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D2Cは本当にDirect to Consumerなのか?vol.6~D2Cの抵抗~

僕がD2Cのスタートアップで働いているため、D2C企業内部からの目線でD2Cについて思うところをつらつらと述べていく。

vol.5~D2Cの急成長と忘れ物~では、D2Cが成長する中で顧客がパートナーであるということを忘れてしまったと語りました。

前回の記事はこちら

今回は、D2Cが大切なものをどうやって取り戻そうとしたのかについて、そのはじめのステップを述べていく。

D2Cの気づき

 D2Cが後ろを振り返ったとき、走り出した頃のブランドを愛してくれていた顧客は価格訴求やメッセージ性の無さに愛想を尽かし、見る影もなかった。前を見てももう自分たちが何者なのかもわからず、何を目指しているのかも見失ってしまった。残るのは親鳥を待つ雛のようにセールだけをひたすら待つ顧客だけだ。

これではいけないと、徐々に増え見過ごせなくなった赤字をみてようやく気づかされる。その頃には金融機関や投資家からの融資や投資の判断基準もブランド設立当初の「可能性」や「将来性」、「アイデアの価値」ではなく、「収益性」や「経営基盤の安定性」などに変化しており、もはや夢に投資してもらうようなフェイズではなくなっている。そうして自分たちの力でどうにかしなければならないと理解するのだ。

原点回帰とあの頃のブランド

 今自分たちが置かれている窮地にようやく気づいたD2Cは、まず自分たちが何者で何がしたいのかを再度探すことになる。しかしこれはブランド設立時よりも遥かに難しい。急成長を遂げたということは人も10倍以上に増えているだろう。もちろん当初のブランドを知らない人もいる。またブランドが変わっていく中で、原点を知っている人は顧客同様愛想を尽かし出ていった人もいるだろう。そんな中であの頃のブランドを復活させるのはとても難解である。だからこそ自分たちが何者で何がしたいのかを時間をかけて再構築していく必要がある。

 そこで忘れてはならないのは、パートナーである顧客の存在だ。自分たちは「顧客にとってどんな存在でありたいのか?」「どんな顧客に何を提供したいのか?」という角度から自分たちの存在価値を再考すべきである。きっとそう考えた結果は、あの頃と同じではないだろう。時流や顧客の変化、ブランド内部の変化によってあの頃と全く同じでは通用しないし、想いも違うだろう。しかしそのように抵抗することでブランドはまた生まれ変わり、本来のDirect to Consumerを取り戻すことができる。

 

「vol.7~D2Cの再構築~」で、どのようにしてD2Cが本来のD2Cとしての姿を取り戻すのか、について書いていく。


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