コロワイドの決算に見る大戸屋を買収する理由と飲食店が飽和した話

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはコロワイド株式会社です、多くの飲食チェーンを運営している会社です。

早速ですがこんなニュースがありました。

創業家の威を借り「敵対」も コロワイド、大戸屋HDに買収提案

外食大手のコロワイドが定食チェーン大手の大戸屋ホールディングス(HD)に買収提案したことが明らかになった。大戸屋HDが拒否したため、コロワイドは経営陣の刷新を目指す株主提案を公表。対決姿勢を強めている。大戸屋創業家まで取り込んで万全の構えで子会社化を目指すコロワイド。敵対的と言える買収劇が始まった。
 コロワイドは大戸屋HDの筆頭株主で約19%を保有する。昨年末から水面下で事実上の買収提案を繰り返したが、大戸屋HDが独立経営の維持を主張しているため強硬手段に訴えた。4月14日、6月の定時株主総会に向けて大戸屋HDの取締役候補12人を選任する株主提案を公表した。
 このうち7人はコロワイド側の人選だ。経営陣を刷新できればTOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資の組み合わせで持ち株比率を50%強に高め、連結子会社にする考え。
 仮にプロキシーファイト(委任状争奪戦)となり、大戸屋HDの勝利に終わった場合でも諦めない。再び臨時株主総会を請求して経営陣刷新を求めたり、敵対的TOBを始めたりする方針だ。

コロワイドは、大戸屋の子会社化を目指し経営陣と交渉していましたが反対に会い株主提案をするようですね。

以前大戸屋についてはこんな記事を書きました。
大戸屋の決算に見る、フランチャイズ店が減少し業績悪化する可能性

この記事でも書いたように、フランチャイズ店の離脱が大打撃になりますから、そうなる前に売ってくれというのがコロワイドの提案のようですね。

今回はどうして大戸屋を買おうとしているのかについて考えていきましょう。

まずは、コロワイドについてこちらの資料をご覧ください。

牛角やかっぱ寿司、温野菜や甘太郎などその他にも有名飲食チェーンをたくさん抱えている事が分かりますね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

コロワイドはのれんの額が非常に大きい事が分かります。

のれんとは企業買収の際に出てくる数字です、つまりコロワイドがこれだけの飲食チェーンを抱えているのは自社で一から作ってきたわけではなく、積極的に買収を進めてこれだけの飲食店グループを作ったという事ですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

コロワイドの2019年4月~12月までの業績は、売上高は1.9%減の1797億円で営業利益は1.1%増の68億円となっており、営業利益ベースで見ると減収増益となっています。

それではどうして減収ながらも増益を達成できたのでしょうか?

不採算店舗を69店舗閉店した一方で新規出店は36店舗ほどのようです。
不採算店舗を整理して店舗数を減らしたことが、減収ながらも増益となった理由のようです。

つまり拡大路線から、店舗の収益性を向上する方針へと転換したという事です。
これは様々な飲食店で起こっている事で、今まで拡大を続けていた多くの飲食チェーンが、店舗数を減らして収益性をどう上げるかという方向へ転換しています。

つまり飲食店は、もう飽和してしまっていると考えられます。
もちろん日本は人口減少をしていてますから、日本国内の食事回数は人口×1日の平均食事回数以上に増えないわけで、人口の減少とともにパイは小さくなっています。

それに伴い必要な飲食店の数に限界が来ているという事です。

そうなると、大戸屋を買収した理由も見えてきます。

つまり、今後の拡大を進めようとしたときに従来のように、新規出店を進めていると飽和した市場でパイの奪い合いをしなければいけなくなり厳しい戦いを強いられますが、すでに多数の店舗を持っている大戸屋を買収すればパイの奪い合いをする必要が無いという事です。

同じ商圏内で100のパイあるところに、100店舗の飲食店があるとしましょう。
そこに10店舗出店して110店舗で100のパイを取り合うのと、10店舗買収して100店舗のまま100のパイを取り合うのとでは取り分が違いますよね。

さらに、最初の資料を見てもらえばわかる通りコロワイドは、定食系の飲食チェーンは持っていませんから他のチェーンと強くぶつかり合う事もありません。

これが大戸屋を欲しがっている理由でしょう、拡大のためには買収しかない状況になっているのですね。

しかし問題は、以前の記事にも書いた通り大戸屋の収益性が大きく悪化している事です。

これに関してはコロワイドとしては2つの施策で収益性を大きく改善させられると発表しています。

1つ目は多数の飲食チェーンを持っている事による仕入れのボリュームディスカウントが可能だということ。

2つ目はこちらの資料をご覧ください。

コロワイドは多くのセントラルキッチンを抱えていることが分かります。
このセントラルキッチン網を活かすことで、調理コストを大きく下げる事が可能だという事です。

以前の記事にも書きましたが、大戸屋はフランチャイズが離れていくと経営が厳しくなくなります。
そして、業績が厳しくなっていたところに新型コロナの影響で大打撃を受け、今にも店を畳みたいと考えているフランチャイズオーナーさんは増えているでしょうから、コロワイドに売却してしまったほうが収益改善の可能性は高いかもしれません。

株主総会で、コロワイドの提案が受け入れられるかに注目です!!

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