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使うことで本来の味がわかる。研究の末に生まれた、ZIKICOの「料理の味を邪魔しない」ジルコニア製カトラリー

ー作り手

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普段私たちが何気なく使っている金属製のカトラリー。実はそれによって、感じる味が変えられてしまっていると聞いたらどう感じるでしょうか。そんな驚きの気づきを教えてくれたのは、「ジルコニア」という素材でカトラリーを作っている、ZIKICOさんです。

鰹節で採ったダシの味見をしたとき、スプーンを使うよりも器から直接の方が風味を強く感じました。それによって、金属臭が風味を隠していると気づきました。金属が、酸化作用によって脂質を分解し、金属臭を発生させるからです。

金属のカトラリーに疑問を抱いた後、その問題を解決するために選ばれたのが、それ自体にまったく味や匂いのない「ジルコニア」という素材でした。

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ジルコニアには、3つの特徴があります。宝石のように硬く、金属のようにしなやかで、磁器の様にノンアレルゲンです。これを一言で表すと『清らかさ』だと考えました。このような清らかな素材を使ったカトラリーで、世界中の人に、料理の本当の味を知ってもらいたいと考えています。

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ジルコニアを活用したカトラリーは、一般的な金属のカトラリーに比べて50%ほど軽量。そして、ジルコニアは金属イオンをまったく放出しないため料理の味を損なわず、金属アレルギーを起こすこともありません。

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また、先端部のジルコニアのなめらかな仕上がりと薄い形状は料理を捉えやすく、口に含んだときのなめらかな口触りと口からの抜けの良さは料理を味わうことへの集中を助けます。

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とても薄く作られており、向こう側が透けるほどです。そしてそれ自体に全く味や匂いがないので、口に入れたときにはその存在を忘れてしまうよう。特に、ゼリー、豆腐、カルパッチョ、果物、卵料理、ヨーグルトなどで、味の違いを強く実感することができます。

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新シリーズの「KIYO」は、和菓子専用のカトラリーとして作られました。デザートフォークの先端の厚さは0.8mm。わらび餅のように柔らかいけれど手ごわいお菓子も、黒蜜もきな粉もみんなすんなりと食べられます。菓子切りの凛としたフォルムも美しく、お茶の席に清々しさを演出してくれそうです。

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また、酸やアルカリ、洗剤や漂白剤につけても、あるいは乾燥機などに入れても、更には長年にわたり油、香辛料、皮脂などに触れていても色が変わる事がないのもジルコニア製品の特徴。扱いに気を使うことなく長い期間使っていけるのは嬉しいポイントです。

さらに世界的なデザインコンペティションとして名高いiFデザイン賞、A'ゴールドデザイン賞を受賞しており、機能面だけでなく見た目の美しさも評価されています。

ーものがたり

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「ZIKICO」を立ち上げた山瀬さんは、大学卒業後にドイツで勤務をしていた際にジルコニアという素材に出会い、研究を行っていました。

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日本に帰国後、お父様が経営するプラスチック加工業社にジルコニアの研究部門を設立。研究を継続していく中で、金属のカトラリーが食べ物の風味を隠しているという気づきから、ジルコニアを使ったカトラリー制作に踏み切られたそうです。

陶磁器や木のスプーンは、使いづらかったり、耐久性がなかったりします。そこで、金属よりも高い強度を持つジルコニア・セラミックスでの制作を決意しました。

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一般的なセラミックスは、硬い反面、しなやかさがなく割れやすい性質があります。その中でジルコニアは、唯一しなやかさを持つ素材です。

ジルコニアは、医療用インプラントに使用される体に優しいセラミック。加工の難しさから、日本に日用品を製造している会社はほとんどないそう。ZIKICOさんでは、独自の製造技術を確立させることで、繊細な造形を可能にしました。

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製造は、陶磁器と同じように成形した後に焼成して行います。焼成では30%収縮する為、普通は大きく変形します。また、焼成中の雰囲気によって変色しやすい素材です。変形を出来るだけ抑え、色も変色しないように不純物に気を付けて製造しています。

独自の粉末射出成型技術と金型技術によって、美しい曲線を維持したプロダクト「ZIKICO」。積み重ねてきたノウハウと確かな技能によって支えられているこのカトラリーは、今までの常識を変えるものになりました。

ー想い

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ジルコニアなら、料理が美味しくなるだけではなくて、金属アレルギー対策にもなりますし、ベルトのバックルも、空港で外す必要がなくなります。木製の置き換えならば長持ちするものになります。プラスチックの置き換えならば、海洋汚染対策にもなります。みんながジルコニアの道具を使えば、ジルコニアが広まって、もっと恩恵を受けられるようになります。

山瀬さんが株式会社ZIKICOを立ち上げたのは、ジルコニアを通して「今まで市場に無かった価値」を生み出していきたいという想いがあったから。素材の可能性を広めていきたいと考えているからです。

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「ジルコニア」という素材を一言で表すとすれば『清らかさ』だと考えました。このような清らかな素材を使ったカトラリーで、世界中の人に、料理の本当の味を知ってもらいたいと考えています。

これほど「ものが何からできているか、なぜそれを使うのか」を考えさせられることはありません。まだまだ自分自身の常識を覆すアイテムがあるんだと思うと、驚くと同時に楽しくなってきますね。ZIKICOさんのカトラリーでは、食事を味わうことの楽しさを改めて感じたいものです。


ー作り手情報


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