アインホールディングスの決算から考える調剤薬局業界の現状と今後の業績

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回取り上げるのは株式会社アインホールディングスです、この会社は調剤薬局業界では最大手の企業です。

新型コロナの影響で病院への来院者数事態が減少してしまい、コロナとは全くかかわりのない小規模なクリニックのような所の経営状況も悪化しているところが増えています。

そんな中で調剤薬局というのも業績の悪化が起きてしまっている可能性が考えられます、今回はそんな調剤薬局業界の現状と今後について考えていきましょう。

ちなみに調剤薬局と似たものとしてドラッグストアがありますが、その違いとしては調剤薬局では薬剤師が常駐で調剤をできる機能を持っていて、ドラッグストアでは一般の医薬品や日用品などが売られています。

しかし近年ではドラッグストアでも薬剤師の方が常駐で調剤業務が併設されているところも増えていてその垣根は取り払われ始めてあまり言葉の違いには意味をなさなくなっているかもしれません。

ちなみにこのアインホールディングスは業界最大手といいましたが2013年の4月期には560店舗だった調剤薬局の店舗数は2021年4月には1057店舗まで増加しています。
そしてその増店を支えていた大きな要因はM&Aだと分かります、実はこの調剤薬局の業界ではM&Aなどを通じて業界再編が行われている業界でもあります。

というのもいくつも要因はあるのですが、1つの大きな要因として調剤薬局は個人薬局が多く、数も多すぎるという事があります。
実は調剤薬局というのはコンビニ以上の店舗数を有していて、6万店舗ほどあるのですが、業界最大手のアインHDでも1057店舗と2%にも満たない水準となっていて明らかに市場原理が働いておらず非効率な業界となっています、なのである程度大規模事業者が運営していく必要性が高まっているというわけです。

さらに薬剤師が薬の処方を行うという医薬分業というのが進んだのが1980年ごろと比較的最近で、ちょうどそのころに開業した薬剤師の方が引退時期を迎えているという事もあり、売却に動くといったケースも増え始めM&Aによる統廃合などが進んでいます。

調剤薬局業界についてざっくりと把握したところで、まずは全体の業績から見ていきましょう。

売上高は横ばいの2201.3億円、営業利益は45.3%減の68.1億円、純利益は35.7%減の45.7億円となっており売上は横ばいを維持しつつも、利益面では4割以上の減益となってしまったようです。

続いてもう少し詳しく業績を見ていってみましょう。

アインHDの事業セグメントは①ファーマシー事業②リテール事業(ドラッグストアのアインズトルペなど)③その他事業と3つあります。そしてそれぞれの事業の業績の推移は
①ファーマシー事業:売上1942.8億円(1.3%減) 利益137.6億円(11.6%減)
②リテール事業:売上143.8億円(28.3%減) 利益5.7億円の黒字→15億円の赤字
③その他事業:売上114.6億円(251.7%増) 利益1.7億円の赤字→4.7億円の赤字
となっており主力の調剤薬局事業や、ドラッグストアの運営などは実は減収減益と不振だったようです。
売上が横ばいを維持できていたのはその他の事業の売上が増加したからで、基本的には業績不振だったんですね。

ではその他の事業がどうして大き売上が拡大したのかというと、2020年3月に売店事業を取得した事が要因だったようです。

そしてこの売店事業とは病院内の売店を行う事業です。
病院自体もコロナの影響で来院者数が減少している中で業績的にも大幅な赤字拡大となっていますので買収自体もあまりうまくいっていないという事が考えられます。

今期の業績は売店事業を買収した影響で売り上げは横ばいを保てていたというだけであり、実質的には減収減益だという事ですね。

続いて主要2事業についてもう少し詳しく見ていきましょう。

まず調剤薬局を運営するファーマシー事業では、コロナの影響が大きく出始めた4月には処方箋枚数が11.2%減と大きく減少してしまっておりそれ以降も基本的には前期比でマイナスが続いています。
一方で単価に関しては4月には14.7%増と大きく上昇しています、という事はある程度重い病気の方や本当に処方が必要な方が病院に通っていて処方を受けていたという事ですね。

言い方は悪いかもしれませんが病院は高齢者の憩いの場のようになっていて医療費が高騰しているというのが課題として取り上げられることも多かったですよね、なのである意味健全な状況になったという事かもしれません。

ですがもちろん高齢者のメンタルヘルスに関しても重要ですので、これを機に病院以外でコミュニティーを作る活動は進めていく必要はありそうです。
運動など予防医療の分野でそういった場が出来てくると、今後の医療費を考えても好影響がありますよね。

また、直近の2021年1月期に関しても処方箋枚数は13.7%減となっていますから、まだまだ病院が嫌煙される状況が続いている中でしばらく業績の悪化は続きそうです。

今後に関しては多すぎる調剤薬局を減らして、店舗当たりの取り分を確保することで、医療費の高騰を避けながら調剤薬局も業績を維持できるような転換が進んでいくといいですね。

続いてドラッグストアの運営を行うリテール事業では大きく売り上げが減少していましたが、基本的にはドラッグストア業界は新型コロナの影響があり非常に好調となった業界の1つです。

ではどうして業績が悪化してしまったのでしょうか、その理由を考えるためにも好調なドラッグストア業界内でも唯一業績が悪化してしまったマツモトキヨシの業績を見ていってみましょう。

このマツモトキヨシでは、売上が5.6%減、営業利益では11%減と減収減益となっています。
そしてその要因としてはマスクや除菌関連商品、日用品や食品は好調だったものの医薬品や美容品は苦戦しており、新型コロナの感染が再拡大し始めた11月以降は繁華街店やと新店舗を中心に売上の減少が起きているためだとしています。

新型コロナで都心を中心に出店していたところはテレワーク化によって都市部の人口が減少してしまった事により業績が悪化してしまっていますので、都心を中心に出店していたマツモトキヨシは業績が悪化してしまったという事ですね。
また、ドラッグストア業界が好調だった要因は日用品や除菌関連商品のなどで美容品や医薬品ではないという事も分かります。
美容品に関しては外出自粛の中で当然需要が減少しているでしょうし、医薬品に関しては感染症対策を徹底した結果、インフルエンザをはじめとした多くの病気自体が減りましたので伸びていないという事が考えられます。

アインホールディングスに目を戻しましょう「アインズ&トルベ」というドラッグストアを運営していたわけですが、この「アインズ&トルベ」をコスメ&ドラッグストアと呼んでいる事からも分かる通りでコスメつまり美容商品が中心の商品構成となっています。
なのでマツモトキヨシでも伸びていない美容商品をメインとしてとり扱っていたために業績が伸びなかったという事ですね。

さらに出店戦略を大都市圏の中でも好調なベットタウン中心に転換したと言っている事からも分かる通りで、これまでは都心部中心に出店していました。
なのでこの出店に関してもマツモトキヨシでも伸びていなかった都心部への出店だという事で不調になったという事ですね。
さらに商業施設内の店舗が多かったという事もあり、商業施設の閉鎖などの影響も受けてしまっています。

月次で見てみるとコロナの影響が出る前の2020年1月~2月あたりは前期比で9.2%増、5.2%増と伸びていましたが、それ以降は20%以上の減少が続いていますし2021年1月の直近では32%減と非常に苦しい状況が続いていますので、まだまだ業績の悪化が続く可能性がありそうです。

という事でアインホールディングスでは売上は横ばいを維持していましたがそれは事業買収の影響で実質的には減収減益であり、調剤薬局、ドラッグストア事業ともにコロナの影響がまだまだ続いているという事で今後も業績悪化が続くことを予測します!!

調剤薬局に関してはどこも業績悪化が続いているでしょうから、数が多すぎる中で適正化が進むスピードが速まった事も考えられます。
数が適正化されれば1店舗当たりの取り分は増えますから、大手で残りやすいアインホールディングスにとってもそれはポジティブでしょうし、高騰する日本の医療費に対しても変革が起こせる時期が来る可能性があります。

呼ぼう医療が評価基準となる社会への転換が起きるかは注目ですね。

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