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緊急地震速報が鳴り、これまで以上に防災意識が強くなった

2024年8月8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測。政府は南海トラフ地震の想定震源域に、巨大地震注意を呼びかけた。

翌日、8月9日の19時57分、神奈川県西部で震度5弱の地震が発生した。 

その時、私は2Fの部屋でPCに向かっていた。からだがぐらりと揺れたと同時に耳に入ってきたのは「ママーママーーー!地震!!怖いー!早くきて!!」という娘の大声。

ドアを開けると、1Fのダイニングテーブルに置いていたiPhoneの防災アラームが鳴り響いている。「地震です。地震です」の機械的な音声が、さらに恐怖心をあおりたてる。

「〇〇ちゃん、大丈夫?!」
急いで階段を降りると、ダイニングテーブルの下に避難した娘が不安そうな顔で手招きしていた。

「ほら、ママもこっちに来て!足がはみ出てる!ちゃんと入れて!」

娘の手をとり、テーブルの下で丸まりながら私たちは身を寄せ合った。

「ほら、手がふるえてる。iPhoneが鳴ってビックリしたからだよ。なにあの音?今でもふるえがとまらないよ」
そう言いながら、娘は小刻みに揺れる自分の指先を見つめている。そうか。娘はこれまでiPhoneの防災アラームの音を聞いたことがなかったかもしれない。

とはいえ、正直、落ち着いて的確な行動ができている娘に驚いた。これまで保育園、幼稚園、小学校で定期的に避難訓練を行ってもらったおかげだろう。地震が発生したときの行動が、しっかり身についている。

それに比べて私はどう?落ち着いてとっさの判断できた?「このまま続いたらどうしよう」と不安になるだけで、その先の具体的な行動まで考えてなかったよね?わが家のエリアでは震度3だったけれど、もっと揺れが大きかったら?津波のハザードマップはかろうじて外れてるけど、巨大地震で津波避難指示が出たらどう行動する?わが家のフレンチブルはどうする?

揺れがおさまり、冷静に考えてみた。あのとき揺れが続き、もっとひどい揺れにつながっていたら、私は娘を守るための行動ができなかったかもしれない。

「娘を守るのは、誰なの?」


自分より明らかに落ち着いた行動をとった娘を目にし、私の中の「防災への備え」に対する意識と行動が変化した。

この地震の翌日から、娘は小学校の友人宅へ1泊2日でお泊まり予定だった。このタイミングで、万が一避難が必要な地震が起こったら…と考えると、離れた場所で過ごすのは不安があった。とはいえ、仲の良いお友だち5人とのお泊まりは夏休みの思い出にもなるし、娘の気持ちも大切にしたい。

「明日からのお泊まり、どうする?」
「うーん、どうしよう…こわい」
「やめておく?夜が不安なら、お泊まりしなくて遊びに行くだけにする?」
「いや、遊びに行くのもやめる」

そう答えてくれた娘に、心底ホッとした。私としては、この1週間は不安定な期間でもあるし、少し落ち着くまでは家族で一緒にいたい。

お友だちの家は、わが家から車で15分程度と、決して遠いわけではない。ただ、数年前の台風被害ではトンネルの土砂が崩れて出口が塞がり、数日間通行止めになった事例がある。

自宅周辺は、ハザードマップ上、地震による津波や土砂災害などの警戒区域に指定されている。お泊まり中、お互い別の場所に避難すると会えなくなるのでは?といささか不安が残る。しかも巨大地震となると、これまでのハザードマップで危険区域外だったエリアにも津波が到達することも考えられる。

お泊まりのキャンセルメールを入れ、主人にも連絡した。そして、津波がきた時の対応や防災グッズの再確認をしたいと伝えた。

「少し早めに帰ってくるって」
それを聞いた娘は、「え?早くない?」と言いつつ笑顔になった。

主人が帰宅するまでに、まずは娘とふたりで防災用のリュックを用意し、枕元に置いておくことにした。娘が生まれる前に登山をしていたおかげで、携帯用のガスやライト、ヘルメットなどは充実している。

「ねぇママ、このぬいぐるみ持っていっていい?」

振り向くと、娘が両手いっぱいにぬいぐるみを抱えている。

「いやぁ…それ入れちゃうと、お水とか必要なものが入らなくなるよ。本当は1つにして欲しいけど」
「じゃぁ、これにする」

小さめのぬいぐるみを3つ選んでリュックに詰め込む娘。

「ねぇ…もう1つ、いい?」

そう言って、ふだんはカゴの一番下に押し込まれているクマのぬいぐるみを差し出した。今よりもずっと時間の余裕がある頃、私が手作りしたクマのぬいぐるみだ。

「えぇ?ありがとう。でも、それはいらないんじゃない?あんまり遊んでるの見たことないし。他のものが入らなくなるよ」
「いいの!これは持っていく。いい?」

そうこうしている間に、ガチャっと玄関が開く音がして、主人が帰ってきた。

「パパ?遅くない?今リュック作ってたんだからね!これパパの。必要なものは自分で入れてね!」

こういう時にはやはり心強い。不安そうだった娘も、いつもの強気な態度に戻ったようだ。


改めて、地震発生時の行動について主人と話し合った。

わが家は地震と津波はセット。規模によっては土砂災害も起こりうる、と想定しておかなければならない。避難指示が出されたら、高い位置に向かうよう市役所の人からアドバイスを受けたが、わが家の周りにはトンネルしかない。トンネルの出口が土砂で埋まってしまった場合、津波が引いても家に戻れなくなる可能性がある。

まずは、津波が到達しない避難所へ真っ先に向かおう。今日からしばらく、枕元にはリュックと靴を置いておこう。それだけは決めておき、すべての部屋の扉を全開にして眠りについた。


第一避難場所を決めて家族の動きを話し合ったことで、ざわついていた心が少し落ち着いた。

とはいえ、いつ地震が起こるかは誰にも分からないのだ。実際に避難場所まで足を運び、時間を測っておくのも必要だろう。

しかも、わが家にはフレンチブルドッグが1匹いる。避難所に連れていくには、食料・水・排泄物の処理用品なども必要だ。暑さ寒さ、特に湿気には全くダメな犬種。避難所に連れていったとしても、この暑さに耐えられるか…不安要素や考えなければいけないことは、まだまだなくなったわけではない。

ここ数日、不安要素を少しでも減らすために、日々の常備品を見直している。ペットボトルはプラゴミが増えるし、ストック品は場所をとるし、レトルト品はあまり使いたくないしと避けていたが、日常生活で使いながら補充することにした。

これまでに被災された方々の意見も参考にしながら、家族や友人などと話し合い、防災の意識を高めていきたい。















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