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法務の私が、顧問弁護士の先生に質問するときに心がけていること

前回のnoteの反響がすごくて、人生で初めてnoteでサポートまでいただいて(ありがとうございました!)次に書く記事どうしよう...と悩んだ1月でした笑

こうなると色々と背伸びをしたくなるんですが、前回のnoteで「自分はこういう考え方で仕事をしている」という共有でも、誰かに届いたり響いたりすることがあるんだなぁ〜と思ったので、今回も自分の仕事について素直に書きたいと思います。

いつもの簡単な自己紹介

LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは一人法務にプラスして、労務、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。なお、サメが好きです。

顧問弁護士の先生に質問するときに心がけていること

今日は、私も他の人がどうしているか知りたいリスト上位の「顧問弁護士の先生に質問するときに心がけていること」について、求める前に与えよ!の精神で、私の場合について書いてみようと思います。

相談を受ける弁護士の先生にとって「あ〜法務の人ってこんなこと考えてるんだ」という風に参考になったり、同じような法務の方にとって何かしらのヒントになると嬉しいです。

メールタイトルで、最低限の情報を伝えること

これは今絶賛改善中なので、もし顧問の先生がこのnoteを見ていたら、「今後こういう風に変わるんだなぁ」と温かい目で見守ってください...笑

まず、前提として、弁護士の先生はすごく忙しそうです。たまに、朝の6時とかにメールが返ってきたりして、お身体とご家庭が勝手に心配になります。そんな忙しい相手方に時間をいただいて質問なり相談なりをするので、タイトルである程度の情報を入れるように工夫したいと思って、最近は試行錯誤しています。

これは元々、弊社のセールスメンバーが法務相談のときに【至急】とか(お手隙でOK)のように頭に入れてくれたのが、すごくありがたくて、真似したものです。
特に立て込んでいる時、通知の最初数文字を見れば本文を読みに行かなくても瞬時に優先順位付けができるので、受け手としては本当に胴上げしたくなるくらいに助かります。いつもありがとうセールス部隊。

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さて、実際に弁護士の先生にメールするときは、まず緊急度を(至急)とか(緊急度:低)とか文頭に入れ、案件の内容を端的に書くようにしています。イメージこんな感じ。

【至急】〇〇の件、緊急MTGのお願い
(緊急度:中)サービスの雛形改定に関するご質問
(緊急度:低)今後の事業展開について、法務レビューのお願い
(情報共有です)社内で検討が進みそうな事業の頭出しをさせてください

メール本文を見にいかなくても、ある程度どんな案件か分かるように書きたい!と思い、日々試行錯誤してますが、ここ数回はこんな感じで安定してきています。果たして、私の工夫は弁護士の先生の役に立っているのであろうか...。

もしあまり役に立っていなくても、自分中で緊急度を設定することで、後から振り返って「思っていたより緊急度低かったな/高かったな」という振り返りができるので、自分の優先順位付け能力向上にも役立って良い!ということにしておきます。...件名が安定したら、先生に感想聞いてみよう。

事前調査をしっかりしてから、メール文を書くこと

私の場合、弁護士の先生への質問が発生するのは、法務起点というよりは事業部起点の方が多いです。

「こういう機能作って良いの?」とか「この事業やりたいけど何かまずい?」というような、社内メンバーからもらった質問を受け取った時、特に忙しいとそのまま先生に転送したくなるのですが、そこをグッと堪えて調査をするようにしています。

実際に私が送るメールは、こんな感じです。(イメージ)

〇〇先生
いつもお世話になっております。
実はこの度、現在事業部から「〜〜」という質問を受けております。
事業部に事前にヒアリングした条件や企画意図を、ご参考に別途まとめたものにてお送りさせていただきます。<URL>
調べたところ、〇〇法第n条の規制に該当しそうと思っているのですが、"hogehoge"という言葉の定義に今回含まれるのか?が微妙なラインだと思っており、不安でして...アドバイスいただけないでしょうか。(個人的には〜という理由で該当するのでは??と思っています。)
なお、該当する場合は弊社の利用規約の"hello world"の部分の変更が必要だと認識しております。
他にも、適用されそうな法律や検討できていないリスクがあれば、ご指摘お願いしたいです。よろしく願いします。

これ、法務の方なら伝わると思うのですが、結構頑張って事前に調べて送っています。
URLのリンク先に事業部からのヒアリング内容を(法的に関係しそうな部分をメインに)まとめ、それがどの法律に該当しそうかをまとめ、該当条文の解釈が不安な箇所まで辿り着き、論点を絞るとこまでは自分で頑張っています。

調べる理由は、法務の予算を適切に使うため

なぜそこまでするかというと、予算を上手くやりくりしたいという事情があります。

弁護士の先生に相談するときには、”タイムチャージ”がかかります。つまり、先生に工数が多くかかると高くなり、大体の場合その金額は請求されるまで分かりません。

会社によっては弁護士先生に聴き放題!という状況もあるかと思いますが、個人的には質問の難易度やかかる時間によって適正にお支払いする、タイムチャージ制が双方の利益のバランス的にも良いと思っています。

そして当然、法務にも、予算管理の必要があります。どんな企業でも資金は限られており、リスクが存在すれば何にでもお金を使って良いわけではありません。特に私は営業出身ということもあり「他のメンバーが頑張って稼いだお金を、ただ溶かす事だけはしたくない...」という気持ちは強いです。

その一方で、ちゃんと先生に確認すべき事項を、予算をケチって質問せず、会社の存続に関わるような事態に発展してしまうと、もはや法務を雇わずに全部先生に聞いた方が良かったという最悪の結果になってしまいます。

そのため、事前に調査したり、社内のヒアリングをして、会社の代表として説明できるまでは、事前準備をするようにしています。そしてその分、調査した結果に対しては、しっかりと予算を使って先生の判断を仰ぎます。
そうすることで、「予算がないから先生に聞けない」や「先生に聞かなくても分かった簡単なことだったのに、無駄に聞いちゃった...」という、私も会社も先生も悲しい時間ができるのを防ぎます。

なお、調査自体が大きく外していると、その分の事前調査時間が無駄になってしまうのですが、一人法務の弊社では私が知らない=社内にほぼ知見がないことになるので、それはそれで「やばい!すぐに勉強して社内に共有しなきゃ!」という学びを得ることができ、収穫になります。

そのため、私の中では調査する分に使う自分のリソースを考慮した上でも、やっぱり予算管理を考えると事前調査は外せません。もちろん、緊急度が高すぎると、そんな時間もないのですぐに相談することもありますが、大体のケースでは事前調査をしっかり目にしています。

余談:弁護士の先生に聞いて欲しい予算の話

ちょっと話は逸れますが、弁護士の先生がこの「タイムチャージと予算の兼ね合いによってはリスクがあっても相談を諦める」という感覚をお持ちいただいていると、すごく法務の人間は助かります。(たまに弊社の顧問弁護士の先生にご対応に感動して、メール文を拝んでいる私です。)

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例えば完全に専門外の質問が来たとき、こういう対応があり得ると思います。

①「(専門外だけど調査して)回答します!」
②「専門外なので時間がかかるので、専門の先生と二人で対応したいのですがどうでしょう?」
③「専門の先生と繋ぐので、そちらの先生に話してみた方が早いと思います。必要であれば同席もしますがどうでしょう?同席不要の場合でも、状況把握のためメールのCCだけは入れてください。」

①のケースだと、いつもより質問回答に時間がかかった時に、得意分野の回答と同じ位のタイムチャージを予算として考えていた法務担当とズレが大きく、信頼関係がグッと下がることがあります。
②のケースだと、とってもありがたいです。ただ、2人分タイムチャージがかかる前提なのは、予算によってはちょっときつい時もあります。
③のケースだと、タイムチャージ1人分か2人分かを選ばせてくれるし、進捗等は把握しようとしてくれている!と選べる選択肢が多くて嬉しいです。

もちろん、先生の都合もあるのは分かっているのですが、予算のお話も頭の片隅に置いておいていただけると、とっても嬉しいなぁ〜というお話でした。(完全な一個人の見解なので、ご参考程度に!!)

質問の仕方を工夫して、費用対効果を最大化すること

横道に外れちゃってすみません。本題に戻ります。私が弁護士の先生に質問するときに心がけていることの話です。

弁護士の先生に会社のお金で質問をするからには、同じ費用で得られるものをできるだけ大きくしたい!というのは、日々思っています。

だって、超難関の国家資格に合格して、第一線で活躍している先生に、お金払うだけで質疑応答してもらえるんですよ!しかも会社が費用負担してくれて!?いやいや、どんな幸せな世界よ!!

すみません、感動のあまり取り乱しました。

そんな貴重なチャンスをもらっているからこそ、「答え」以外に「法務としての成長」まで欲しいと思ってしまいます。もちろん、自己成長のためだけの質問はしませんが、どうせリスク管理で質問を投げるのであれば、ついでに自分の仮説の立て方や考え方の答え合わせ&軌道修正のチャンスとしても使いたいと思っています。

例えば、「これって何かの法律にひっかかりますか?」と質問すると、「この法律とこの法律に該当する」という結論だけの学びになります。

そこを「これって〇〇法第n条に該当しそうと思っているのですが、"hogehoge"という言葉の定義に今回含まれるのか?」という風に質問すると、「〇〇法第n条に該当しない」という結論だけでなく「そもそも〇〇法は今回は適用されない/"hogehoge"の解釈が誤っている/そもそも第n条の趣旨が理解できていない」等、自分がどこで間違ったのかまで理解できます。

まぁ、弁護士の先生からすると、見当違いの質問でも丁寧に回答する必要があるので、あまり嬉しくないかもしれませんが...個人的にはこのような質問の積み重ねが、自分自身の成長に繋がると思っています。

質問が良ければ、「法務のノウハウ」が会社に残る

一人法務の場合は特に、自分に何かあったときに、ちゃんと会社に今までの調査や判断根拠のデータが残せている必要があると思っています。ついついドキュメント化を後回しにしがちなのですが、調査内容や質問への回答内容は会社のお金を使って得た大事な資産なので、ちゃんと会社に残せるように工夫したいです。

さっきと同様、「これって何かの法律にひっかかりますか?」とだけ質問すると、「この法律とこの法律に該当する」という結論だけの学びになり、同じような案件や2人目の法務が入ってきたときに、次の判断に生かすことができません。ちょっと類推すれば答えられそうな質問も、もう一度先生に確認する必要があります。

そこで一工夫。「これって〇〇法第n条に該当しそうと思っているのですが、"hogehoge"という言葉の定義に今回含まれるのか?」という風に論点を明らかにして質問することで、弁護士の先生からの回答から「そもそも論点はどこだったのか」「どういう解釈をすべきだったのか」がわかるようにします。そうすると、次の類似の質問には類推して回答することができます。ぱっと見は違う質問だが、同じ論点について聞いているものについては、社内で即答できます。

こんな感じで「再利用できる」ような情報が蓄積されていくと、それが「自社の法務のノウハウ」になって、資産になっていくと思います。だからこそ「再利用できるような回答が来るように」質問して、回答とそれを元にどう判断したのかまで含めて情報を残すことで、会社にちゃんと法務のノウハウが蓄積されるよう心がけています。

まとめ

私が顧問弁護士の先生に質問するときに心がけているのはこんな感じです!

・タイトルで、最低限の情報を伝えること
 →忙しい先生の時間を、必要に応じていただくため
・事前調査をしっかりしてから、メール文を書くこと
 →予算をコントロールして、必要な案件にしっかり使うため
 →そのために、社内のヒアリングや事前に論点の仮説立てを行う
・質問の仕方を工夫して、費用対効果を最大化すること
 →質問を通して仮説検証ができることで、自分も成長する
 →再利用できるような回答が来るように、工夫して質問する

弁護士の先生と事業部の間に立って、予算とリスクを天秤にかけて、QAだけで終わらないようにノウハウを社内に貯めて...という仕事が、「ベンチャーがわざわざ法務担当を雇用する」意味だったり、価値だったりするのかなぁ〜と書いていて思いました。

是非、他の法務メンバーが心がけていることや、逆に弁護士の先生サイドからの「こういう質問は良い」「これはちょっとやりづらい」みたいなご意見も、聞いてみたいと思っています。教えてください。お願いします。

そして、この記事が誰かの参考になっていたら幸せです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

最後に:弊社採用の告知をさせてください!

現在、LAPRASでは、Corporateメンバー(人事労務・経理)を始め、複数ポジジョンを募集しています。
是非、私と一緒に働きませんか〜!!

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