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無垢の実力はいかに?

物の素材が良けれは、製造された物の品質も良くなるというのは理解できる。
有機農法で育てた美味しい野菜で料理がうまいシェフが作ったお食事をいただいて美味しいなと感じるときはうれしいものである。
良い鋼と腕の良い職人が鍛錬して作った鍛冶物、例えば、包丁や鉋の刃はよく切れる。

オーディオの世界では、ケーブルの素材、カップリングコンデンサーの種類、真空管のメーカー、ビンテージ物、産地等々いいもの、高価なものを使うといい音が出るという記事はネットを見ているといくらでも出てくる。
私も、それらをいろいろ試してみたが、プラセボ効果というのか、その時は、変わった、良くなったと思うのだけれど、数日経つと本当に変わったのだろうかと疑問に思うことが多々ある。
白状すると、所詮、私のダメ耳では、そのような微妙な変化を認識する能力は乏しいようである。

ところで、スピーカーを作るにあたって、一般的には板として仕上がった、合板を使うことが一般的であろう。シナ合板、フィンランドバーチ合板、ラワン合板、針葉樹合板などいろいろある。板としてそのまま使えるので、必用な厚さの合板を購入し設計図に合わせてカット、あとは、タイトボンドでイモ貼りすれば、複雑なバックロードホーンでも簡単にできるしメンテナンスが楽である。

私は、40代後半から趣味の木工に力を入れてきた。なので、動力を使って板を製材し、ほぞ、サネを作って結合し、鉋を使って仕上げるようなことをやってきた。自宅の家具は自分で作るというポリシーである。
特に最近は、椅子などを作るためにブナ材を仕入れて使っている。

スピーカー、特にバックロードホーンを作るのであれば、無垢材を使って作ってみたいと考えるのは当然だろう。ところが、無垢材は、一筋縄ではいかないのは、木工をやったことがあるものであれば想像がつく。無垢材は動くのである。反り、はがれ、割れ、縮み、歪みとうまく折り合って作らなくてはいけない。そして、経時的にそれらの現象に対処しないといけない。
それでも、バックロードホーンを無垢で作ることに力を入れている。
今までのところ、バスレフ、共鳴管、バックロードホーン含めて10台ほど作成し、最近では、バックロードホーンが中心である。

私のダメ耳でもはっきりとわかることは、無垢材のバックロードホーンは、合板のものよりも、音がよりソリッドで、後ろに広がるホーンから出てくる低音が、しっかりと伝わってくるということ。FOSTEXのFEシリーズで、FE126NVを無垢で作ったものと、FE166NVを合板で作ったものでは、前者のほうがより低音の出方、質感で勝っている。そして、中高域はフルレンジで口径の小さい126であればツイーター無しでも十分出るので、ツイーター付き166である必要がない。

無垢材のバックロードホーンを私以外の人が聴いても、今のところ概ね同様な感想を聴くことができる。人によっては、無垢材のバックロードホーン自身が楽器のように聴こえるという評価もある。バイオリンや、チェロ、コントラバスのように箱の響きを感じることができるからなのだろう。決して、違和感のある箱なりとは違うものである。3極管アンプから出てくる2次高調波歪み、倍音をうまく表現してくれているようにも思う。

これからも、作るのであれば無垢材を多用していい音を作って行きたいものである。

追伸:
あくまでもいい音おやじの感想です。
人によって、聴こえ方が違うと思います。
バックロードホーンは、ダメという方もいらっしゃいます。
人それぞれでいいと思います。