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変動損益計算書を作ってみよう-決算書をじっくり見たことのない経営者向け(1)

会社経営を営む上で決算書に関する知識はかかせません。今回は損益計算書を組み替えて変動損益計算書を作ってみます。


1.費用を変動費と固定費に分解する

スタートの売上高と結果の経常利益はいっしょですが、売上高から差し引かれる費用を固定費と変動費とに分けているのが大きな違いです。

売上にともなって増減するのが変動費、売上が増減してもさほど変化しないのが固定費です。

【変動費の代表的なもの】材料費外注費です。店舗販売をしている場合は、クーポン等の販売促進費も変動費になります。ネットショッピングやショッピングセンターにテナントで入っている場合は、一定の手数料が必要です。その中身は定額的なものと売上等の一定割合のものが含まれているのが通常です。これらの会計の勘定科目では「支払手数料」、「店舗運営費」等に含まれていますが、変動損益計算書を作るにあたっては、勘定科目のみで区分するのではなく、さらに支払明細書等を見ながら、変動費・固定費の区分をしていきます。

【固定費の代表的なもの】変動費か固定費か区分し難い費用は固定費とみなします。代表的なものは、人件費、家賃、保険料等です。

まずはここまで経営者自らが作成します。わからない場合は、経理担当者や顧問会計事務所の担当者と相談しながら作成します。急に社長がそんな相談をすると担当者は戸惑うかと思いますが、内心は、社長が決算書に興味を持っていただいた、と嬉しく思いながら対応してくれると思います。
これで上記の変動損益計算書の出来上がりです。おつかれさまでした。
一休みしてわらび餅をどうぞ!

2.限界利益ってなーに?

上の変動損益計算書を見ると、通常の損益計算書と比べ、変動費、固定費以外にも変わっている点があります。そうです。売上高から変動費を控除した金額が限界利益として表示されています。すばらしい!

上の表では限界利益は300です。売上高1,000に対して変動費700を控除した金額が限界利益300として表示されます。変動費は売上高と比例する経費(今回のケースでは売上高の70%が変動費です)ですから、
①売上高が1,200の時は、変動費は840(=1,200×70%)、限界利益360(=1,200-840)となります。
同様に、②売上高が800の時は、変動費560(=800×70%)、限界利益240(=800-560)となります。

限界利益は、売上高の増減にともなって、一定の割合で変化する利益といえます。

固定費は、売上が増えても減ってもさほど変化しない経費ですから、225のままです。したがって①の場合は、経常利益は限界利益360-固定費225=135となり、②の場合は、経常利益は限界利益240-固定費225=15となります。

ここまでは、経営分析のセミナーをしても、みなさん、うんうんとつなずきながらついてこれます。ここからは、小学生高学年の知識が必要になります。ここで何人か脱落します。頑張りましょう。

上の表で経常利益は75ですが、借金の返済もあり、来期は経常利益は100あげたいと思った場合、目標売上は、いくらにすべきでしょうか?

パン君ハンバーガーを食べながら考えてみましょう。

目標とする経常利益は100、固定費は225ですから、これらを合計すると限界利益が計算できます(100+225=325)。先ほどの計算で売上高の70%が変動費とされましたから、限界利益率は30%(=1-70%)になります。
よって限界利益325÷30%=1,084の売上をあげれば、目標とする経常利益100を達成できます。

ついてこれましたか?

試しに売上高1,084の場合の変動費は759(=1,084×70%)、限界利益は325(=1,084-759)、固定費は225のままですから、経常利益は100(=325-225)となり、目標売上1,084は正しいと検算(?)できたことになります。

通常の損益計算書を変動損益計算書に組替えて分析することを管理会計といいます。

来期の経常利益の目標100をあげるには、売上をあげる以外にも他の方法もあります。それは明日にします。ありがとうございました!


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