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花を飾る様に、手元でそっと美意識を味わう。日常の景色を変える、花器から生まれた観芙のうつわ

ー作り手

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観芙(みふ) は、京焼・清水焼作家の早川元観(はやかわはるみ)と藤原芙由美(ふじわらふゆみ)の二人で立ち上げた、京焼・清水焼の新ブランドです。

窯師(かまし)と轆轤師(ろくろし)であるお二人のお名前から一文字ずつ取って名付けられた、京焼・清水焼きのブランド「観芙(みふ)」。『うつわ一つで変わる日常の景色』をコンセプトに活動されています。お二人の感性と技術の融合から生まれる深みのある色彩としなやかな形を纏った作品は、何気ない暮らしの中で心静かに美しさを味わう時間をもたらしてくれます。

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実は、もともとは花器の制作からスタートした観芙さん。特に華道家元池坊より高い評価を得ています。お正月の恒例伝統行事である2021年度の初生け式では、家元池坊専永宗匠と次期家元池坊専好宗匠が揃って観芙の花器をお使いになったそうです。

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花器と同様に洗練された美しさはそのままに、販売されているうつわには日々の暮らしの中でも気兼ねなく楽しめるよう、使う人を想った実用的な工夫がされています。

観芙のうつわは、現代のライフスタイルにあった使いやすさを追求するために様々な工夫を取り入れています。例えば、電子レンジや食洗器でもお使い頂けるように、素材である土もこだわったものを使用しております。「うつわ」に華やかさを加える金やプラチナを使った装飾についても、金属皮膜部分の導電性をなくす特殊加工を施しているため、電子レンジで使用してもスパークを生じる危険性がありません。

上品すぎるうつわは扱いが難しいことが多く、使用する機会が減ってしまいがちですが、電子レンジも食洗機も使えることで登場する場面もぐんと増えそうです。良いものだからたくさん、そして長く使える。そんな愛着を持った楽しみ方ができるのがうれしいですね。

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続いて、おふたりが観芙というブランドを立ち上げたきっかけ、花器から始まり暮らしに寄り添ったうつわ作りに至った背景について詳しく伺いました。


ーものがたり

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元々、早川も藤原も個人の陶芸家としてそれぞれ活動しており、面識もありませんでした。2020年の2月に東京ドームで開催された日本最大の陶磁器の祭典イベントであったテーブルウェアフェスティバルに早川が出展しており、その時に藤原が早川の出展ブースに立ち寄ったことがきっかけとなり、お互い面識を得ました。

個々に活動をされていた早川さんと藤原さんが出会ったのは1年半ほど前のこと。当時、華道家元池坊が新たに花器の作り手となる陶芸家を探している中で、早川さんにも声がかかっていたそうです。

日本を代表する伝統文化である華道、加えて「池坊はその中でも最大・最古の規模と歴史を持つ一番格式が高い流派であったため、伝統文化を支え発展させる一助となるような花器を作りたいという思いを持っていました。」と語る早川さん。

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何十年、何百年も残るような優れた花器を作るために求められる事は、美しい色彩と洗練されたデザインとフォルムだと早川は考えました。多彩な色彩を表現する自信はありましたが、美しいフォルムを作ることが難しく、試行錯誤を繰り返していました。

焼成に特化した技術を持つ窯師(かまし)である早川さんは、色彩に自信を持つ一方でフォルムへの悩みを抱えていました。そんな時に、清水焼の窯元で花器などの美術工芸品の制作に定評がある丈夫窯(じょうぶがま)で轆轤師(ろくろし)として修行した藤原さんと出会います。高度な技術が求められる花器の成形にも挑戦できる、と二人三脚の制作が始まりました。

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花器が華道家元池坊から認められ、次第に知名度も広がる中で、作品の幅を広げられるのではという想いから、制作依頼が多かったカップ&ソーサーの開発が行われました。


ー想い

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「観芙」の作品の特徴は、豊かな色彩と形の美しさにあります。
様々な釉薬と焼成技法を駆使し、多彩で美しいグラデーションを表現する早川。
高い成形技術により、繊細で存在感のあるフォルムを巧みに作り出す藤原。二人の陶芸作家が、両者の強みを活かし、斬新で洗練された作品を生み出しています。

より高い芸術性と完成度を求められる花器や工芸品を手がけ、高い評価を得るおふたりならではの感性と、これまでの制作活動で培われた技術がうつわの細部までいき渡っています。まるで水面のように、あるいは炎のように、星空のように煌めく色彩。上品さと風格をそなえた、存在感のあるフォルム。おふたりの強みを惜しみなく注いだ作品は、心を惹きつける魅力があります。

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デザイン・フォルムを決める成形については藤原が担当し、色彩を決める焼成については早川が担当し、早川がデザイン・フォルムの無茶ぶりを藤原にした場合は、藤原がうまくその無茶ぶりを昇華した良いものを作り、藤原が色彩のむちゃぶりを早川にした場合は、早川が昇華した良いものを作るといった形で、切磋琢磨しながら斬新で洗練されたものをつくることができています。

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金やプラチナで加工されたカップの口縁、揺らぎが彩られたソーサーのフォルム。上品さの中にきらりと光る個性が生まれるのは、おふたりの切磋琢磨と『うつわ一つで変わる日常の景色』というブランドに込められた想いが確かに体現されているからだと感じました。

豊かな色彩とフォルムの美しさをぜひお手元で、じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。


ー作り手情報


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