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日入帯食

自然の光が、人間の光に追いやられ、夜が来た。
色を持たない人間が、色を持ち
寄りかかる暗闇を跳ね除けようと、色に染まる。

戻らない日々は記憶として
まだ見ぬ日々は不安として
残らない記憶は
拭えない不安は

夜を待つ人間に罪はない。
けれど功が生まれるはずもない。
真空として動かずにいる。
そこを夜が往来するばかり。

私はあなたを映す鏡ではない
私はあなたを記す言葉ではない
私はあなたを潤す水ではない
私はあなたを救う啓示ではない

人間の光が、自然の光に追いやられ、朝が来た。
色を持たない人間が、色を持ち
薄れゆく暗闇に縋り付こうと、色に染まる。

戻らない日々は記憶として
まだ見ぬ日々は不安として
残らない記憶は
拭えない不安は

そうして僕は気付いてしまった。
あの日が、あの言葉が
僕らの最後の交点であり
僕らの最初の立脚地であり
僕らに宿る太古からの
僕らが託す未来への
枷となり、色となったこと。

私はあなたを映す鏡ではない
私はあなたを記す言葉ではない
私はあなたを潤す水ではない
私はあなたを救う啓示ではない

私はただ、

ただ



貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。