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『春忘』

冬が散った 風が凪いだ
色づく空に溶ける思いだ
さよならって
きっとこんな憂い雲に似てる
形があって それが変わって
僕らの心みたいだなんて
悲しまないで
僕は君を覚えている

悲しみの上塗りに喜びは使わない
取り戻せないことが
何よりも怖いことだって知っているから

本当は僕も幸福であり続けたいけれど
全部が嘘になってしまいそうで
笑い飛ばしてくれてもいいよ

声が届かない距離まできた
思い出も薄れる頃合いだ
だから少しだけ
立ち止まろう

生が散った 死を仰いだ
春めく花を模した思いだ
僕は今日も
君のためだけに言葉を使う
形があって それが歪んで
僕らの心みたいだなんて
悲しまないで
僕は君を覚えている

瞳を閉じた 喉が詰った
散る花すら例えた思いだ
さよならって
こんな暮れる日に似てる
形もなくて それが滲んで
僕らの心もこうならなって
忘れないで
君は僕を変えていく

僕らの心みたいだなんて
決めつけないで
僕は君を綴っていく

僕は君を覚えている



貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。