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世界を食い尽くす日本。

一時期、うなぎの稚魚が激減し、
うなぎの価格が高騰した。

だが、稚魚の減少はあまり改善せず、
うなぎは高額なまま取り引きされている。

夏の行事として、
「土用の丑の日」を楽しみにしている庶民には、
もう手の届かない存在となるかもしれない。

と思っていたら、明るいニュースもある。

熊本の企業が、インドネシアのジャワ島で
うなぎの養殖を始めている。

現在は、
インドネシア国内への出荷に留まっているが、
うなぎの漁獲量が激減する日本での需要を見込み、
今後、日本への輸出を強化するようだ。

インドネシア近海は、
うなぎ発祥の地だと考えられており、
稚魚は豊富だという。

これは期待できそうである。
上手くいけば、また美味しいうなぎが食べられる。

……と、のほほんと喜んでいて良いものか。

世界中で稚魚が少なくなっている中、
稚魚が豊富だからという理由で、
何も考えずに輸入して良いのか。

ここを獲り尽くしたら、どうなる。

本当にうなぎが食べられなくなるのではないか。

インドネシアにとっても、資源の枯渇は痛手となる。

だが、その時日本は、
素知らぬ顔で別の調達先を探すだろう。
これまでもそうだった。

確かにうなぎは美味しい。
食べられなくなることは淋しい。

だが、貴重な資源は守らなければならない。

ならば、答えはひとつ。
稚魚の数が回復するまで、獲らないことだ。

うなぎの完全養殖ができない以上、
“我慢”するしかないのである。

かつて、秋田のハタハタが乱獲で激減した際、
漁師たちは3年間漁を休んだ。

その結果、ハタハタの数は増え、
漁を再開することができた。

勇気ある決断で、食文化を守ったのである。

うなぎに関しても、禁漁が必要な時期ではないのか。

うなぎが食べられなくても、
他に食べるものはいくらである。

だいたい日本人は贅沢過ぎる。
頻繁に美味しいものを食べようとする。

種類も量も豊富にあり、選択肢が非常に多い。

美味しいものが多いが故に、
そのすべてを食べ尽くそうとする。

季節やイベントに合わせて食べるだけなら、
これほどの食材は必要ない。

世界各地から輸入しなければならない状況に
陥ることはなかった。
欲張りなのである。

うなぎだけではない。

クジラを筆頭に、
まぐろ、えび、たこなどを食い尽くしてきた。

食べ過ぎの日本人も悪いが、
商社が世界中を駆けずりまわり、
日本の飽食を推進してきたのである。

もう、やめなければならない。

資源のバランスを見ながら、食べなければいけない。

日本の料理人・主婦は優秀である。

アイデアと工夫で、食材に頼らない
美味しい料理を生み出してくれるはずだ。

激減している資源は、
数が回復するまでしばらく待とう。

またいつか、うなぎ屋さんに行列する日が、
必ずやって来る。

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