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春窓

三番線に走った思想詰った鋼色
見る影もないほど散った
哲学者の遅延証明
握った愚者の舌打ちで
誰かの悲鳴を掻き消された

息が詰まるって思った
いっそ塞いでくれたら
あの日の春に帰れるか

ひしゃげた人形があった
朝焼けは明日を照らした
昨日に差すのは今日の月
君の感情はどこだ
僕の感情はどこだ
ひしゃげた人形が増えた

冷たくなった君の手に
僕の温度はもう、無い
取り零した青い輝きは
あの三番線に消えてく

心が乾くって思った
いっそ乾いてくれたら
こんな詩を捨てられるか

ぐらついた心象があった
原風景はいつも夜だ
夜に浮かぶ君がいた
君の残像はどこだ
僕の実像はどこだ
春夜風が寂しくなった

冷たくなった君の手に
僕の温度はもう、無い
取り零した青い輝きは
あの三番線に消えてく

忘れないって願った
いっそ忘れられたら
こんな詩も書かないか

遅延証明を破って
春の窓を開いた


貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。