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Excelで分析の鬼になる

マーケティングにおいてデータ分析はとっても重要。

データ分析というと、ありとあらゆるデータを集めて
解析・分析・グラフ化して人の意図とは無関係の
無機質なもののようなイメージがあるのではないだろうか。

もちろんそういうデータサイエンス的な分析もあるだろう。

ただ、実際そんな難しいことをせずとも十分マーケティングはできる。

なぜ断言できるのかというと、ぼく自身がそんな難しい分析なんてできなくても、マーケティング力を売りにする会社の中でもなんとかなっているからである。

マーケティングなどと横文字で言っているからよくわからないだけで実態としては、商品やサービスを売るための行動。

どうすれば消費者に商品の価値を伝えられるか、そもそもどんな商品やサービスを消費者が求めているのか、を考えること。

膨大なデータを分析して導き出さなければできない訳でもなく、コストをかけて調査をしなければいけない訳でもない。

以前の記事では、フレームワークについて知ってるか知らないかよりも、考え方を理解することをオススメしているが、データ分析に関しても同じ。

まずは”何をしたいのか”をはっきりとさせてからデータに向き合わないと、なんとなくグラフを作って、なんとなく見栄えのいい分析が出来上がるだけだろう。

データ加工も集計もグラフ化もそれぞれそれなりの作法というものがある。

まずはその作法を知ることとデータ分析というのを大袈裟に捉えすぎないこと。

そんなに大したことせずとも、マーケターずらしてるぼくが思う、データ分析の本質を考えてみたいと思う。

クロス集計ができれば成立する

早速だがこれが結論。ぼくがこれまで行ってきた分析は、どれも大概はクロス集計の積み重ねで導き出せている。

クロス集計とは、2つデータを掛け合わせることで見えてくる情報。
例えば売上と客数のクロス集計であれば、大概は客数の増加と売上は比例する。

その結果を知ったうえで、今度は客数と客層(性年代別)のクロス集計をしてみる。
そうすると客数の多いときに購入してくれる顧客の性年代などが見えてくるため、売上の大半を占める客層を把握することができる。

スーパーなどであれば40〜50代の女性が客層の大半だったりという感覚的にわかっていることが、しっかり可視化されたり、データを見てみると感覚と少し違っていたり。

2つのクロス集計をするだけで、このような基礎的なデータが見えてくる。
基礎的なデータが見えると、狙うべき客層や逆に取れていない客層などもわかり、商品戦略や売場づくりなどのマーケティングに役立てることができる。

なにも、3つ4つと複数の項目を掛け合わせなくとも、2つの項目の掛け合わせを複数回やることでも仮説はたてられるようになる。

最も重要なのはこの仮説をたてるということであり、なんでそうなるのかはよくわからない高度な分析結果ではない。

まずはこの仮説とそこにあわせたマーケティング戦略を重要視し、その結果がどうだったのかを検証していくことがデータ分析の醍醐味である。

必要なスキルは2つだけ

データを分析するにあたって、ピボットテーブルとVLOOKUP関数、この2つの機能を使えば9割がた分析は完成すると言っても言い過ぎではないと思っている。

ぼくは新卒時代、Excelなんてものは大学のゼミで数回(記憶にないくらい)
触ったことがある程度の状況。
入社後配属された部署では、全社的な実績を集計する単純な足し算においてもまあよく間違えて怒られたものだ。

当時は大学生の延長線上でなんとなく働いていたため、なぜ自分が間違えてしまったのか、というよりもまず、なぜ上司や先輩にチェックをしてもらってるのに間違ったら自分のせいにされるんだ、と不満ばかり感じていた。

そんな、超アナログ人間&社会人として無自覚だったぼくも、その後に配属となった営業の仕事の中でいかに仕事というものが、自分の改善によって大きく効率化でき、成績にも繋げられるということが肌で感じられるようになってきた。

特に、マーケティングなんてものが海のものとも山のものともよくわからない言葉だった当時、営業先への提案を販売データを使って行うなんてことは誰も教えてくれなかった。

今のようにSNSは発達していないし、ググってみつける、なんてことが世の中に浸透していなかった時代。
そんな中で、PCに詳しいちょっとオタクな先輩に聞きながら試行錯誤していった結果、この2つのツールを使い倒せば大概のデータはどうにかなるということが見えてきた。

ピボットテーブル

"ピボット"なのか"ピポット"なのか、それとも"ピポッド”なのか、ずっと曖昧なまま15年くらい使い倒している。(調べてみると"ピボット"が正しい模様)

名称はさておき、ピボットテーブルは簡単に言うと、数字の羅列であるデータを項目ごとに集計する機能である。

例えば、100店舗の1ヶ月の売上の明細(店舗別商品別の売上)データがあるとすれば、”100店舗×30日×販売商品数×顧客数"となり、あっというまに何十万何百万行の膨大な明細データとなってしまう。

個人商店であったり店舗の人であれば、データを見ずともある程度は把握できるような情報も、それが何十何百と広がり、店舗と本社で役割分担がされるようになると把握するだけでも一気に難易度があがってしまう。

これを店舗別の売上に集計して、不採算店舗をあぶり出して好調店舗との違いを見つけたり、商品別の売上に集計して売れているカテゴリーと売れていないカテゴリーを割り出すことで品揃えの構成比を変更したり…とこんな単純な集計で基礎的な様々な情報が見えてくる。

"ピボットテーブル"というただの集計ツールだが、上記のように『売上』というデータと『店舗』というデータをかけ合わせることで新たなデータとしての価値が誕生する。これを”クロス集計”と呼ぶ。

"クロス集計"はマーケティングの根本となる“比較”ができるようになり、これこそが"ピボットテーブル"の一番の活用ポイントである。

物事の善し悪しは、"比較"することで生まれる。
膨大なデータの中で何をどのように"比較"すべきか、迷ってばかりいるようであれば、むしろ”ピボットテーブル”を使って、いろんな軸で集計して"比較"をしてみたほうがもしかしたら手っ取り早いかもしれない。

VLOOKUP関数

こちらはツールではないが、これを使えると使えないでは出来ることが何百倍も変わってくるというぐらい活用度No.1のExcel関数。

ふたつのデータの中で共通の項目さえあれば、片方のデータから簡単に紐づけることができるこの関数により、データ分析の世界は一気に広がる。

クロス集計に慣れてくると、これまで集計してきた項目以外の要素が気になってくるもの。

先ほどの店舗別商品別の例で言えば、売上だけでなく利益で見るとどうか。
利益というのは社外秘情報であるので、当然ながら厳重に管理されていなければならない。

となれば売上のデータとは別に商品ごとの利益がわかる価格表のような形で管理されることが多いのではないだろうか。

つまりは商品の利益が見える部分は別管理をされていることが多く、別管理されたもの一緒に集計するというのが難しい状況だった。

マーケティングというか、ビジネスの場ではこういったことは日常茶飯事。

こんなとき、VLOOKUP関数を使えば瞬時に利益のデータを売上のデータに紐づけることができる。

それによって、”売上は上位でも利益としての貢献度が低い商品やカテゴリー”が見えてきたり、”売上上位でない店舗でも利益としては上位店舗より利益を稼いでいる店舗”などが見えてくるかもしれない。

VLOOKUP関数によってクロス集計の幅が一気に広がるため、当然ながら分析の幅も広がる。

直感とデータの掛け合わせが大きな価値となる

マーケターにとって重要な「仮説」は、クロス集計のような2つの項目の掛け合わせから見えてくることが多い。

売上や利益、商品や店舗、なるべく多面的にクロス集計をしていくと、売上だけでは測れない隠れた工夫や取組みによるファンの存在なども見えてくるかもしれない。

Excel初心者には難しく見えるかもしれないが、ビジネスの場においてはピボットテーブルとVLOOKUPは基礎中の基礎。

デスクワークであれば、この機能を知ってるか知らないかで効率も精度も格段に異なる。
データ分析を生業にせずとも、この2つはどこへいっても役立つ機能なので、どんな職種の人でも覚えておいて損はないだろう。

データ分析と聞いただけでなんだか難しそうとか、専用のツールがないといけないとか、難しく考えるは必要はなく、単純に2つの変数を掛け合わせて他のものと比較するだけで、どんどん課題は浮き彫りになってくる。

課題が浮かび上がってきたら、そこからはまさに日々現場や他部署と直接関わっている担当者が課題の原因や対策に知恵を絞る。

マーケティングというのは、そこから始まる。

いかに仮説をたてられるか、そこに納得性かあるかどうかの自問自答を繰り返すことが重要。

データの中に答えがあるわけではなく、データは答えを導き出すヒントを与えてくれるだけ。

どんなに難しい統計分析をしても、どんなに複雑な手法を使っても、そこから有意義な仮説が生まれなければ意味がない。

人間の直感というのは、これまで生きてきた中での経験の蓄積によって形成される。
そういった点で言えば、業務に精通した担当者のクロス集計は一流のデータサイエンティストの統計分析にも匹敵する分析にすらなり得る、とぼくは思っている。

手法や小手先のテクニックにこだわらず、業務に精通した人間が行うクロス集計で生まれた仮説やそれに基づく施策に思いを馳せるということに時間をかければそれだけ価値のある分析を行うことができるはずなのである。

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