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「そんな気がする」のために

オーディオをやっていると、ダメ耳の私でも「音が良くなったような気がする」と言う瞬間が沢山ある。

オーディオマニアは、そんな「気がする」を日々重ねて、今の自分のオーディオセットを構築しているわけだ。

この「気がする」と言うのが、くせものでもあり、でも、日々の生きがいでもある。

あくまでも「気がする」のであって本当に良くなったのかと言うのはきっと誰にもわからないことも沢山ある。

今まで聴いていた音が、最高であると思っていたのに、ネットで調べてこうするともっと良くなる的な改善案を見出すと、すぐやってみたくなり実施すると、なんとなく音が変わった様な「気がする」のであり、変わった事によって、音が良くなった様な「気がする」のである。

あえて具体的に示す事は避けるが、色々なグッズや、改善策が、ネットに溢れている。

そして、具体的に科学的根拠(測定値を使ったグラフやデータ比較等)を示して改善をアピールしている。いや、きっとそのデータ類は正しいのだと思う。

がしかし、だからといって、本当に自分が聴いていて確実に音が良くなったと断言できるのだろうか?と考えてみると、全て、よくなった様な「気がする」としか言えない。

自分のダメ耳が判断しているレベルであり、いかに科学的な根拠を並べられても、本当に自分の耳でその良さを聴き分けられているのかは、全く定かではない。でも、何かを変える事によって、よくなったと言う「気がしてくる」のだから面白いものだ。

そんな事は、わかっていても、今日もまた、もしかすると、ここを変更すると、ここに新たな技術を投入すると、自分のオーディオセットのレベルが上がるかもしれないと言う、大きな期待を込めて、改善に励むのである。

本当に、「改善」だといいのだが、でも、自分のお小遣いの許す範囲で、次はどうしてやろうかと言う、絶え間ない妄想を繰り返して、頭の中は、ワクワクして活性化しているのは、確かかもしれない。

P.S.
この記事は、目の前のシステムでMCカートリッジのプレーヤーに繋がっていた市販の古い安物フォノイコライザーから、自作のNFB型フォノイコライザーに切り替えて、先日300円で手に入れたリムスキー・コルサコフのシェヘラザードのレコードをかけていたら、オーケストラの楽器の個別の音がよりクリアにハッキリと聴こえてきて、また、ソリッドな低音の更なる広がりを感じ取る事ができる様になった「気がした」ので書いてみた。

取り外した古いフォノイコライザー