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雨の日

仕事を辞めた

特別嫌がらせを受けていたとか仕事に不満があった訳ではない
ただ自分の為に働くことに意味を見出だせなくなったのだ。


守るべき家族も恋人もいない
友人は多少いたが、自分1人ががいなくなった所で彼らの生活に支障がでるわけでも無いだろう。


昔は夢もあったが、それも今となっては
ただ夢のまま空を彷徨うばかりである。


私は雨の日が好きだ。
自室で雨の音を聴いていると
頭の中の喧騒を書き消してくれるような気がする。

あのとき死んでいれば良かった。


ふと、そんな妄想をしながら煙草に火をつける。

あの時の私は未来の何かに期待していたのか、生きる事を何度となく選択してきた。


それでいて、死にたくなるような出来事や後世を生き続けたくなるような出来事も起こり得なかった。


なんのために……
理由ばかり求めてしまう、きっと生きることに理由なんてない
理由がないのなら、なぜ生きるのか
不毛な考えと分かっているが、こんな性分であるが故に考えを消せるはずもなく、鬱々とした気分は拭えない。

仕事を辞めてから一月ほどがたつ、もちろん金は無かった。
借金に生かされている日々
ひとりで家にいるのは全く苦ではなかったが
何かしたい事も無ければ死ぬほどの理由もないので映画や小説に逃げながら、いざとなれば また働き出すのだろうと他人事のように推しはかる。

人生の1/4もしくは1/3が過ぎたはずなのに
自分は何を期待して、誰に救われようと願っているのか甚だ疑念が残ってしまった。



今日は雨が降らない


あのとき死んでいれば……そう空想するのと同じように
あのとき生きていて良かった、なんて出来事を常に空想できれば良いのだが、今は無理そうだ。


少し休もう、きっとなんとかなる、なんとかしないといけない
生きるためではなくて、死ねないからなんとかしないといけない
この世のすべてが憎くなったら死ねばいい。
もしくは、死んでも良いくらい最高の出来事があるときでもいい。


美しい映画や音楽、景色、絵画、それから雨の音


まだまだ憎めそうにない

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