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D2Cは本当にDirect to Consumerなのか?vol.1~D2Cの二つの顔~

 僕がD2Cのスタートアップで働いているため、D2C企業内部からの目線でD2Cについて思うところをつらつらと述べていく。

既にD2Cに疑問を抱いている方も、D2Cに興味があるという方も一度D2Cの在り方について考えてみてほしい。その問題提起やきっかけになることができれば至極光栄だ。

※D2Cやそれに関わる語句の説明は簡略化したものに留める

 近年D2Cを謳うブランドが急増している。確かにD2Cは新しくブランドをつくる上で、業界を牛耳っている大手企業と差別化するために良いビジネスモデルの一つである。しかし「D2Cは本当にDirect to Consumerなのか?」僕が「本当に」と投げかけているのには理由がある。

D2Cの二つの顔

 D2Cには二つの側面があると考えている。

 一つは「ビジネスモデル」としてのD2Cである。自ら企画、生産した商品を中間業者(広告代理店や小売店)を挟まず、顧客と直接取引する販売方法をとるビジネスモデルである。発信力のあるビジネスマンやインフルエンサーが自らのSNS等を媒体として自らが企画、生産した商品を販売する場合、中間業者を経由しないためそのコストを削減できる。集客も元々の認知度やフォロワーが存在するため広告等の経費も削減することができる。

 二つ目の側面は、「Direct to Consumer」としてのD2Cである。ソーシャルメディア(SNS)やECサイト、直営店舗で顧客とコミュニケーションをとり、顧客のニーズや課題を直接掴むという側面である。もちろん顧客の意見をそのまま鵜呑みにして展開するだけではビジネスとして成り立たないが、顧客はD2Cブランドにとってパートナーといっても過言ではないためその声は最も重要で信頼すべきものでブランドの命だ。

顧客がD2Cブランドのパートナーであることは、D2Cに関わるとその言葉を聞かない日はない「LTV(=Lifetime Value≒顧客生涯価値)」にも表れている。「LTV」とは、顧客が、企業との関係を持っている間に使った(現在及び現在から予測される未来も事業計画には含む)金額の合計である。D2Cブランドは、購入の度にブランドと顧客の関係が切れるのではなく、信頼や愛着、期待、ブランドの成長予測などによってLTVを積み上げていく。したがってD2Cにとっての顧客は、現在だけでなく未来までブランドが存続する限りともに歩んでいくパートナーなのである。

しかし昨今のD2Cは、顧客のパートナーとなれているのだろうか?

「vol.2~一つの顔しか持たないD2C~」で上記の疑問を抱いた経緯を書いていこうと思う。


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