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フォークさんの夢想

-- 400字小説 --

食洗機の中で話しました。「ナイフさん、今日はありがとう。私、曲げられるところでした」「フォークさん、当然のことをしたまでだよ」

夕飯の時、ナイフさんと私(フォーク)は、坊やに使ってもらっていました。坊やは癇癪を起こすことがあり、今日もそうでした。「食べない!」。私をテーブルに打ち付けだしたのです。1回、2回。気を失いそうでした。

その時ナイフさんがテーブルの下に自ら落ちました。その音で坊やの様子に気づいたママが「お腹いっぱいなの?」と抱き寄せました。私は命拾いしたのです。

ナイフさんはいつも私をかばってくれます。「尖った先っぽが素敵」と言ってくれます。ナイフさんの凛とした姿。これはマジ恋?

しかし、恋は茨の道。新人スプーンちゃんが現れ、ナイフさんに声を掛け始めたのです。私たちの世界に入らないで。ナイフとスプーンを一緒に使うメニューは多くないはずよ。私は食事が毎回、ステーキになることを夢想しました。


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