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だけ

越えようとした思い出が
縋りつくこともせず
ただ泣いている。

僕は立ち止まる。
そして振り返る。

思い出はただそこにある。
いつまでも変わることはない。
変えることもできない。
思い出はただそこにある。

消えてくれない虚しさも
癒えてくれない悲しさも
溶けることない寂しさも

あなたとならば
浸っていたかった。

そんな夜を過ごしていく。

何でもないような顔で
さよならして
またねって。

泣きそうな顔で
ありがとうって
きっとって。

切り取られた過去の残像。
思い出の中にある風景。

君といた。
ただ覚えているだけ。

あの時僕は何を思っていたのだろう。

君といた。
ただ覚えているだけ。

越えようとした思い出は
ただ覚えているだけ。

あの時君は何を思っていたのだろう。

ただ覚えているだけ。
今だけ。

いつか忘れてしまうだけ。


貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。