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生成AIは何を食べているのか?

https://helpx.adobe.com/jp/stock/contributor/help/firefly-faq-for-adobe-stock-contributors.html

Adobe Fireflyのヘルプを見てみますと、

商用リリースされた最初の Firefly モデルは、Adobe Stock 画像、オープンライセンスのコンテンツ、および著作権が失効したパブリックドメインコンテンツを使用してトレーニングが実施され、安全に商用利用できる画像を生成するように設計されています。

Adobe FAQ

オープンライセンス、著作権切れ、の他に「Adobe Stock画像」を元ネタにしているみたいです。

標準およびプレミアムコレクションの写真、ベクター、イラストなどのコンテンツが、商用利用できる最初の Firefly モデルのトレーニングに使用された Adobe Stock コントリビューター対象者すべてに対して、2023 年 9 月 13 日に Firefly ボーナスが支払われます。 ボーナスの支払いは保証されていません。対象となるコントリビューターごとに異なり、アドビの裁量で支払われます。

Adobe FAQ

昨年秋に「ボーナス」を支払ったそうです。

そうか。自社のストックフォトや素材集も「食べて」成長しているのか。
生成AIはゼロから何かを作るものではなく、何らかのデータから「機械学習」(ML)している。「プロンプト」に対応するアウトプットは、「機械学習」によって得られたデータを(多分)加工して出力している、という理解でよいのではないかと思います(すみません文系なのでいまいち分かってないかも)。

では、Adobe Stockにはどういった素材があるのかというと、

基本的に「著作権侵害」「商標権侵害」はNGなんだな、ということが、何となく理解できます。

で、それを承知で、Adobe Fireflyに「無茶ぶり」してみました。

「コカ・コーラとペプシ・コーラ」

「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」

昔、「半分の人がペプシを選びました」というTVCMを見た記憶があります。それってどうなん?2種類しか選択肢がなくて、半分の人が選んだって、それって「勝っているとは言えないんちゃう?」。ともあれ「2杯」出しているところに「商標に触れない範囲で、コーラっぽく頑張ってみました」という雰囲気は感じられます。
最後の1枚、レモンスライスが添えられています。「そんなことする奴おらんわい」いえ居ました。1981年の東武特急DRCのビュッフェ。「コーラ」を注文すると、確かにスライスレモンが添えられていました。あれって本場アメリカでもそういう飲み方があったってことでしょうか?

同じプロンプトで「アート」でチャレンジ。

「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」
「コカ・コーラとペプシ・コーラ」

商標はダメ、といいながら、背景が「青」と「赤」を微妙にミックスしている。しかもその青は「ペプシっぽくね?」。もしこれがわざとだったら「その学習の元ネタは何か?」と質問してみたいですが、「レモンスライスだけでなく、オレンジもありなん?」というのも気になりました。

「新幹線」もJRのサービス名なのでダメでしょう。
無茶ぶり「東海道新幹線と東北新幹線」。

「東海道新幹線と東北新幹線」
「東海道新幹線と東北新幹線」
「東海道新幹線と東北新幹線」
「東海道新幹線と東北新幹線」

(1)1枚目、「富士山」は「東海道」のイメージ?
(2)1枚目「3軸ボギー」!そんな新幹線あったら乗りたい!
(3)3枚目「単行かい!」

では「新幹線」を外すと、どうなるのか?
「東海道本線と東北本線」

「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」

やっぱり「富士山」は東海道のシンボルとして認識しているみたいです。桜が出ているのは、何となく「日本」のイメージなのでしょうか?3枚目の写真は、なんとなくですがJR九州の観光列車を連想しないでもないです。
「アート」版。

「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」
「東海道本線と東北本線」

(1)そんな碍子もなしに交流25000Vは……
(2)2枚目、格好いいかも。
(3)2枚目、やっぱ富士山ですか。
(4)3枚目「TAKANMON」て何?

コーラはまだしも、鉄道ジャンルは苦手みたいです。
というか、そもそもAdobeの本社アメリカでは、鉄道って「貨物輸送」がメインで、長距離を旅客鉄道で移動するという発想がない=生成AIにもニーズがない、ということなのかもしれません。ヨーロッパも同様。
「高速鉄道オンリーのネットワーク」って、2024年現在、日本と中国しかない。
ヨーロッパは、フランスTGVみたいに新線を建設しているとは限らず、在来線とうまくミックスしている。
そこが長所でもあり、難しいところでもあるのでしょう。
パリからベルリンまで823kmなのですが「高速列車」で8時間くらいかかるのだそうです。
東京から広島まで821.22km(営業キロではなく実キロ)「のぞみ」で3時間50分。「在来線ホーム入れないくせに」「全区間立体交差かトンネルとか反則やろ」「国境またいでないでしょ」ヨーロッパの人たちにしてみれば、色々言いたいことはあるかと思いますが、日本人の知っている「高速鉄道」は、アメリカにはなく、ヨーロッパの人たちが認識している「高速鉄道」とも、かなり「違うもの」なのではないでしょうか。
ということで、世界マーケット相手に「高速鉄道の画像生成」を極める意義が感じられないのかもしれません。
とはいえ、先日の「猫写真」と比べると、「生成AIの能力そのもの」を誤解してしまいそうです。
あくまで「知的所有権や商標に縛られているだけ」で、本気だしたら、こうです。

ハスキー
ベンガルキャット

もう一度、商標に触れないように「高速鉄道 弾丸列車 日本」

「高速鉄道 弾丸列車 日本」
「高速鉄道 弾丸列車 日本」
「高速鉄道 弾丸列車 日本」
「高速鉄道 弾丸列車 日本」

いやいや桜と紅葉は同時には、とか、やっぱ富士山ですか、とか、しかしやっぱり鉄道は苦手っぽいです。1枚目の富士山と2枚目の富士山は、何となく「同じ元ネタ」を反映していそうな気がしますが、3枚目は違う感じがします。

「日本のカレーライス カツカレー」

「日本のカレーライス カツカレー」
「日本のカレーライス カツカレー」
「日本のカレーライス カツカレー」
「日本のカレーライス カツカレー」

うーん。微妙。お米が長粒米?お箸でカレーは食べられへんて。しかし「鉄道ネタ」よりよく出来ているかな?

「インドのカレーライス」

「インドのカレーライス」
「インドのカレーライス」
「インドのカレーライス」
「インドのカレーライス」

私は日本国内のインドカレー屋さんに行っただけなので、本当のインドの事情はわからない。けれど「何となく違うような気がするなあ」と思います。でもこれは、まだ成長の余力があるかもしれない。誰かがAdobe Stockに「家庭料理のカレーライス」を登録したら、それを学習してくれるだろうか?

「生成AIの運営側」にとっては、「技術の問題」だけでなく「権利関係の問題」も、いやもしかしたらそちらの方が、色々難しいのかもしれません。

サポートをいただければとても嬉しく思います。 写真を撮ったり、書き物をしたり、そういう活動に活かします。