拝跪

水面が泣いたから そっと手で掬った
さよならだなんて 嘘みたいだ
歩き出すにはもう 暗くなり過ぎた
綺麗なものも全部 見えなくなった

寂しさよりも
悲しさよりも
今ここにあるもの
貴方一人

俯いた顔をあげる速さできっと
今も忘れていくんでしょう
このままでなんて言わないから
今だけは覚えさせていて

夜の流れに抗って
ずいぶん寂しいねって
笑いながら顔をあげて
またあの言葉を言って

貴方と私
僕と君
いつまで一緒で いつから離れるだろう



ー ー ー

  『瀰散』  ←   目次   →  『気焔』  

ー ー ー


貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。