レコーディングにまつわる話
しろうとバンド活動の中で何度もレコーディングはやってきましたが、見よう見マネの自己流なんで、録音かくあるべしみないた偉そうな話はできません。
今回はレコーディングにまつわる話をダラダラ書こうというテキストです。
レコーディングの原体験
そっから?って話になりますが、私のようなおっさん世代になると録音と言えばテープレコーダーとかラジカセによるエア録音です。
エア録音って言っても録音してるフリだけするんじゃなくて、ライン録音に対してエア録音。
子供の頃からテープレコーダーは家にあったので、カセットテープに何かしら音を録音するって作業には馴染んでました。テレビから流れる歌を録音してみたり、飼ってる猫の声を録音してみたり。
ライン録りっていう革命
録音するための機材は相変わらずテープレコーダーとかラジカセですが、中学生くらいになると、ライン録りだと周囲の雑音とかお母さんのご飯できた的な声も入らずに録音できるということに価値を見出します。
音源ソースからコードをラジカセのマイク入力とかに繋いで録音するっていうやり方。
音源ソースは、当時父親が持ってたホビー向けのパソコンでした。パソコンっていうよりマイコンって呼んでいたやつです。BASICのプログラムの教則本みたいなのもあったので、それを読んでマイコンに音楽演奏させるっていう遊びをしてたんです。歌謡曲とかをコツコツ手入力して遊んでいた記憶があります。
でき上がった音源はマイコンのスピーカーでも聴けますが、一旦カセットに録音してそれを大きなスピーカーで聴くとドラムの音とかが迫力があって、こりゃたまらんとなるわけです。
今もうひとつ思い出したのが、学校の合唱コンクールの伴奏のピアノを入力してテープに録って練習用に使ってもらったってこともありました。特に合唱に興味はなかったですけど、マイコンで音源作るっていうことが面白くて素材は何でも良かったってことかな。
これってまさにデスクトップ・ミュージック。いや、当時はデスクトップなんていう概念もありませんでしたけど。
バンド演奏のレコーディング(エア)
高校生とか大学生になるとバンド活動を始めましたから、その演奏を録音するという機会も出てきました。
ライブハウスへ出演審査用の音源送るとか、練習の演奏具合を確かめるために録音しとくとか。この辺はまたラジカセによるエア録音です。
今現在でも練習をエアで録るってことはやりますけど、使うのがiPhoneなんで音割れを気にしなくてもいいし、ほとんどスタジオで鳴ってる音そのまんまの感じで録れます。
それに対して当時のラジカセによるエア録音ってけっこう大変でした。バンド演奏みたいなデカい音を録る場合、とにかく音割れ対策が大変。各楽器の音量バランスも、ラジカセを置く位置がとっても重要。
30年前に録音したラジカセ音源です。懐かしい。そしてなかなか楽器がうまい。今じゃこんなに弾けません。
バンド演奏のレコーディング(ライン)
ラインレコーディングと言っても、自分でやるんじゃなくてライブハウスの人にテープ渡して録音してもらうっていうアレ。
クリアに録音できるし良いんですけど、実際にライブハウスで聴こえる感じを100とすると、30くらいの出来栄えに聴こえるのがライブのライン録音のあるある。
とにかく小さいミスとか粗いところが目立ちまくって、ライブのライン録りを聴くと落ち込むんです。ライブの音源は山ほどありますけど、そういった理由でほとんど1回聴いたらその後一生聴くことはないくらいです。
ライブ録音の他にはスタジオでエンジニアについてもらっての録音っていうのも1回だけやったことがあります。軽音部の合宿で行った宿にそういうサービスがあったんです。
スタジオ録音と言ってもいわゆる一発録りですし、トラックダウンもエンジニア任せで我々の意思の入る余地なしなんですけど、クリアな音質でなんとなく作品っぽい音源を残せたというのは良い思い出です。
カセットMTRで多重録音
マルチトラッカーという機材は最近ではパソコンとかタブレットを使う人が多くて、どうやら下火らしいんですが、昔はそれしかなかったんで当然使ってました。
初めてMTR(マルチ・トラック・レコーダー)に触れたのは大学の頃。友達に「音源作るんでちょっとギター弾いてくれ」と頼まれたんです。
ドラム、ベース、バッキングのギターが入ったテープをヘッドホンで聴きながら、私のギターを多重録音するという作業だったんですが、やたら緊張して失敗しまくって、頼んできた友達も苦笑いみたいなことになりました。
当時は録音する媒体がカセットテープだったんで、なるべく録り直ししたくないんです。テープが悪くなるから。
そんな経験からMTRっていう機材の存在を知って、学校を卒業した後に自分でもMTRを買いました。その頃はバンド活動はしてなくて、ひたすらオリジナル曲の自宅録音をやってました。
機種名は忘れましたけど、こんな感じのタスカムの4トラックのカセットMTRを使っていました。カセットテープのAB面✕LRで4トラックって、考えた人天才。
このカセットMTRとセットで思い出すのが、ドラムパートを作るために使ってたKORGの小さいリズムマシンです。
小さくて細長い白黒の液晶画面を見ながらコツコツと入力していた記憶があります。あの作業は人格を歪めてしまう気がします。それほどまでに孤独で気の遠くなるような作業でした。
なんにせよ、このカセットMTRの体験によって多重録音というものに馴染んだんです。
デジタルMTRという超革命
それから数年経過し、デジタルMTRが比較的安く手に入る時代が到来しました。
記録媒体がハードディスクになりましたから、カセットテープと違ってどんだけ多重録音しようとも、どんだけバウンス(ピンポン)録音※しようとも、いっさい音痩せしないという超革命。この時の興奮をどうお伝えしたら良いのか。
買ったのが確かこの機種。
デジタルでしかも8トラックですから、今までの4トラックのカセットMTRとは雲泥の差です。しかも内蔵エフェクトまで搭載されており、これ1台あれば自宅でサージェント・ペパーズが録音できると思ったものです。
コイツは自宅録音でもずいぶん使いましたし、バンドの曲もけっこう録りました。しかし同時録音トラック数が2だったので、ドラム録るのに苦労したっけ。
その後何年くらい経ったか忘れましたけど、スタジオでちょっとした音源を録る時に、小さくて軽くて電池で動くから便利かなと思って買ったのがZOOMの小型のデジタル4トラック機です。
機能が非常に制限されてるんですが、とにかく小さくて軽いのでなかなか良いです。バンドメンバーに渡すオリジナル曲のデモくらいならこれでもじゅうぶん作れるんで、今でも使ってます。
しかし記録メディアがスマートメディアというのが懐かしいというか何というか。フジフイルムのデジカメの初期型のやつで使ってたアレ。今手持ちのスマートメディアが駄目になったらMRSー4とはお別れせねばなりません。
ZOOM R16という神
FOSTEXの8トラック機も使い倒したくらい良かったんですが、同時入力数が2という部分や、そもそものトラック数に物足りなさを感じて買ったのが、MTR史に残る名機のZOOM R-16です。これはとんでもなく素晴らしいMTRなんです。
価格的に私が手が出せるMTRとなると、R16がもう決定版と言っていいくらいですから、もう一生これでいいです。その熱い思いは以前にテキストにしてあるので、どうか引かないでお読みいただけると幸いです。
思えばテープレコーダーから始まって、MTRにしてもDAWにしても、ほどんど作品レベルまで対応できる機材やアプリケーションが、一般しろうとでも買える価格になってるわけですから良い時代になりました。
昔のカセット時代はそれはそれで味があって、苦労もまたいい思い出・・・ってことも無いことはありませんが、あまりに不便すぎて思い出以上のものはないです。過酷すぎました。
今から当時の環境に戻ったら、大変すぎてレコーディングなんて絶対やんないと思います。
とにかく誰でも安価に簡単にレコーディングが楽しめる時代になったってことは手放しで喜ぶべきことです。
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