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#03 想いは示さないと伝わらないようで。

最近、とある本を頂いたので読みました。『死ぬときに後悔すること25』という本です。

緩和医療の専門医である筆者が末期患者さんのケアを行うなかで、患者さんが吐露した「やり残したこと」を25項目にまとめたものです。その内容には、健康を大切にしなかったことや、美味しいものを食べておかなかったことなどに続いて、「生前の意思を示さなかったこと」が挙げられています。医療の現場において、話すことができず、意識もなく、動けない患者さんと日々を共にするなかで、本人が望んでいない治療を遂行してしまう家族をたくさん見てきた筆者。その経験から、元気なうちに想いを伝えることの大切さが語られています。

前置きが長くなりましたが、今回はそんなことから遺言書のお話です。

遺言書とは、一般的に「第1条 誰々に何々を相続する、第2条・・・」という内容が続くものです。自筆で書く方法が一般的のように思われがちですが、改ざんや紛失の心配を考えると「公正証書遺言」で綴ることをおすすめしています。

■遺言を書くときには「付言」をお忘れなく

私が作成のお手伝いをさせていただく際は、最後に付言事項(ふげんじこう)という欄をかならず設けています。付言事項とは、簡単にいえば「思いを綴る」部分のこと。または、「なぜこの遺言を書いたのか」を示せる部分でもあります。その内容の多くは家族に対する感謝だったりするのですが、過去には「人生はあっという間です!」と書かれた方もいらっしゃいました。付言事項には個性が表れます。

この付言事項、私はとっても大切だと考えています。むしろ、付言事項なくして遺言書の完成とは言い難いと思っているほどです。なぜかというと、遺言書を作成する原点を考えてみてほしいのです。ほとんどの方が、「自分がいなくなったあと、遺された人々にこんな暮らしをしてほしいなぁ」という想いで、遺言書をしたためるのではないでしょうか。それなのに、その文面上に想いを示す部分が欠けてしまっていては、単なる「財産の分け方マニュアル」として、無機質なものになってしまいかねません。

受け取る側の立場で考えてみても、どんな気持ちで遺言を書いたのかは、やっぱり知りたいと思うもの。そしてそれが、余計なトラブルを防ぐことにも繋がったりします。その辺りのテクニックはまた後日。

たかが付言事項、されど付言事項。「書いておけばよかった」と後悔しないためにも、遺言書の作成をされる方には必ずご案内させていただいております。遺言書、少しでも書いてみようかなぁと思ったらお気軽にご相談くださいね。

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