正義は時代によって変わるか

「正義は時代によって変わるか」この質問に対してあなたはなんと答えるだろうか。

ある時代では善とされていた事がまた別の時代では悪とされていることもある。例えばタバコはかつて治療に用いられていたが、現代ではタバコは危険視されている。タバコが善から悪へと変化しているわけだ。

あるいは、ある時代ではAとBではAの方がより悪だとされていたが別の時代ではBの方がより悪だとされているケースもある。例えば西洋の中世では窃盗の罪が強盗よりも重かったが、近代では全く逆になっている。

これらの例をあげると、正義は時代によって変わるように思える。しかし、見方を変えれば時代によって正義は変わっていないとも捉えられる。

正義に関する価値観が変わるのではなく事実関係が時代によって変化していると考えることが出来るのだ。

例えばタバコの例では、「健康に悪いものは摂取してはならない」という価値観自体は変わらないが、事実関係が「タバコは健康に良い」という誤った認識から現代の「タバコは健康に悪い」という認識に変化したと捉えることが出来るのだ。

また、窃盗と強盗の話では、「予防が困難な犯罪に重い刑を与えるべき」という価値観は変わっていないが、市民社会の確立により、個人の自警体制から公共の治安秩序に変わったことで、窃盗の方が強盗よりも予防しやすくなるという事実関係の変化が起きたと捉えられるのだ。

以上のことから「正義は時代によって変わるか」という問いに対して「変わらない」と答えたくなっただろう。

しかし、今この場において、2つの事例を用いてしか議論が進められていないため、ひょっとすると「変わらない」という答えに押しやるために都合のいい事例に絞ったという可能性も考えられる。

この問いに対して「変わる」と答えるか「変わらない」と答えるかはあなたの自由であるが、どちらにせよ表に出ていることだけで物事を判断するのではなく自分なりに批判的思考を巡らせながら答えを出すのが大事な事だと言えるだろう。

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,465件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?