サンリオの決算から考える、新社長の苦難

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはサンリオ株式会社です、ハローキティなどで有名な会社ですね。

こんなニュースがありました。

サンリオが初の社長交代、92歳創業者から31歳孫へ

東京(CNN Business) 「ハローキティ」などのキャラクターを生み出したサンリオがこのほど、創業から60年で初めてとなる社長の交代を発表した。創業者である92歳の社長が、自身の孫にトップの座を引き継ぐとしている。

サンリオは12日の声明で、辻信太郎社長が7月1日付で社長を退き、孫で31歳の辻朋邦氏が後任になると明らかにした。信太郎氏はその後も会長職にとどまる。

山梨シルクセンターとして1960年に創業したサンリオは、73年に現在の社名に変更。翌年生まれたハローキティの人気に火が付き、日本でキャラクターのライセンスビジネスを手掛ける企業の先駆けとなった。
広告その後、サンリオは小売りやエンターテインメントの分野で事業を拡大し、現在、日本や米国、英国でテーマパークやレストランを運営している。

次期社長に就任する朋邦氏は、ハローキティと同じ11月1日生まれ。年齢は同氏の方が14歳若い。朋邦氏については、ゴールデンレトリバーをモチーフにした人気キャラクターのポムポムプリンを彷彿(ほうふつ)させるとして「いかにもサンリオっぽい風貌(ふうぼう)」といった反応がソーシャルメディアに寄せられている。キャラクターは根強い人気を誇っているものの、サンリオの業績は過去数年厳しい状況が続く。2020年3月期の決算は、物販の落ち込みや複数のテーマパークの閉鎖が響き、純利益が1億9100万円と、前年比95%減だった。

どうやらサンリオは92歳の創業者から孫へと、初の社長交代を行うようで、業績はというと2020年3月期は1億9100万円とかなり厳しい状況のようです。

92歳まで現役社長とは驚きですね。
今回は社長交代後のサンリオがどうなるか考えていきましょう。
それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は6.5%減の552億円、営業利益は56%減の21億円、純利益は95.1%減の1.9億円となっておりかなり厳しい状況だという事が分かります。

ぎりぎり黒字を確保したという感じで、赤字転落してもおかしくないような状態だったようですね。

そしてこの業績の下落傾向は今期が特別だったわけではなく、長期的な傾向だという事が分かります、連続して減収減益となっているようです。

ではなぜ長期的な減収減益傾向となってしまったのでしょうか?

実はこの背景には、内部での揉め事があったのではないかと考えられているようです。
今回孫の朋邦氏が新社長へ就任したのですが、もともとはその朋邦氏の父である邦彦氏が社長へ就任するとみられていました。(名前のややこしさを分かり安く表現出来ずにごめんなさい)

父の邦彦氏は、現在UUUMの顧問やLINEの社外取締役を務める鳩山玲人氏をスカウトし、鳩山氏が中心となり物販メインの事業から、ライセンス収入メインの事業へと舵を切る事で大きく業績を向上させていました。
しかし残念な事に2013年に心不全で亡くなられます。

その後実権は現会長のもとへと戻り、再び物販を重視した事業へと転換、功労者である鳩山氏は退社、新社長となった朋邦氏は入れ替わるように取締役となりました。

その結果大きな収益源だったライセンス収入が減少し長期的な不振へと陥ってしまったようです。

それではこちらの資料をご覧ください。

実際に国内物販の売上は前期比で186.7億円→187.3億円へと増加している一方で、国内ライセンス事業の売上は96.3億円→87.2億円へと減少している事が分かります。

物販の方が売上規模は大きいわけですが、実際にものを売るのと権利を売るのでは全くかかるコストが違うわけです。
当然ライセンス事業の方が利益率が高いですよね。

という事で利益面で見ると、ライセンス事業の利益は物販の利益よりはるかに大きい事が分かりますね。
また、物販の利益は3.4億円ほど増加していますが、ライセンス事業では利益が6.8億円ほど減少しており、物販ではそのインパクトを吸収しきれていないことが分かります。

不調となってしまった主な原因として考えられるのは、ライセンス事業と物販の両方を推し進めた事で、供給過剰となっている可能性です。

物販事業で自社でもサンリオキャラクター商品を作り、ライセンス事業によって他社でもサンリオキャラクター商品を作る事で、サンリオキャラクターが市場に飽和してしまったのではないでしょうか。
商品が多くなりすぎてしまい、IP(キティちゃんとかのキャラクター)としての価値が低下してしまっていると考えられます。

価値の源泉はもちろん希少性です、物販を進めるにせよ、ライセンスに注力するにせよ流通量の調整をしていく事が必要なのではないでしょうか。

サンリオの未来!!

サンリオピューロランドなどのテーマパーク事業は、新型コロナによって2月22日からの休園がありながらも増益となっています。
休園以前では入園者数も2.4%増となっていたようで、テーマパークは好調なようです。

これは強みですね、リアルな場所というのはファンを育てますから、よりコアなファンとなりより商品を買ってくれる人間を増やすことに繋がります。

しかしサンリオにとっては問題もあります。
テーマパーク事業自体は利益率の高い事業ではありませんのでその後に売る商品を用意していないといけないわけです。

という事は商品が飽和してIPの価値が下落してしまっていると考ると、サンリオにとっては何を売るの!?な状態なわけです。

今後は新しいヒットコンテンツを出していけるかが重要そうです。
しかし、今の物販とライセンス事業を両方進めていく体制だと同じようにIPの価値がすぐに低下してしまうのではないでしょうか。

新社長に代わったとはいえ、実権を握るのは会長でしょうし物販推しの会長の手前、物販から再びライセンスに舵を切るのは難しいはずです。

そうなると今の体制を維持、業績不振が続く、となれば市場から新社長へ批判が集まるはずで、なかなか厳しい船出なのでは無いかと思います。

続いてこちらの資料をご覧下さい。

新型コロナを理由としていますが、実質的には長期的な業績不振を理由として中期計画の取り下げをしている事が分かります。

という事は新しい中期計画を打ち出す必要があるわけで、ここで現在の物販事業をどうするのかなど踏み込んでいけるかに注目です。
ここで大きな改革が取り上げられれば面白いかも知れません。

とはいえ実権は会長にあると考えられますから、事業構造が大きく変わることは無くむしろ物販重視路線が強まり業績悪化が続くことを予測します!!

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