道化師

ネットの友達が百人以上いた時から私の役目はずっと「相談に乗ること」だった。ネットをしている人、と区切っては大きすぎるけど、私の所謂「ネッ友」はほぼ全員が、学校や家庭環境で悩みがありネットに逃げてきた人達だった。私は毎日悩みを聞いて回り、当時の私なりにアドバイスをしていた。私のアドバイスなんてそう素晴らしいことではなかったと思うけど、みんなは次々に「話聞いてくれてありがとう、楽になった」と言ってネットを辞めていった。その当時から今日までずっと私と繋がってくれている人は二人のみ。その二人は私が話を聞いたのをずっと覚えてくれていて、私を大事にしてくれている。その二人だって人間関係で悩んでいたが今では学校で友達と楽しそうに過ごす動画をインスタにあげているし二人共彼氏が出来ていて幸せそうだった。繋がっていた百人全員を私が救えたかと問われれば違うと思う。中には喧嘩別れしてしまったり一方的に関係を切られたりしてしまった人だっているし、当時救われたからといって今生きてるか、今元気かなんて分からない。だけど、今思えば当時の私の気持ちを代弁すると「自分を幸せにする方法なんて知らない分からない、だから今は周りの悩みを聞いて少し楽になって貰おう、これしか今の私は周りにしてあげられないから」だ。当時学校で依然として人間関係が上手くいかなかった私はネットで人の力になることで自分の存在意義を見出していたんだと思う。じゃあ今、私の周りの人が悩むことが少なくなって、環境が良くなって、私のすることがなくなってしまった。私はずっと自分を幸せにする方法を知らないまま。このまま私はずっと悩むの？誰に相談したって正直良い返事が返ってこなくて「それ私前考えたな」としか思わないのに？友達に私は一回、太陽みたいと言われたことがある。けどひねくれた私は「そりゃあ悩んでる時に話を聞いてくれた人のことは美化しちゃうよね」だ。私に話を聞く才能なんて別になくて、ただ同い年より少し客観視出来ただけなのに。今の私に光なんてないのに。

私ってずっと道化師だ。話を聞いておかしなことを言ってただ笑わせて悩みが解決していって。すごく嬉しいのに私はずっと同じ場所にいて。私の悩みだけは晴れなくて。むしろ悩みが溜まっていっている。友達が「最近死にたいとか思うことはなくなった」と聞いてすごく嬉しかった。だけど私は毎日死にたいと思ってるな、と気付いてしまった。しょうがない、私は生きるのが下手で別に努力してないし素敵な人間なんかじゃない。生きているだけで周りに迷惑を掛けて。私、私って今まで何してたんだろう。悩みを聞いて、どうなりたかったんだろう。優越感に浸りたかった？自分の価値を高めたかった？私はずっと、周りの幸せを願えてた？

私がずっと、間違えてたんだね。