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2022.5.30『潜入ルポ amazon帝国』

最近読んで面白かったのは、『潜入ルポ amazon帝国』(横田増生・著)です!

著者のお名前「増生」はマスオさんだそうです。

『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(未読)の続編。

横田さんは、他にユニクロへの潜入で有名です! 
ヤナイに出禁にされた男・・・! 

▼Amazonの闇

「潜入」とあるので、実際にアマゾンの倉庫でバイトした話なのかな?と思ったら、それももちろんしているが、一部で、もっと多角的にアマゾンとベゾスの「闇」に迫る、めちゃくちゃ面白いレポートだった。

ちなみに著者の横田さんは、潜入前にAmazonで潜入に必要なモノを購入し、かつ倉庫でアルバイト中には偶然、自分の著書をピッキングしたそうです(笑) 

こういうところの横田さんの「あり」な感じがめっちゃ面白い(笑) 変にケッペキでなく、どこまでも冷静。でも心の底にはアツいものがあるんだと思う。じゃなきゃ50代でバイトにまで応募しない!!! めちゃくちゃきついのだAmazonの労働は!!!

私が戦慄したのは、以下の点。(他にもまだまだある…)

・倉庫労働で死亡事故続出
→過労死というより、広い倉庫で突然倒れても誰にも気づかれず、気づいてくれても救急車を呼んでもらえない…。1日中歩きまわる倉庫労働者は最低賃金で、最低の休憩時間しかない。でも学歴も何も関係ないので貧しい中高年が多い。世界的にそういう労働者(移民とか、賃金の高い仕事につけない人)の雇用の受け皿となっている。
年齢が高い労働者を雇えば、その分病気になりやすいというリスクもあるのだが、そういうケアはない。そういう発想がない。Amazonは労働者も取引先も「使い捨てる」。

※ちなみに、アカデミー賞をとった映画『ノマドランド』でも、車で生活する高齢者たちの「いいバイト」としてAmazonが出てきます。。。

・労働組合とかそういうのがとにかく嫌い(これはどの企業もそうだけど…)

・とにかく人件費は安く抑えたい(ケチ)

・とにかく物流費(運んでくれる運送会社に払うお金)も安く抑えたい(ケチ)

・とにかく支払う税金も国際的に安く抑えたい(ケチ)

・(ベゾス個人は)慈善活動にもそれほど興味なさそう(ケチ)

・正社員もアルバイトもとにかく働け働け働け!!! だって俺(ベゾス)も頑張ってるから!

巨大ブラック企業Amazon・・・・・・・・・。

Amazonは最初、ネット書店としてスタートした。そしてAmazonが望んだわけではなかったかもしれないが、結果的に(少なくとも日本の)出版業界の在り方を変えてしまい、書店はどんどん潰れた。

いま、Amazonの経営の柱は、通販事業だけでなく「アマプラ」と「AWS」もあるそうだ。おおいつの間に。AWSのことは私に聞かないでくださいね!!! サーバー的な、これがないとネット使えないよ的なやつです。

というわけでAmazonは盤石だ。Amazonの社訓は「常に創業初日の気持ちを忘れるな」だそうです。


▼Amazon漬け

もはや私たちの暮らしは、Amazonなしでは成り立たない。
どんなに「ネットでは買い物しない」って言っても、使ってるサービスのクラウドが「AWS」だったり職場のネットが「AWS」だったりすれば、首根っこ押さえられてるのと同じ。
AWSに大規模障害が起きたら一斉にダウンする。(※私が以前働いてた企業でもAWS使ってたので、AWSで障害が起きると全ての仕事が止まった…。本当に何もできない)

それが国内の大事なインフラだったら? 防衛関係だったら? 飛行機だったら? 

どこかの牛丼チェーンより、よほどAmazonの方がシ〇ブ漬け戦略を徹底している。

顧客のエンゲージメントもどうなんだろう??

Amazonはベゾスのワンマン経営だった(2021年退任)。
ベゾスは経営者としては天才的だが・・・人徳があるという話はあんまり聞かない・・・カリスマ性があるという話もあまり・・・。

ふつう、儲かってるテック企業の社長やサービスにはファンがつくものだ。家電とか、パソコンとか、お好きな人はお好きだし、こだわりがありますよね?? でも私は「Amazon大好き!」っていう人には会ったことがない。

たとえばアップル社には熱狂的なファンがいる(iPhone発売前までに並んだりする人含め)。スティーブ・ジョブズは、人としてはかなりひどかったそうだが、それでも、クリエーターとして作品(商品)が尊敬できるという人はいるだろう。私は機械オンチだが、あのスマートフォンが人類の技術史上、どれだけ革命的なものであるかはちょっとはわかる。すごい人だなあと思う。

Google。ここも賛否ありまくるが、私は「すべてを検索可能にしてやる!」という、オタク的情熱はなかなかいいと思う。会社の福利厚生も大きな話題だ(もちろんその分成果を出さないといけないが)。

メタ(元Facebook)。メタは…うーん。メタバースとかには興味ない。でも普通に私の生活に役に立っていて、FBで昔の友達と繋がれたりしてるので、少し愛着があります。

でもAmazonはどうなんだろう。
「だって、Amazonがあるから」「まあ他のよりはいいから」
というか「これしかないから」「ここが一番大きいから」…。
消極的な理由で使っている気がする。
便利だけど「愛」は持ちづらい。UIもそんなに可愛くないし。
それどころか私はAmazonPrimeに望んでないのに誘導課金されそうになって、なんという姑息なやり方か!(憤怒)と思い、そういうところはあまり好きじゃない。

でもまあ、買ってますAmazonでいろいろ。
アマプラにもたまに入ってビデオ見たりするし。ギフトも送る。置き配もできるしね。ここしかないから・・・。

なんか日本の政治みたいですね・・・他にいいのがないから。

でもこの「他を選びようがない」ところに来ることを至上命題として、Amazonは肥大化し続けている気がする。

とにかくAmazonが来た業界は、業界全体が活気づいて「Amazonさん来てくれて良かったね」とはならない。Amazonによってぺんぺん草も生えないくらい、他の会社は駆逐される。
それをアマゾンエフェクトという(death by Amazon)。

そもそもベゾスがネット書店を始めたのは、「ボクは本が好きだけど、本屋さんが遠くて本が買えない人がいるなんて可哀想! ネットの力でみんなに本を届けたい!」とかではないらしい。

商売が簡単そう。もうかりそう。

それで「本」という商品を選んだだけ。

それもまあ結果的にはコンシューマーのためになってるっちゃなってるのかな(実際Amazonのせいで本屋がなくなって、みんなAmazonで本買ってる)。
キンドルも私は使ってないけど、めっちゃ便利だそうですし。(あ、キンドルもAmazonです)

私も別にすべての商売が「キラキラした目標」から始まってるとは思わない。金が稼ぎたい、イチバンになりたい、起業したい、それで結構。
でもふつー、会社が大きくなると、そういうキラキラ目標をタテマエ上どんな企業でも言いだす。でもAmazonはあまりそういうことを言わない。

そしてとにかくどこの国にも全然税金を払わない!!!!!! こんなに大企業なのになんというケチなのか!!!!! 日本の公取委がんばれ!!!!!! 

ベゾスは何目的でこんな大変なことをしたのかなあ。世界一のお金もちになって、楽しかったのかなあ。使う暇なさそうだけど。あ、そうか・・・宇宙に行きたかったんか・・・?

すべての企業の目的は「永続すること」なんだそうだ。
世界が滅んでも、Amazonの倉庫だけが残っていて、中で働いている人たちは外で何が起きたか知らず、ずっと作業を続けている。

そんな幻視が浮かんだ。

最後に、この本のAmazonのリンク貼っておきます!!(笑)


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