グリーの決算から考える今後の業績と意外な収益源が生まれる可能性

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはグリー株式会社です。
スマホが普及する以前はDeNAのモバゲーと並び人気のSNSとなっていたGREEを運営して大きく成長したゲーム企業で、最近だとアナザーエデンなどのゲームが人気のようです。

さてこんなニュースがありました。

グリー、一時11%安 巣ごもり恩恵乏しく失望売り

21日の東京株式市場で、スマホゲームなどを手掛けるグリー株が急落し、一時前日比56円(11%)安の451円をつけた。他のゲーム銘柄が比較的好決算だったことから、このところ連想買いが入っていたが、前日の取引終了後に発表した2020年6月期の連結決算の内容が思わしくなく、失望売りを浴びた。
終値は53円(10%)安の454円で、値下がり率は東証1部で2位となった。売買代金は前日の2.4倍に膨らんだ。
先行して決算を発表していた同業のミクシィやディー・エヌ・エーは巣ごもりが収益の追い風となっており、グリーにも投資家の期待が高まっていた。20日には年初来高値の515円をつけていたが、一気に手じまい売りが広がった。

どうやら同業のミクシィやDeNAが巣籠りによって好決算を発表していた事でグリーも好業績を期待されていたようですが、決算の内容が思わしくなかった事から大きく株価を下げてしまったようです。

巣籠り需要によってゲーム会社は大きく業績を伸ばしていましたから、その後押しがあっても業績を伸ばせなかったというのは厳しそうですね。

そんな厳しい状況にいる事が想定されるグリーの今後について考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は11.7%減の626.6億円、営業利益は42.3%減の31.6億円、純利益は22.3%減の27億円となっており減収減益となってしまっている事が分かります、やはり厳しい状況ですね。

さらに売り上げは減少傾向が続いており、4Qにはついに赤字転落してしまうなどかなり厳しい状況にいる事が分かります。
巣籠りの後押しがあったどころかむしろ減少に転じてしまっているというのは驚きです、巣籠りで使える時間は増加した一方で、隙間時間が減少してしまいましたから通勤や通学などの隙間時間で遊ばれていたライトなゲームが多かったのかもしれません。

EBITDAというキャッシュを稼ぐ力を表した指標があるのですが、これも4Qには1.4億円まで下落しており稼ぐ力がなくなってしまっている事が分かりますね。

ではどうして4Qにはそれだけ厳しい状況となってしまったのかというと一過性費用が9.1億円分発生したためだとしています。

その一過性費用の影響がなければ7.6億円の営業利益が確保できているとしていますね。
とはいえ一過性費用の影響を除いても4.7億円も営業利益が減少している事には変わりありませんから厳しい状況だという事は間違いなさそうです。

では一過性費用とは何なのかというとオンラインオフィス支援金やオフィス集約による費用などオフィス関連が3.4億円ほど、外注費やその他で5.8億円円ほどの増加となっている事が分かります。

外注費やその他というのは具体性が無いので内容は分かりませんが、新型コロナによって働く環境や働き方が変わったことで一時的に外注を必要とする場面が増加したのかもしれません。

またグリーのようなゲーム会社にとって出社の必要がある場面は少ないでしょうから、オフィス集約やオンラインオフィス化などの悪影響も少なそうですし、今後は都心の高いオフィス賃料支払いが減らせますので長期的にみれば好影響がありそうです。

続いてこちらの資料をご覧ください。

業績不調にもかかわらず期末の現金残高は844億円→870億円へと大きく増加していることが分かります。

ではなぜこれだけ大きく増加したのかというと投資有価証券の売却による収入が43億円あり、投資事業組合からの分配による収入が23.5億円あるなど、投資事業によって大きく手元資金を増加させているようです。

そしてこの投資事業による売却益を27.7億円計上していることも分かります。

また、投資有価証券は43億円ほどの売却を行ったにもかかわらず176億円→210億円へと大幅に増加しています。

積極的に投資に取り組んでいる事がうかがえますね。

ではどうしてこれだけ積極的に投資に力を入れているのでしょうか?

こちらの資料からも分かる通りで現預金・売掛金・未収入金などの手元資金が960億円ほどある一方で、負債は130億円ほどしかなくかなりのキャッシュリッチ企業だという事が分かります。

これだけの余剰資金がありますのでお金を眠らせておくよりは、余裕資金の範囲で投資をしていこうという判断をしているようですね。

もともと長期的な金融緩和が続いており金余りの状況にあり、最近は各国が新型コロナ対策として世界の財政出動は1000兆円を超えていますのでさらなる金余りの状況となっています。
という事ははっきり言ってしまえばお金の価値が下落し続けているという事です。

日常生活の中では、新型コロナでダメージを受けた業界も多く賃金も上がっていないですし、物価も上がっておらず感じにくいですが、金融市場に関しては本当にお金がじゃぶじゃぶの状態が続いています。

最近では株式市場もそうですし金や仮想通貨なども軒並み高値を付けていますが、これにはお金がじゃぶじゃぶで相対的に法定通貨の価値が下がっている事も影響しています。

となるとグリーのようなキャッシュリッチ企業はただ余剰資金を抱えているだけだと相対的に資産が目減りし続けているという事ですから、眠らせておくよりは投資に回したいというのは間違いないでしょう。

また純利益は34.8億円→27億円へと大幅に減少した一方で、包括利益は33.1億円→59.5億円と大きく増加している事が分かります。
そして包括利益が増加した要因はその他有価証券評価差額金の増加だという事も分かります。

ちなみに包括利益というのはざっくり説明すると実質的な利益だと考えておけば問題ありません。
そしてその他有価証券評価差額金というのは会計的には利益に含まれないけど、先ほど見た投資有価証券の含み益がこのぐらいあるよって数字です。
つまり会計的には利益にならないけど投資が上手くいっているので、含み益も含めると増益だよって事です。

という事でグリーは減収減益となっており業績は下落傾向が続くなど厳しい状況にありますが、積極的に投資を増やしておりそちらは売却益を27億円、含み益を31億円以上増やすなど上手くいっいますので、本業のゲーム事業では新タイトルでの当たりが出るなど新しい動きがないと営業利益ベースでの業績悪化は続きそうですが、投資が利益を出すことによって純利益ベースでは意外と業績の悪化は起きてこないことを予測します!!

キャッシュリッチ企業ですし、開発にも資金を使えますから本業のゲーム事業で当たりが出てくれば面白いですのでそこに注目です!!

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