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「ニューロダイバーシティ」を知っていますか?

イケハヤです。

お盆休み中に「GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた」という書籍を読みました(Audibleなので、正確に言うと聴きました)。

Audibleは無料で体験できるので、まだ体験してない方はぜひぜひ。こちらの本も聴き放題で楽しめます。

この本では「オールリモート」の組織を作るための方法をまとめられているのですが、非常に参考になる話が多かったです。

特に、書中で出てきた「ニューロダイバーシティ」という概念が、とても大事だと思ったので共有します。

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「ニューロダイバーシティ」は、実は日本でも経産省が主体となって推進している、新しい経営概念です。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/neurodiversity/neurodiversity.html

ダイバーシティ(多様性)という言葉は最近よく聞くようになりましたよね。

性別や国籍、年齢などの多様性を尊重しようという考え方です。

「ニューロダイバーシティ」はその延長にある考え方です。

「ニューロ」は「脳」のことです。

つまり、「ニューロダイバーシティ」は「脳の多様性」を意味しています。

人それぞれ脳の作りが違うので、その多様性を前提に社会を作っていこう、という感じの話です。

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この図がわかりやすいので、まずはこちらをどうぞ。

(筑波大学准教授 佐々木銀河 「ニューロダイバーシティと発達障害学生支援」より)

人間は実に多様で、

・文字を書くこと、あるいは読むことが苦手(読み書き障害)
・夜の街の強い光が苦手
・騒がしい環境だと集中できない
・人の顔が認識できない(相貌失認)
・貧乏ゆすりをしてしまう

などなどなど……生まれ持った脳の性質で、大なり小なり、生来的に苦手なこと、あるいは得意なことがあります。

それが生きていく上での困難になる場合は、「発達障害」とラベリングされることもあります。

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ぼく自身はかなり自覚がありますが、このなかでは「ASD傾向」が強いですね。

人の目を見て話すのが苦手だったり、うるさい環境が苦手だったりします。

特にこの時期は、耳栓をしないと眠れませんね……。

山奥って実はかなり騒々しくて、朝早くニワトリとヒグラシが鳴くのと、朝露がポタポタと落ちてくる音で、4時くらいに起きてしまうのです……。

でも、まったく同じ環境なのに、うちの妻や娘は全然平気なんですよね。

これはもうどうしようもない脳の感じ方の違いなんだと思います。ぼくには「聴覚過敏」があるんでしょう。

あと、これけっこうどうしようもないんですが、ぼく割と貧乏ゆすりをするんですよね……。

子どもの頃はいわゆる「チック」もありました。

サラリーマン時代、職場でも普通に貧乏ゆすりしていた気がするので、知らず知らず同僚に迷惑を掛けていた可能性がありますね……。

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他にも、文字を読んだり書いたりするのが、生まれつきレベルで苦手な方々もいます。

子どもを対象にした調査では、5〜8%が読み書きに困難を抱いているそうです。

大人でも4%程度が学習障害にあたるとされており、こうした方々は

・テキストのマニュアルをよく理解できない
・議事録や書類を書くのが非常に苦手
・電話のメモが取れない

などなど、仕事面でも困難にぶち当たりがちです。

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「ニューロダイバーシティ」の考え方は、脳の特性の違いを個性として捉え、困難を減らし、同時にそれぞれの強みを活かせる社会を作ろう、というものです。

たとえば、ぼくのような聴覚過敏気味の人が社内で困っているとしたら、

・防音が効いた個室を用意する
・耳栓、イヤーマフの装着を推奨する

といった対策がありますね。

貧乏ゆすりをしてしまう人がいるなら、

・人との距離を取れるデスクを用意する
・リモートワークを許容する

といった対策がいいでしょう。

読み書きに困難がある社員がいるのなら、

・動画マニュアル、音声マニュアルを用意する
・議事録や書類作成はAIに任せる
・電話が絡む業務は、苦手な人には頼まない

などなどの対策がありえます。

ぼくは人の顔の認識が苦手な「相貌失認」傾向があるのですが、こういう人は「社員証」の名前で、相手を識別していたりします。

なので、社員証の名前の印字を少し大きくしてくれたり、デスクにネームプレートがあったりするだけでも、めっちゃ働きやすくなりそうです。

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という具合に、人は想像以上に多様で、どうしようもないこともあります。

同じ職場の空間でも、音や光、匂いに敏感な人もいれば、それらが全然気にならない人もいます。

それぞれの差異を認めた上で、働きやすい環境を作っていく。それが「ニューロダイバーシティ」の考え方です。

もちろん、すぐにすべての職場がこういった配慮をできるわけではないでしょう。

まずは「脳には多様性(ダイバーシティ)がある」という考え方を広げていくことが大事ですね。

特に人事や経営に関わっている人は、職場環境を考える上で重要な概念になるはずです。

ぼくらが運営している「Ninja DAO」でも、それぞれの脳の多様性を尊重し、できるかぎり困難を減らして、それぞれが特性を生かして活躍できる環境を作っていきたいと思います。


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