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パフォーマンスの幅

長距離をやっていると「練習してない割に意外と走れた」という試合が時々あると思います。これを私は長距離走のトレーニングの本質を示唆しているように感じています。

つまり、裏を返せば普段の状況は「練習している割に試合では速くない」とも言えるからです。

では、普段の練習では何を強化しているのかと言えば、『パフォーマンスの幅』を広げているのだと思います。練習してない割に走れたというのは自分の持っている能力とレース展開などの状況がうまく噛み合った結果であって、これがハマらなければタイムが遅かった可能性が高いわけです。

ただ、練習を積んでいくとさまざまな条件やレース展開に対応できるようになるため、状況がハマらなくてもそこそこのタイムにまとめられるようになります。これを私は『パフォーマンスの幅』だと考えています。

もっとも、トレーニングの目的は安定感ではなく頂点を高めることです。しかし、頂点だけを高めようとしてもうまくいきません。頂上を高くするためには土台を作る必要があり、そのためには弱点の強化も必要です。

このため、一見あまり意味がないと思えるような『幅を広げる』トレーニングも、それを積み上げることで結果としてパフォーマンスの頂点を高めることになります。苦手な練習はすぐには効果が表れない場合があるため、意味がないと思ってやめてしまうケースも多いかと思いますが、方向性が合っていれば実はそれが速くなるための最短距離である可能性があります。

パフォーマンスの『幅を広げること』は決して無駄ではなく、むしろそれを無駄だと思ってしまうと伸び悩みの原因になるかもしれません。

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