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ビジネスマンの多いデザインスクールのキャリアパス

こんにちは。イリノイ工科大デザインスクール(Institute of Design, 通称ID)に留学中のShinです。

秋学期も最終成績が発表され、全ての日程が終了しました。1月半ばまで冬休みとなり、ここまでカンカン諤諤議論をしてきたクラスメイトともしばらくお別れです。Eddieさんと私のID生活も残り半分を切りました。時の流れは早いです。

本日は直近のプログラムの推移と、ID生が卒業後何をしているかについてデータを用いながらお話ししたいと思います。

データで振り返るIDの歴史

こちらの図をご覧ください。どこに掲載されているか分かりますか?

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実はID生のスタジオがあるKaplan Instituteの壁上に描かれています。理由はわかりませんが、これを作成したのはゼロからVisual Communicationでお世話になったTomoko教授です。2010年代後半までのIDの歴史がよくまとめられています。

卒業生の総数は下記にある通り80年で2,400人以上いらっしゃいます。中段にプログラムがまとめてありますが、左から4番目以降が現在のプログラムです。MDes〜MDMで1,000人弱ということになりますね。我々が取ったFoundationプログラムは明記されていませんが、MDesとMDes+MBAにそれぞれ含まれいると考えられます。

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写真の下段には年代ごとの卒業生の時系列推移が面グラフで示されています。90年以降に注目すると下のようになります。

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1990年代半ばから現在のMaster of Design (MDes), 2000年代以降にMDMが開設、後半からはMBAとのDual Degreeが始まっていることがわかリます。興味深いのはMDMと+MBAが2010年前後に一度ピークを迎えた後、一旦減少し、足下で再び増え始めていることです。特に、2020年現在で+MBA生の数に勢いを感じています。ビジネスとデザインの融合がグローバルに浸透し始めたことが関係あるかも知れません。

卒業後のキャリアパス

続いて卒業生が働く業界と職種に目を移していきます。

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デザイン・コンサル、テック企業で3割ずつを占めているのは米国でのビジネストレンドを考えると妥当に思えます。次にHealthcareが来ているのがなるほどなと考えさせられます。IDでのリクルーティングイベントに訪れる企業の顔ぶれやschool projectを見ると、確かにhealthcare関係が多いです。サービスデザインが主流になっていく中で、まずは複雑な医療サービスの体験価値を改善するというのがデザイン業界の直近のトレンドということなのでしょう。

次に職種はこのようになります。

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Experience Designer(UX Designer)が多いのはここ10年の流れを考えると頷けるところですが、面白いのはInnovation Strategy / Product Managementという所謂「デザイナー」と呼ばれない職種が1位になっていることです。ただ、Strategic Design、Business Designが強いというIDの特徴を踏まえるとある程度納得できます。Researcherが多いのもプログラムの特性を考慮すると「そうだろうな」という印象です。

日本でも「アフターデジタル」などの著書で体験価値の重要性が語られていますし、現地の求人情報を見てもUX Designer(Experience Designer)が圧倒的に多いので、今後1位2位が逆転する可能性もあります。個人的には、Service Designerが今後5〜10年で増えてくると読んでいます(ただ、それぞれの定義の境界線が曖昧ということはありますが。。。

IDのグローバルネットワーク

最後にIDの卒業生がどの地域で活躍しているかを見ていきましょう。

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欧米が中心というのはデザイン業界の過去の歴史や、米国での就職機会を求めて留学する学生が一定数いることを踏まえると特に驚きはありません。そういう全体像の中で日本が多いというところは少し虚を突かれました。2010年代はコンスタントに日本からの留学生がいたので、言われてみるとそうなのかも知れません。

しかしながら、足下の状況を考えるとグローバルネットワークは確実に拡大していくでしょう。留学生の比率は直近で6割前後もあり、相当に高いです。特に中国からの留学生が多いというのはIDも他の米国大学の例に漏れていません。

以上、ざっくりとIDのプログラム推移とキャリアパスを見ていきましたが如何でしたでしょうか。一点頭に入れておきたいのは、これらは過去の結果であり未来も同じであるとは限らないということです。

今後、これらのデータを変えていくのは我々在校生であり、変化の激しい現代において、全く違うトレンドが現れて来てもおかしくありません。自ら変化を求めて留学した人間として時代の岐路に立つ者でありたいと願うばかりです。5〜10年後の結果を楽しみに精進していきたいと思います。

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