【飯田線各駅訪問】42 鶯巣駅
梅に包まれた難読駅
ここは天龍村にある、鶯巣という小さな駅だ。それでも、村内5駅中3駅が“秘境駅”である天龍村においては、ここは比較的人気のある駅だといえよう。駅前には小集落が形成されており、国道もそこそこ交通量は多い。そんな中、草刈機の音が響き、草の臭いが漂う長閑な環境にこの駅はある。
駅名が難読であることでも知られており、為栗や大嵐といった駅々と共に難読駅のひとつとして数えられている。こうした山深い場所にある集落は外部との関係が遮断されるため独特の文化が育まれやすく、こうした難読駅が誕生したものと思われる。もっとも、「鶯」の字自体の読み方が分からないなんてこともあるかもしれないのに、その上 仮に分かったとしても“ウグイス巣”で“うぐす”と読むなんて普通ならできないだろう。音便の関係だろうか、「イス」の部分が抜け落ちてしまっているのである。
そんな鶯巣駅だが待合室内にはちゃんと“イス”はあるし(笑)、扉を締め切ることもできるので居心地は悪くはない。
寧ろ、春先に駅周辺に咲く梅の花に癒される方だ。今回、私は隣の伊那小沢駅から徒歩でやってきた。鶯巣の梅は、伊那小沢の河津桜に対抗しているようにさえ思わされてしまったが、こちらの方は知名度が低い割には素晴らしい。ウグイスを思わせる色合いの待合室と綺麗にハーモニーを作り出しており、誰がこのような素晴らしいことを考案したのだろうとさえ思われた。(実際、梅の木が植えられたのと待合室が現在の色に改装されたのはどちらが先なのかは分からないが。)
こんな美しい駅には、時間を忘れさせる力がある。さぁ、隣の平岡駅へ駅間歩きを始めよう! 天竜川の音を聞きながら飯田線の旧線跡を横目に歩いて行く私は、自然と清々しい気分になっていた。
訪問日:
2024年03月17日
隣駅・伊那小沢のページはこちら
https://note.com/iida_line/n/nba6df8470075
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?