEは追加出資の手続きを5月に完了させる。出前館には2016年に出資し、約20%の株式を取得していた。今回の出資でLINEは約35%、ファンドが約25%を持つことになる。
出前館の社外取締役にはLINEの舛田淳取締役が就いている。17年からは自社のデリバリー注文サービス「LINEデリマ」とシステムを連携させ、出前館のサービスを利用できるようにしていた。LINEはデリバリーを戦略事業の一つと位置づけており、持ち帰りサービスと合わせて、19年10~12月期の売り上げは前年同期比で26.4%増だった。

どうやら300億円を出資してLINEが出前館を実質的に子会社化するようです、新型コロナの影響でフードデリバリーのサービスが伸びていますし、スーパーアプリ化を目指すLINEにとってはフードデリバリーも必要ですからチャンスと考えたのかもしれませんね。

ちなみに、このニュース発表前の出前館の時価総額は293程でした、LINEからすると300億円払うのであれば出資ではなく買収という選択肢もあったわけですがどうして出資という選択肢を取ったのでしょうか?

買収と出資の違いとは?

すでにLINEは20%の株式をもっており、付き合いがありますから単純に金払って買収という話ではない部分もあると思いますが、それ以上に買収と出資ではその後に大きな違いが生まれることが出資を選んだ理由だと考えられます。

買収の場合は、既存の株主から株を買い取る事になりますのでLINEが300億円払ったとしてもその300億円は既存の株主に渡ります。
出前館の財務状況には変化が起きないという事です

一方出資の場合は、出前館が新しい株式を発行して300億円を受け取る事になります。
つまり出資を受けた会社の資金が300億円増えるので財務状況が良くなるわけですね。

つまりLINEが出資をしたというのは、現在の会社が欲しいのではなく、この300億円を使って大規模な投資をする出前館が欲しいよって事です。

ではどんな投資を推し進めていくのか、出前館の今後はどうなるのかについて考えていきましょう。

こちらの資料をご覧ください

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売上高は31億円から38億円へと22%ほど増加していますが、純利益は3300万円の赤字から9億円の赤字へと赤字幅が大きく増加してしまっていることが分かります。
販管費が19億円から35億円へと15億円も増加していますから、それが減益の理由のようですね。

それでは販管費の内訳を見ていきましょう。

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広告宣伝費の伸びも大きな要因ですが、人件費も大きく伸びている事が分かります、直営拠点の配達員のコスト増加が人件費の伸びにつながっているようですね。
出前館はこれまでは基本的に配送網を持っている飲食店と顧客のマッチングを行うのが基本でしたが、配送網を持たない店舗向けにもサービスを広げるために自社配送網を整備しています。

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その結果売り上げの中でも配達代行手数料が伸びていることが分かりますね。

Uber Eatsが一気に伸びていったのはやはり、自社で配送網を整備した事が大きな理由です。
出前館としてもさらに自社配送網を強くしていきたいでしょうからLINEからの出資で積極的に配送網の整備をしていく事になるでしょう。

なぜLINEは出前館を子会社化しなかったのか?

LINEはこの出前館を実質的に子会社化しましたが、LINEは約35%、ファンドが約25%を持つことになり会計上は子会社化をすることを選択していません。

それはなぜかというと、今回の出資が300億円という多額になったことからも分かる通り、自社配送網を整備するというのには多額のコストがかかるので黒字化が難しいからです。

Uber Eatsも配送コストが高く黒字化できていないといわれており、出前館も今後は大きな赤字が続く可能性が高いです。

しかし、LINEはLINEで出前館を使ってもらえれば決済にLINEPayを使ってもらえる可能性も高まりますし、LINEの利用時間や利用頻度を増やしてもらう事に繋がりますので出前館が赤字でもトータルでプラスに持っていく事が可能です。

LINEは出前館を子会社化しない事によって、持分法という会計処理を行うことになり決算上は出前館の赤字の影響を出資比率の35%分に抑えることが出来ます。
つまりLINEとしては、子会社化しない方が出前館の赤字の影響をあまり受けずにプラスの幅が大きくなるというのが、子会社化しなかった理由だと考えられます。

出前館の未来!!

繰り返しになりますが出前館はしばらくの間は赤字が続くことを予想します、逆にLINEは増益となる可能性があります!!

新型コロナの影響で、一気に生活スタイルが変わる可能性すらありますからLINEとしてはスーパーアプリ化のチャンスかもしれませんので、今後に注目です!!

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